GUN&MILITARY
公文書

'13.12.15  gun&military 

異常劣化の10年後 マルシンM712MAXI
 コレクションの扱いというのには様々あるが、机上に転がしておいたり、棚に飾ったり、あるいは箱に入れて押し入れに仕舞ったり、一見愛着順である様にも見える。しかしそれぞれの扱いは、それとはまた違った基準に拠るものである様に思う。

 ただ、中には手放しこそしないが、所有していながら「厭だなぁ」と思っている物もあったりはしないだろうか。私の場合は、それは故障品である。

 大概は、直さずにいられない程の愛着があればどうにかするだろうが、それ程でもなくて、直すのに結構な出費を要するとか、手間と技術を要するとか、あとは調べるのも面倒臭いとか。二百数十挺あるのだから、そういう銃も何挺かある。大概は忘れている(はず)が、特異な物はどうしても忘れられない。その内の1挺がマルシン製モーゼルM712MAXIである。

 何が特異かと言うと、部品の劣化が異常に早いのだ。一部の亜鉛ダイキャスト部品が猛烈な勢いで劣化してしまった。発売時に新品で購入しているので'01年4月の購入だが、2年後の'03年3月には劣化でタンジェントサイトの基部が折れている。その直後私はマルシン工業にメールで問い合わせをしているが、特に他と違う工程で製造している訳では無いという返答だった。結論から言うと、マルシン工業の返答内容は適当なデタラメで、同様の症状は他でも聞かれた。

 部品交換をしても同様の部品が来て無駄になる気がして放置していたが、久しぶりに引っ張り出すと、サイトはほぼ自然崩壊しており、マガジンキャッチもボロボロになっていた。事情通タグチさん談ではマガジンがパックリ逝ってる例もあるそうだが、奇跡的に私のマガジンは当たりだった様だ。他に劣化崩壊しているパーツはない様だった。

 今さら完全品にしてもなぁと思いつつ、改造ネタに思いめぐらせていたのだが、件の10年前の記事に、全く同様のことを書いていて笑ってしまった。進歩ないな。

ポーランドの森の中で拾った実銃のタンジェントサイト。

チェンジできない様にマガジンを抜けなくする魔法を掛けられた。

他は問題なさそうな(?)M712MAXIを点検中。
関連記事 '03.3.5 亜鉛合金(まだブログになっていなかった)

'13.12.6  gun&military 

自分探し -search and create-
 「自分探し」などと言うと、探さねばならない程に薄い自分なのかと嘲笑されるのが落ちだが、ここ暫く改めて銃や自転車を弄ったりしてるのは、ある種忘れかけていた自分を探している様な気もする。まあそういうのは「自分探し」とは言わないのか。

 どんな趣味でも、それだけに自分の全てのリソースを投下できる訳がない。例えばまる一日走り続けた日があったとしても、翌日には仕事があるだろうし、その準備が前日にもあるかも知れないし、その間に子供の進路の事とか家の税金の事とか生命保険の更新の事とか、まあ普通に生きてる分には他にこなさないとならない事が山とある。

 だけどそれらが、いや全部でなくてもその内の幾つかでも厭になったり迷ったりしたら、趣味のある人はそこに戻ることで元の道を見失わないで済む事がある。ま、それが幾つもあるのもそれはそれで問題なのだが。

 そんな訳でこのところの私は、玩具の銃を眺めたりバラしたり、あるいは放ったらかしだった自転車のチェーンを洗浄したりワイヤーを交換したりしている。

 殊にトイガンの方は暫く、箱から取り出して眺める程度だったが、元々自分はこうではなかったと思い出した時に、元の自分に“戻る”事が出来るのではないかと思った。まあそう高度な事をするわけでもなく、見た目は、馴染みの皆さん相手に「これどう〜?」なんてやって遊んでるだけなのだが。

 銀ダンでエーレンヴァッフェPPKというのは面白かったな。こういうの良いな。手を抜く方法や安く上げる方法を考えながらっていうのが特に。仕事じゃなし、出来もしない理想を追っても仕方ない。いや、自分は仕事でもそうではない気もするが。

 何をやっていても自分には自分のやり方が分かる。ああ、ここはアバウトなんだ。でもこんな部分に拘るんだ。形にしながら再確認しているという気もする。

 年内に、できればもう1挺作るかな。いや、年末年始の休みにやるか。という優柔不断さも自分。


'13.11.17  gun&military 

銀ダンの果実[改造]簡単・低予算で戦前型PPK「エーレンヴァッフェ」を作る
 東京マルイが09年の夏休み前に発売した子供向けエアガン、ニュー銀ダンエアガン“ポリスピストルSS”は、新機構なのに安価でパカパカ撃てて楽しいトイガンだった。

 でも我ら(複数形(笑))はしょうもない人間だから、PPK/Sを見たら「戦前型PPKだったらなぁ」っていつもハァハァ思う訳。このラインはあれでこの窪みはああで、とか夢想するなんてどんだけなんだ。「ーまぁ、それだけ私らの頭んなかは腐ってる訳ですよ」という事か。

 前振りはともかく、今さらで誠に恐縮な上に唐突なのだが、ニュー銀ダンエアガン“ポリスピストルSS”を「戦前型PPKにしてやろうか」という事になった。

トイガンレポート中心の栴檀林サイトでは近年稀に見る工作系コンテンツ投入!! …ま、大した事はやってないんだが、覗いてやって下さい。




'13.11.6  gun&military 

最薄のPPK/S〜新製品即断速報
 ACROがプラ製スライドでPPK/Sを出した。いや、出していた、かな。韓国ACRO製のワルサーPPK/Sは日本に入る様になってから暫く経つモデルだが、金属スライドのために買ってもレポートしづらいというのと、微妙に高額なので二の足を踏んでいた。ところがいつの間にか全プラ版が出ていた。とっくに話題になっていたのかも知れないが、私は先週末に気付いて慌てて購入した。何も慌てることはなかったか。

 私はワルサーPP系を集めているのだが、そうそうトイガンの新製品が出るモデルではない。確かに一時期なぜか集中して、マルシンやCAWがモデルガンを発売したり、東京マルイが銀ダンで出したりと、幸福な時期があった。しかしそうあることではない。噂ばかりのマルゼンPPK/S 5代目もあの時期に出てくれていたらと思うが、007の新作でも出来ない限りまず出ないだろう。

フルカラーのパッケージはほぼハングル表記。

取説は箱裏面。付属BB弾と予備マグが同梱。


 閑話休題。PP系は元々コッキングガンがあまりない。中小型だからピストン容量が取れず非力になりがちだという事もあるだろう。この20年程の間に日本で購入可能だった同種のPPK/Sは、マルシン、アカデミー、ハプドンの3社だけだった。かつてコクサイがラインナップに挙げた台湾製OEMは結局日本に入って来ていない(実在したかも不明)。ともあれ、希有な上に希有なのが、このACRO製PPK/Sなのだった。

以下、本文

'13.11.2  gun&military 

謎仕様ガルパン・ヘッツァー、DL 万世駆逐戦車

 

 最近、企業サイトのあるおまけコンテンツが話題だ。無料DLのペーパークラフトである。「赤福」が配布している古式ゆかしい自社社屋などは、殆どマニアックな域に達する内容とグレードだ。それと列び話題なのが「肉の万世」だ。サイトの子供向けページでDLできるペーパークラフトは、歳時モノの他にも「万かつサンド」や「万世排骨拉麺」といったオリジナリティ溢れる愉快なアイテムが揃っている。子供向けにしては難しいのだが、親子で楽しむのに良いかもしれない。

 しかし実のところ、一番楽しんでいるのは担当の人ではないかと思われる。というのも、最近加わった歳時でもメニューでもないアイテムがあまりにユニークなのだ。

 なにせ戦車である。いくらガルパン流行とは言え、なぜ「肉の万世」で。しかも名称こそ「万世戦車」「万世駆逐戦車」となっているが、明らかに4号H型(シュルツェン無)とヘッツァー軽駆逐戦車なのだ。車体には描かれる「肉の万世」のキャラクター「モーちゃん、ブーちゃん」の位置も明らかに…。更にヘッツァーの方を子細に見てみると、わざわざ機銃を外した防盾や中期型と後期型が混ざったディティールなど、ガルパン設定の謎仕様そのものになっているのである。なんだこりゃ。勿論速攻でDLしてしまった。ただ、部品点数がそれなりにあり、切り出しには手こずった。

後ろから見ると寸法は何ともだが、ディティールが何ともアレ[拡大あり]。


奥は1/48。手前が1/35(未組み立て)。全長は概ね1/35で、幅が概ね1/25の様だ。

 ちなみにこれらの戦車はただのおふざけではなく、組み上げ時の芯として「万かつサンド」の空箱を利用するという、なかなかに小憎らしい仕掛けだ。DLして楽しむだけでなく商品も買ってねという訳だ。その箱のための設計なのでプロポーションがややおかしいのはご愛嬌だが、箱のサイズに合わせているため少し大きいのが難点。原寸で組むと芯に空箱が入ってもコピー用紙では保ちそうもないので1/2サイズで出力することにした。

 勿論「万かつサンド」は別に買った。旨かった。

※フォームで問い合わせたところ、制作しているの自体は外部の制作会社とのこと。

読書 藤沢 周「ブエノスアイレス午前霊時」河出文庫
(何度目かの再読)

耄碌した元娼婦の老婦人と閉ざされた温泉町の旅館。自家中毒の様にぐるぐると身を巡る血液。逃げられない寂れたデパート屋上。そういや最近藤沢周の文庫、新刊ないな。


'13.9.17  随筆  gun&military 

台風の日に、風立ちぬ
 週末が近づくまで、三連休があることを気付いていなかった。そもそも担当案件用に自分が作ったスケジュール表が三連休になっておらず、うっかり納期に間に合わなくなる所だった。そしてそんな週末は、特にやる事もなかった上に台風襲来である。

 と言っても3日間呑んだくれて寝ていた訳ではない。週末に電車で都心部に出ることはないのだが、日曜は珍しく映画を観に行った。家人のお出掛けに取り残されたということもあるが、家で寝るか呑むかばかりではどうかという気もするし。

 観て来たのは話題の「風立ちぬ」。以下、微量のネタバレにて失礼。

 期待過大故か、肩すかし食らった感じだった。妄想と喫煙のシーンが多過ぎるとかそういうのはまだいいとして、離れに住まわすためだけの伏線かと思える緩過ぎる特高警察や財閥系企業の社員にしても優雅な避暑地の長居などは、どの程度史実なのか疑問に感じる程。

 絵も何だかなぁと。服は時代を表すが、ジブリの登場人物が着るスーツのフワフワとした質感や締まりのないラインは戦前を描くのに違和感を覚える。所謂「テレコム顔」的な服の質感なのだろうか。

 話変わるが、この作品は零戦(と九六艦戦、雷電)の生みの親、堀越二郎を肯定的に描いているとして韓国のメディアが非難したりもした。しかし後日の“謝罪すべき”発言のためか、今度は韓国のメディアは引退宣言の際「安倍政権の右傾化の歩みに失望したのではないか」などと自慰的妄想を発表している。

 軍や兵器について知りたいという欲が、道具やその成り立ちを知るに従い、強く肯定したり否定したりする。裏に人の脆さを見る。興味を持ったが故に忌み嫌ったりもする。韓国にはミリタリーマニアという人種はいないのだろう。だからその矛盾に気付きもしない。宮崎駿はまさしくそういう人種の代表格であり、それ故のこの作品だと私は考えている。

 何にしても、映画としてはいまひとつピンと来なかった。

手持ちで関連情報がありそうな資料を発掘。毎日新聞社刊(1980)「別冊1億人の昭和史 日本の戦史別巻(5) 兵器大図鑑」…にしても古いなぁ。


堀越二郎を「九六艦攻」の設計者としているが、「九六艦戦」の間違い。あちらは複葉で空技廠製。


夢想が多くどこからが実在の飛行機か“陸専門”の私には分かりにくかった。逆ガルの試作機は九試単座戦闘機として実在。後の九六式艦上戦闘機だが、フォルムは大分違う。(画像出典:Wikipedia)


'13.9.1  gun&military 

謎仕様ガルパン・ヘッツァー購入
 「パンツァーフォー」という台詞で、私は眼帯の厳つい軍人を思い浮かべるのだが、いま時代変わってそれは女子高生の台詞となり、加えて空前の戦車模型ブームだそうである。アニメ「ガールズアンドパンツァー」のヒット故だが、だからと言ってそんなに売れる物なのか。今の戦車プラモは高価で精密な製品が主で、初心者がおいそれと手を出せる代物ではないはずだが。

 軽駆逐戦車ヘッツァーは、駆逐と言っても積極的に敵を追い回して排除するのではなく、チームで待ち伏せして敵を集中撃破するための戦車である。華は無いが好きな戦車で、本は勿論、組まないくせに模型も、つい買ってしまう。そしてこれがアニメの公式模型として発売されていた。

 自分が模型に熱中していたのは30年も昔で、基礎知識もその頃止まり。最近のメーカーはよく知らない。プラッツが輸入販売代理店なのは知っていたが、サイバーホビーが香港ドラゴンのサブブランドというのはこの製品を買ってから調べて知った次第。

 さて、公式模型シリーズは、型のリスク無しでの協力を求めて実現したとは聞くが、このヘッツァーは謎が多いのだった。

 ヘッツァーは作中の様に38(t)の上半分を交換して出来る訳ではないが、作品世界上別に良いだろう。ただそうならば前期型であるのが自然だと思うが、アニメ設定では中期型等が混ざった物になっている。いや、そこもどうでも良いとしよう。

 気になるのはこの公式模型が前期型だという事だ。ドラゴン製品に中期型が無いなら分るが、作中とほぼ同じ中期型を過去に出していたのである(そしてなぜか私は買うだけ買っていた)。製品の中身はそれにすれば良かったのではないか。

 あるいは企画段階では初期型だったのかも知れない。いろんな大人の事情もあるだろうし、買うのは大体が大人だから問題ないとは思うが。

 で、模型の記事なのに組み立てないとかの方が問題ありか!?


関連記事…'11.9.1 枝付きヘッツァー


旧版『黒騎士物語』月刊ホビージャパン1985年2月号別冊。そもそも私はこの作品を本誌の連載で読んでいた世代である。

『MOTORBUCH Band14 Leichete Jagdpanzer』(1992年)。小林源文閣下によれば国内で入手可能なヘッツァー資料の最高峰は『MOTORBUCH Band11 Die Panzer-Kampfwagen 35(t) und 38(t) und ihre Abarten』(1980年)であるとのことだが残念ながら未入手。後に発行されたこちらでも、束の半分100P程をヘッツァーに割いており中々の資料と思われる。

ヘッツァーの原型は38(t)ではなく、その発展型としてメーカーBMM社が提案していた38(t)n.A.の方だった。試作車ということもあり佇まいからして38(t)と違い過ぎるが、シャーシの寸法も違う。


プラッツ/サイバーホビー「1/35ガールズ&パンツァーシリーズ 38(t)戦車改 (ヘッツァー仕様)カメさんチームver.」 中身はドラゴンの前期型。シリーズで箱を揃えるためか、中身の割に異様にでかい。なぜか1,900円という超激安価だったので購入。定価は5,040円。箱とデカール類など印刷物の違いだけでドラゴンの倍額?


ハセガワ/ドラゴンモデルズ「JAGDPANZER FAMMPANZER 38, MID PRODUCTION」 中期型と火炎放射車のコンパチ。だからってなんだこの製品名。確か当時は旧いタミヤ後期型しかなく(現行は中期型)、ヘッツァーのモデル化なんてそうないだろうと思い、組む気もないのに購入。購入価格2,600円。


前期型と中期型の大きな違いは防盾と転輪。それぞれ右が前期型。ガルパン戦車は架空の物だから何でも良いって言えば何でも良いが、設定があるのだからそれに位は沿えば良いのに。

読書 三浦しをん「天国旅行」新潮文庫

「心中」を共通テーマにした短編集。自殺か自死かとか言ってる場合ではない。なにせ単なる人殺しでも「無理心中」である。余程人が傷つく。そういや自決や自害が話題にならんのは何でだ?