■この個体について
さて、賛辞を並べているCAW製PPKだが欠点もある。肝心のワルサーバナーがないのだ。ワルサーのライセンシーであるマルシン工業にフィーを払えばいいのではないかとも思うが、いやサブライセンサー(又貸し業務)ではないのだったか。そもそもワルサー社(もとい、そのライセンス管理をしているウマレックス社)は、ナチスドイツの褒賞武器の模型に許諾なぞしないだろうとも思う。
で、そのバナーがないはずなのに、レポートの画像にはしっかりとあるのはどうしたことかというと、この銃は箱出しではないのだ。実はこれはヒトラー金子氏という個人ガンスミスの作品なのである。「カスタム品を購入しておいて“金がない”もないだろう」と言われそうだが、何と本体と込みで製品定価とほぼ同額だった(オークションなので「結果として」だが。ヒトラー金子さんスミマセン)。独自の問屋ルートで仕入れた物に彫刻を施して元の製品定価で売り出されるというのは、何かの布教活動の様である。同氏はPP系のカスタムを多く手掛けられているので、実はPP教の教祖なのかも知れない。ともあれ、出来が良い。マルシン製戦前版より正確である。ちなみにあくまでも限定的放出品であり、受注生産でもないので、出会うのは縁だと思われたい。
下の画像はマルシンの戦前型だが、綺麗にブルーイングが施されている。これも同氏の作品で、過去に撮られた画像をお借りした。何か刻印が違うなと思ったら、マルシンPPKは元の刻印が浅く、ブルーイングの下地作りの段階で消えてしまうため、新たに掘り直されたのだとか。これはどうも凄いな。

ところで、以前のトイガンによく見られたそれ風バナー(中の文字が違ったりする)をCAWが刻印しなかったのは、この様な後加工をし易くするためではないかというのは邪推か。余談だが、エーレンバッフェとして贈られる場合は、スライド左上の曲面部分に贈り主の名称が刻印されることが多いのだそうだ。 |