私にとっては、現状Duoが最良の文字打ち道具だ。しかし多くのジレンマも抱えてもいる。もちろん、旧いPowerBookを愛用する人は多かれ少なかれいろんなジレンマを抱えておいでのことと思うが、私のそれはかなりのマイノリティらしい。
曰く、Duoのキー配列は、かな入力に適していないということ。
PowerBookは5XXより前までは日本語版の配列がカナ付きASCIIだった。Duoは初代210から最終モデルの2300cまで同じASCII配列だった。このカナ付きASCIIというキーボード、特にカナ文字に関しては配列が最低。米英の仕様に無理繰りカナを当てているから、「ロ」と「ケ」、「ー」(音引き)と「ム」がそれぞれ同じキーに割り当てられていて、普通の文章を打つのですらシフト連発で打ちにくいことこの上ない。英字で例えれば「A」と「Q」が同じキーに割り振られているようなものだ。
しかもなぜだかキートップの仮名文字はカタカナ表記で振ってある。大正時代に作った仕様なのか? 日常、頭で考え手で書く言葉は大抵は漢字混じりのひらがななのだから、キートップを見てキーを打つ段階で頭の中でカタカナからひらがなに変換しなければならないという、ある意味ローマ字入力と同じ種類の不便さを強いられる。
そのようなことから私は、ひらがな付きJISこそが、現状もっとも望ましい日本語入力配列であるとここに宣言する。…あくまで「現状、自分にとって」だけど。
実はこの連載は、去年の今の時期に始める予定でいた。「小隊司令部発」のバックナンバーを見ると、'00.5.の「頓挫したDuoキーボード」に、この連載が頓挫した原因のひとつを書いている。そう、どうせなら最終的にはDuoで使えるJIS配列日本語キーボードを作るというところまで持っていく位のつもりでいたのだ。しかし少なくとも自分の技術力では到底不可能であることを悟り、それなら中途半端にコンテンツにするより「小隊司令部発」に1回書いて終わりにしようという経緯だった。それを始められる事になったのは、最強の協力者の出現あってのことである。
では続きは次回。
「小隊司令部発」'01.4.25
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