[今週のデスクサイド拡大版] 偏執的「戦前型ワルサーPPK」考

■トイガンのワルサーPPK
 PPKモデルガンの最盛期である60年代の戦記物ブームの際には、詳細な資料もなく正確な物は作り様がなかっただろう。また近年のトイガンPP系は概ねPPK/Sであり、PPK自体があまり存在せず、モデルガンでは皆無だった。

 戦前型PPKというと、レプリカ(当時のマルシン工業のブランドで、後にマルシン工業から発売)がモナカのガスガンを出し、後にポイントが2ウェイ式ガスBLKを出している。これらは共にかの六人部氏の手になる原型という。数年前にポイント製品の金型がヤフオクに出されていたのは記憶に新しい。いや、記憶してるのは私の様なPPKマニアだけか。

 その後マルゼン製エアガンPPK/Sをベースとするカスタムパーツとして、削り出しアルミ製の戦前型PPKの外装がZEKEから発売となったが、グレーゾーン商品のため当サイトでは扱わないことにしている。件のポイント製品の金型をベースにしているという評判も聞き(しかしこれはデマの様だが 改めて調べると評判ではなく、発売当時の同社資料で謳われていた)、悪くない出来で、これが今生のベスト戦前版PPKなのかと私は思っていたが、結果としてそうではなくなった。


戦前型PPKのトイガン。左上から時計回りに。MGC(金属製タニオアクション)、ポイント(ガスBLK)、CAW(ダミーカート)、マルシン(固定ガス/レプリカと同型のHWプラ製)

レプリカ

ポイント

CAW

 ちなみにレプリカとポイントの2作はCAW製と較べるとスライドの刻印の文字間が詰め詰めとなっているが、実はこの方が正解なのである。

 一方で行間がそれぞれ異なるのはスライド平面部天地の取り方を前2作が誤っていることもあり、大きく違って見える。この点ではCAWが正しい。

 また前出のマグキャッチのチェッカリングの角度は、最近発売のCAWとマルシンが再現しているのみ。そしてフレーム後端の形状はいずれもマニューリンに近く、CAWのだけが正確である。

 最大のライバルとされる(そうかな?)マルシン製戦前型PPKモデルガンは、未入手に付き写真で見る限りの評なので付け足しと思われたい。いずれにしても戦後版PPK/Sベースの名残が強い。特に極めて残念なのが、フレームは戦後版PPKそのままだということであり、そのため多くの部分が戦前版とは異なる。前出のフレーム後端もトリガー上の抉れも違うし、何より戦前型のトリガーに縦グルーブは入っていないのだ。これが決定的というか致命的である。そしてプルーフマークもない。

 参考までに、PPKエーレンバッフェを過去にモデル化したメーカーはMGCだけだが、あれはグリップだけが素晴らしく、本体はあくまで当時レベルのソレ風だった。プランだけならポイントがおもちゃショーでチラシを配っていたが試作までで製品化はされていない。CAW製は色味が白ちゃけていると各所で指摘されているが、 確かにこの様な色の個体は存在しない様である。

'11.8.10 一部訂正


P.1■とうとう購入 ■エーレンバッフェか、エーレバッフェンか
P.2■戦前版と戦後版の違い ■プルーフマークを読む
P.3■トイガンのワルサーPPK
P.4■この個体について
P.5■謎のディティール ■今後

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