GUN&MILITARY
公文書

'11.4.1  gun&military 

不謹慎な模型


 部屋の整理で古い未組み立てのプラモデルが出てきた。伊テスター/イタレリ社製の1/48「ROKET SET」。大戦独のV-1と帝国海軍の桜花のセットである。つい、「V-1はロケットじゃないだろ」と突っ込みたくなる。桜花のエンジンはロケットだが、V-1はパルスジェットである。

 しかしそれ以前にこの2つには決定的な違いがある。V-1はプログラムで目的地に飛ばすミサイルであり、桜花は特攻兵器で有人爆弾である。果たす目的が同じでも、有り様は全く異なる。

 特攻というと既存の戦闘機に大型爆弾を抱えた物がよく知られているが、特攻専用の機体も幾つかは存在する。航空機型では桜花の他に剣などがある。いずれも量産されてはいるが戦果と言える戦果は上げていない。

 桜花はロケット式だが高度で先進的な構造ではなく、火薬式のロケットで花火に近い。単独離陸はできず小型の爆撃機※1で運ぶが、点火飛行時間が30秒程度と短いので目標まで近付かねばならず、また重いために母機が低速となり、大概迎撃されてしまう。※2

 この「ROKET SET」と一緒にツクダ社製「桜花」も発掘した。共に30年程前に買ったと思うが、“陸専門”の私がなぜこれらを買ったのかは
全く分からない。ちなみにこの桜花の原型は共に米ホーク社で、実は全く同一の物であった。発売時期はツクダが先らしい。

 大体が、ガンやミリタリーの愛好家などというのは存在からして不謹慎である。何せ人殺しの道具なんぞをわざわざ愛好するのであるから。とは言え、始めようと思って始める趣味なぞ趣味ではなく、そして好きだから詳しいからこそその本質が分かるというものだというのは、この手の趣味のジレンマだと考えている。

 そして桜花は、そもそも人殺しの道具だったかどうかも怪しい。いや、人が殺される道具には違いなかったが。

 こんな兵器を作る国がまた侵略戦争をする等と言う奴は、余程頭が悪いか、他に思惑があるとしか思えん。




※1一式陸攻:旧軍分類上は爆撃機ではないが、あんな分類は糞喰らえだ。
※2桜花を積んだ一式陸攻は300km/h以下しか出せなかったという。敵方の迎撃機グラマンF6Fは最高600km/h。さらに実は桜花自身も水平飛行の最高速は648km/hだった。

左のイタレリのキットの中身。成形色は共にダークグレー。購入当時の価格は1,100円。


ツクダの桜花。こちらの方が古く、組説には原型のホーク社のロゴが載っていた。


成形色はライトグレー。当時の購入価格は不明。


こちらには、デカールと、透明にモールドされた炎が付いていた。


部品点数30点(と炎とデカール)。クリックで拡大。ちなみに模型としてはフォルムがイマイチだった。

■調べた限りの桜花の模型たち
マルシン工業 1/48桜花11型ダイキャスト完成品4,179円
クリエイト301 1/48桜花11型レジン製6.720円
KORA4811(韓国) 1/48桜花22型レジン製12,600円
インパルス 1/32桜花22型レジン製6,500円
■参考リンク
イタレリのサイトにこの製品はもうない。
桜花についてはこちら(wiki)
ガン関係コンテンツの冒頭の一文。「市民権のない趣味」

期末が終わった。と言ってもうちの会社は7月決算だが。なんか、いろんなものが終わったな。それもまあ期末だからということにしよう。自分が原因のこともあるし、手の打ち様がないこともある。それでもまあ期末だから。新しく良いことが始まるのだと思うことにしよう。

'11.1.28  gun&military 

リアルフィニッシュ銀ダンエアガン

 私がトイガンの情報から遠ざかっている間に、「ニュー銀ダンエアガン」のシリーズに「RF銀ダンエアガン」が加わっていた。RF=リアルフィニッシュの名の通りに塗装がリアル(っぽいもの)になっている。

 “銀ダンガン”が発売された当時、ウェブ上では色の塗り替えやお手軽カスタムが流行った。赤・青・緑の色が着いた拳銃は、やはり玩具っぽいというのもあるだろうし、逆に造型が子供向けには勿体ないくらい良く出来ていたからという事もあっただろう。しかしオリジナルの塗装は一体の部品なのに別部品の様に見せる程の物で、塗装に慣れていない人には同様の仕上げは難しかろうと思う。だからこその登場とも言える。

 もう一つ期待のポイントとしては「10才以上用」になったこと。つまりパワーアップが図られている。

 しかし両製品間の価格差はメーカー小売希望価格で250円。そこから考えるとそうそう劇的な差異を付けられるものとも思えない。そんな訳でちょっと疑り深く手に取ってみた。それはいつもの事か。

 例によって家まで箱を開けずには持ち帰れず、馴染みの酒場で試射。何か、撃ち心地あまり変わらないけど…。そしてなぜか店に常備の銀ダンガンと撃ち較べる。分からない。結局、的ではなくて掌を撃ってやっと違いが分かる程度だった(よい子は真似してはいけません)。でも、そんなには違わないかな。

 後日弾速測定器で測っても、バラしてバネを較べても、実は大した違いはないのだった。ちょっと残念。ちなみに10才以上用のパワー制限は上限0.135Jなので、どちらの銀ダンガンもその半分以下のパワーしかない。

 ところで、ガンから離れていた私がなぜRF銀ダンガンの発売を知ったのかというと、父親仲間から小3の息子や友達がトイガンに興味を強く持って仕方がないという話を聞かされて、そんな子供とトイガンと付き合わせるにはと考えた時に、銀ダンガンを改めて調べて知ったのだった。

RF銀ダンエアガン「ポリスピストルSS」。定価1,260円。

勿論今回も弾速測定器で測った。
 
銀ダン
RF
電ブロ
ガス
平均
22.82
25.37
33.90
63.26
2.39
1.24
0.96
1.23
J
0.05
0.06
0.11
0.40
銀ダンとRFは今回の測定。弾速はm/secで、差は6発のバラつきの差。

私の書斎から発掘した装備を勝手に身に着けたもんちゃん(私が着せたのではない)。カラスに向けて対空砲火なう。勿論届かず。

塗装の差(1)サイトのドット。個人的には不要。

塗装の差(2)プラの地肌で表現していたEJポートが別色での塗り分けに。

ASGKは刻印でなく塗装。

バネが異なるだけで他は同じだろうと考えながらバラすと、チャンバー周りのパーツ形状が違う。

ということはとフレーム側を見ると…、パーツが1つなくなり、代わりにフレームに突起が付いていた。

一方バネは素材が違うが、線径は同じ0.8mm。全長も一巻き多いだけ。



'11.1.25  gun&military 

CMC ワルサーP38とその時代


 トイガンの世界では時代に関係なく模型化される銃というのがあるが、ワルサーP38は間違いなくその一つだ。しかし一方で、私は大戦独マニアにも関わらず、実はP38を熱心に集めた事はない。古くから各社より発売されており、どこから手を付けたものだか悩むということもある。それでも何挺かは持っており数えると6挺はあった(ここは笑うところか?)。ただし今回レポートを書くこの銃は私の物ではなくて、借り物の貴重品である。そのために、暫く私のデスクサイドに置いてはあったが、しっかりとケースの中に収まっていた。今はもう、製造は勿論、譲渡・売買も禁じられている金属製で銃身分離式拳銃のモデルガン、CMCワルサーP38である。

以下、本文

些末な話だが、本体を上げておいて、導入部のこの記事を上げ忘れていた。珍しく仕事に追われていたのでね(苦笑)


読書 伊藤たかみ「フラミンゴの家」文春文庫

家族の中で感じる成長と喪失の物語。いや、このレトリックは借り物か。でも腑に落ちた。今まで別々だったので違和感があったけれど、一緒にされると一体の物と感じる。


'11.1.18  gun&military 

トイガンレポート

 昨年の10月で月刊「Gun」の購読を止めてしまった。「20年以上買い続けた雑誌を買うのを止めるのってどういう心境ですか?」と某酒場で訊かれたりしたが、確固たる意志がある訳でなく、ただ興味を失い止めたのである。この2年ばかりは惰性で購読しており、もうガンマニアではないな、という気分にもなっていた。

 しかし自分には方を付けないとならないトイガンレポートが控えていた。それが預かり物の40年前の金属モデルガンである。自分の知識だけで書けるモデルではなく、勿論見たままを書いても何の意味もない。昔の資料をあれこれひっくり返さないとならない。仕事が暇になったらとか、父母会活動が一段落付いたらなどと先延ばしにしている内に1年経ってしまった。そもそも前段の通りトイガンに触れる事自体がなくなっていた。

 それがCAWワルサーPPKエーレンバッフェを手にして、何か急にガンマニア魂みたいなものが再燃した感がある。まさか出るわけがないと思っていたモデルの一つであった。

 そうこうする内に、今度は父母会仲間のお父さんから最近小3の息子がトイガンに興味を持って仕方がないという話を聞いたので、エアガンの種類と自治体条例に基づく自主規制について説明の上で、東京マルイのニュー銀ダンエアガンをお薦めした。薦めるにあたりウェブサイトを改めて見ると、なんと上級版が出ていると言うではないか。RF(リアルフィニッシュ)銀ダンエアガン。種類はそのままG26とPPK/Sの2つではあったが、発売当初に“大きいお友達”の多くが施した様なリアル塗装とそれなりパワーアップが果たされていた。

 購読を止めていた期間からすれば、あるいはとうに出ていた情報だったのかも知れない。マルイガスBLK G18C発売もあったのだった。当たり前だが興味を失うというのはそういう事だろう。

 件の金属MGとRF銀ダンについては今月内に記事アップ予定。


読書 伊坂幸太郎「死神の精度」文春文庫(再読)

以前読んだのは昨年の4月だった。まだ1年も経っていないのに程良く細部を忘れていた。まあそのお陰で楽しめたのだが。調べたら08年には「Sweet Rain 死神の精度」として映画化されていたそうなのでその内観てみたい。主人公役を金城武にすることで映画化が許可されたそうだが、脇役もなかなかどうして合っている。実際の所は観てみないと分からないが。