[改造] 簡単・低予算で戦前型PPK「エーレンヴァッフェ」を作る

■その他の戦前化
 グリップ以外はかなり適当である。スライド先端下部の削り込みとリアサイト形状は再現した。スライド両側面の平面部分の天地幅はセフティレバー上端と面イチなのが戦前モデルだが、この工作はかなりの技術を要するので諦めた。リアサイトなんか適当なプラの削り出しでも良さそうなところだが型取りしてしまった。トリガーガード上部の面取りは再現したが、トリガー周りの形状は、銀ダンの構造上の物なのでそのままである。スライド後端の角は、単に落とすのを忘れていた。フレーム後端の短縮をやめたのは、そこにビスがあるため。それでなくてもグリップ部のビスを省略してしまったので、移設するのは強度的にまずいだろう。いずれもCAW製PPKを手本にしたが採寸は特にせず、現物を見ながら合わせた。

 ランヤードはどうするか決めぬまま作業を進め後になって思い出した様に付けたので埋まる部分が変な形である。

間に合わせ感ありありの内側。マガジンボトムで隠れるからって平面出してないのは…。ランヤードは基部の形状が変。

■仕上げとか塗装
 刻印は殆どそのままにした。むしろ銀ダンだというのを一目瞭然にしたかったからである。とは言え「PPKSS」となっている「SS」だけは埋めた。

 モナカ+ネジ止めの構造も、いずれ壊れた時に直せる様にそのままにして、貼り合わせたりネジ穴埋めをしたりはしていない。グリップ部を切り詰めたためネジが一箇所なくなっているが、ポリパテの塊で剛性はあるし、ランヤード基部がフレーム左右を渡る形になるので新設移設はしていない。

 塗装はサフ吹いて傷や穴を軽く埋め、スプレーだけちょっと良いのを奢ったが、下地仕上げの下手さがその良さをスポイルしているかも。そもそも、安価に済ませるはずが3000円のスプレーでは矛盾してる上に、色はちょっと気に入っていない。


普通のツヤあり黒で良かったかも。キャロムのガンブルー。骨董品も記念撮影。


刻印って意外に綺麗に消せないんだよね。

塗り始めはどうにもダークグリーン。5回重ねたが、これはガンブルーなのだろうか。

■その他
 マガジンの切り詰めは面白くなさそうなので、最後の最後まで残っていた。貼り合わせなので切るまで分からなかったが、給弾路はU字型でボトムギリギリまである。私はリアル装弾数でも良い位なので切ってしまった。

 ところがこのU字に曲がっているのが実はみそで、フォロアーの反対バネ受け側のフラップ状のパーツを可動させている。マガジンセーフティーなのだった(本文「分解」参照)。しまった…(後日改修)。


マガジンボトムをフィンガーレストで切り離すと中身はコレ。

レスト部の中を拡げて、マガジンも突起だけ削ればPPK用の長さになりはするが…。

■まとめ
 結局、全然楽ではなかった。一番の障害はグリップ注型に買ったホルツのポリバテが不良品だったこと。幾つもベタベタのグリップを作ることになってしまい、手間や時間の問題よりモチベーションが落ちて指先も気持ちも荒れた。そして削るという作業を甘く見ていたこと。完全硬化後のポリパテは意外に量を削れず、水平を出すのは更に難しかった上に、保護が甘くて要らぬ所に傷を付けて補修するという余計な手間を掛けてしまった。しかし型取材としての「お湯まる君」は優秀で、こびり付いた不良ポリパテを歯ブラシでこそぎ落としても崩れなかったのは助かった。

 同様の方法でPPKを作ろうという方は、複製グリップなぞ作らず既製品を流用し、フレームはパテの裏打ちを最低限にして削る事をお勧めする。マガジン止めと位置決めのレール状部分は保持しないとならないが、チェッカー部分まで削るだけだから、フォロア押し下げの可動パーツ辺りに裏打ちをする必要は無いので注意を。

 私は元々特に手早い訳でもない上に、週末の夕方に酒を呑みながらたらたらやっていたため、グリップの複製から始めてひと月程も掛かってしまった。少しずつでも毎日やれば1週間で仕上がる改造だろう。まあ、[高効率・短納期]というのは別にコンセプトにしていなかったので良しとしよう。うん。


とりあえず、グリップのネジ頭マスキングし忘れた…。