随筆/日記
公文書

'05.12.28  随筆

オンタイム・グラス・クラッシュ

 眼鏡が壊れた。と言ってもまた酔っ払って顔をぶつけたわけではない。朝、出社して眼鏡を掛け替えようとテンプルを拡げたらフレームがパキンと折れた。半年くらい前に作ったばかりのオンタイム用メガネで、無印良品の物だ。フレームとテンプルを好きに組み合わせる製品で、同様なシステムのオンデーズの様に幅が狭くないので(なぜあそこのは幅が狭いんだろう?)しばらく気に入って使っているのだが、セルが薄いか柔らかい様で、既に一度拡がり過ぎを直して貰っている。

 保証期間は1年。しかし無印良品の窓口ではそのことには全く触れられなかった。「(こういう壊れ方は)あまりないんですけれどねぇ」と言うばかり。こっちも寝てる間に娘が乗っかっていたかもしれないのでまあいいかとした。

 こういう時でもパーツ毎に交換できるのは良いシステムかも知れない。レンズ周囲のコの字状のところは補強が難しいため繋ぎ合わせ修理はできないのだ。しかしまあ、レンズ付き1本1万の眼鏡でフレームだけ交換して税込3,150円は安いと言って良いのかどうか。

 ところで購入店は近くでは最大の無印良品のショップで、眼鏡売場も結構な広さと充分な陳列がなされているのだけれど、盛況だからかいつも待たされる。カウンターで立って待っていると、顧客データを表示したままのラップトップPCが関係ない客側に向いて開けっ放しになっていたので、それはまずくはないですかと近くの店員に注意を促した。カウンター内のレイアウトと店員さんの意識はあまり宜しくはないようで。

 ちなみにその日は、オフ用の眼鏡を代わりに掛けていたのでデスクワークは問題なくできた。打ち合わせには一切出掛けられなかったのだが(笑)。


というわけで本日仕事納め。上司と部下はまだ働くのだけどね。年内最後の酒場巡り…のつもりが、仕事の都合がイマイチ掴めんし体調もあまり良くない。なんか頭がフラつく。早く寝るか。<マダ就業中デスヨ

'05.12.13  随筆

叱り方

 自分は子供の叱り方にはほとんど自信がない。妻にはよく非難されるし、実際自分が間違っていると思うことも多い。自分の子供に対してそうではあるし、他人の子供を叱ってもやはり「ああ失敗したな」と思うことは多い。その様に自信がない上に、更に判断の難しい場面で他人の子に注意しなければならないことになってしまうこともある。

 その日は家族で催し物に出掛けた。会場前で妻と子供達を降ろし駐車場を探してクルマを停め、そこから会場まで少し大きめの都立公園を抜けた。大きな催しのために公園内にも小さな子供連れがちらほらと見られた。

 公園の真ん中を過ぎた辺りで「バタタタタ」という音が響く。空気の炸裂音にモーターの音が混ざる、私にとっては聞き慣れた音。「電動ガン」というモーター仕掛けのエアガンの発射音だ。音の方を見ると小学生が2人、歓声を上げている。

 私は後からゆっくり近づいて"それ"が何かわざわざ訊ねる。1人が躊躇い気味に「電動ガンです…」と答える。その子の言い方には大人に分からないことを言って煙に巻いてやろうという感じは特になかったが、こちらに知識があることは分からせないといけない。

 「東京マルイのMP5A5だね。HGか? 良いの持ってるじゃない。でも、18歳以上用だよね」

  そう言われてその子はただ頷いた。

 「公園で撃ってちゃ駄目じゃん」

 「いけないんですか」

 「そんなこと取説にも書いてあるよ」

 勿論分かっているのである。

 「でも撃つ場所ないんだろ」と言うと2人は強く頷く。

 「それは分かるからさ、少なくとも問題になりにくいところで遊びなよ。小さい子供だらけの公園なんて、大人にエアガン取り上げてくれって言ってる様なもんだぞ」

 その後2人がどうするかを見届ける時間はなかった。ゴーグルをかけろとは言ったが、紙袋を使った跳弾のないターゲットの作り方まで説明は出来なかった。

 自分の注意の仕方が正しかったかどうか、大人としてもガンマニアとしてもあまり自信がない。

 玩具の"エアガン"は業界では「エアソフトガン」と称され、低圧のガスや圧搾空気でプラスチックの弾を撃ち出す。標準では大した怪我はしないが、近くで当たればかなり痛いし、目に当たると失明する。業界には構造・材質・威力に自主規制がある。そしてその自主規制に沿った条例が各自治体に設けられ、所持の規制は10歳以上用と18歳以上用に分かれる。


12日の日中に30万アクセスを超えた模様。ありがとう。
読書 重松 清「トワイライト」 文春文庫

 


'05.11.24  随筆

居酒屋で
 

 滅多に行かないのだが、このシーズンは居酒屋で呑むこともある。別に気取って「滅多に」と書いているのではなく、要するに一人で入りにくい所では呑めないということである。

 居酒屋のドリンクというと、ジョッキとチューハイ、そしてコンクで作る甘ったるいだけのカクテルである。ウオツカとビールしか呑まない私であるが、ビールはともかくウオツカの存在は危うい。モスコミュールが出来てウオツカトニックが出来ない道理があるかと思うのが普通だが、相手がコンクではな。

 呑む時は食べない私だが、居酒屋ではさすがに何か口にする。酒については冒頭のようにとやかく書いているが、私は食べる方は全然食通ではないので、実のところ居酒屋メニューで充分である。

 しかしそのフードは、やたらと手造り(「造」っちゃいないだろと突っ込みたいが)やどこどこ産を謳うくせに「とろっとろ」やら「ほっくほく」なんて子供っぽいオノマトペを使う尻の痒くなる名前がオンパレードして、写真がなくてもどんな内容なのか知りたくもなくなるというものだ。冗談のような趣味の悪い格好をしている奴に「そのネクタイどこの?」と訊くようなものである。げんなり。

 最近では客席の多くがパーテーションで囲われていて、個室の様になっている店も多い。そしてどの料理もやたらと安い。経営は大丈夫なんだろうか。

 ちなみに仕事柄メニューは割に眺め回してしまう。これはこれでなかなかに興味深い。料理同様にマスプロ化されており、その意味では同業成果物のサンプルみたいなものである。素人のメニューにあれこれ突っ込むのは大人げないが、同業の仕事と思えばこそ「その皿切りは何だ」とか「こんなガチャガチャにフォント変えるかよ」などと思いながら、たまには「へぇ、こんなやり方もありかぁ」と感心したりしつつ眺める。何も食べないくせにいつまでもメニューを見ているから、よく知らない人は変だと思うだろう。

 私は居酒屋で何をしているんだろうか。


話題に全く関係ないが、

TVでも盛んにCMしている太陽神戸三井住友銀行の「すぐにお返事するカードローン」だが、試しに問い合わせをしたら10日以上放ったらかしにされた。嘘ばかりの全くデタラメ広告である。さすが。


'05.11.17  随筆

サザンライツ

 

 夕食後、頃合いを見計らい妻に話し掛ける。

「最近太ったと思うんだよね…。」

 すると食器の片づけをしていた妻がにやりとして間髪入れずに「そんなの3年前に気付いてよ」と返して来た。
3年前と言えば転職した頃だから、やはり転職後私は太り始めたのだったろうかと考えたが、そんな話をしたかったわけではない。すぐに話を続けた。

「それで自転車、買いたいなぁと思ってるんだよ。」
「なーんで自転車、わざわざ買うのよ」
「ほら、何事もカタチから入るたちじゃない?」
「いいですよ。自分でやりくりできればね。」

 はなから金額のことは訊かない。後は具体的に家計を切り盛りの話なので、外で呑んでばかりいる自分には分が悪いし、その時は既に頭の中は自転車のことで一杯なので早々に退散。

  スポーツ用と言っても結局は街乗り主体だからあまり本格派である必要はない。しかし乗り物は乗って楽しい物でないと駄目だと愛車に乗る度に実感しているので形だけの偽物ではなぁとも思う。そして、滅多に買わない物なのだしちょっと凝った作りの物が欲しい。

 目を付けていた物が新宿の東急ハンズにあったが型番が今ひとつはっきりしない。多分「LOUIS GARNEAU JEDI」で、その前年モデルに綺麗なグリーンメタリックがあった。ネットで調べると定価11万が最安で7万円代。ともあれこれかどうかを確かめにハンズへ行った。

 件のモデルがそれであると確認して外に出ると、不意に電飾に囲まれた。年末恒例の「サザンライツ」である。ちなみに品川のは「ハーバーライツ」。東京は「ミレナリオ」で神戸の「ルミナリエ」の兄弟分である。

 性格上、「けっ」と思うのが想定だったが意外に素直に「綺麗だな」と思えた。もっともそれは一瞬で「総予算○千万の仕掛けがこれかぁ」なんて見回している。

 サザンライツの後だったので、BPMの一杯目はサザンカンフォートのロック。甘過ぎるのは酒だか自分だかと思いつつ呑む。


読書 永 六輔「言っていいこと、悪いこと」 知恵の森文庫

困ったな…。ラジオで聴くのは良くても文庫本分集まると読みにくいというか読めない。自分が未熟なのか? 全然ダメ。つまらないし。

 


'05.11.11  随筆

独り呑み

 

 酒場には大抵一人で行く。誰かと一緒だからといってそれ程気を遣うわけではないが、人の都合なんか気にせず呑みたいというのがある。隣り合わせた女でも口説いているんだろうなぞと言う人がいたりするが、それこそ気を遣って疲れてしまうではないか。

 酒場に行って一人で呑んでいる女性がいたら、勿論それは気になる。以前リンクで紹介した田口ランディのウェブ小説にその手の話が書かれていたが、なぜだかうちの読者には不評だった。とりわけ女性の皆さんに不評だったのはなぜだろう。うっかり「泣ける」と書いてしまったからだろうか。正確には「泣けてくる」という感じの話ではあったのだが。まあそれはもういいか。

 作中でもあったが、女性が一人で安心して飲める酒場は少ないとよく聞く。ただ一人で飲みたいだけなのに、じろじろ見られたり声を掛けられたりして鬱陶しい思いをすることが多いそうだ。

 先日、歌舞伎町の"隠れ家"で、馴染み客のT嬢(画家・20代後半)もそんな話をしていた。でも、歌舞伎町"なら"むしろ安心して飲める酒場は結構あるんじゃないのというのが店主Tと私の共通した意見なのだがそうでもないらしい。彼女は美人でスタイルも良いが、人見知りが強そうだしガード堅そうだし、普通に飲んでいれば自分なら普通に放っておくがなぁと思うのだが。あるいは個々の状況判断の問題か。

 ところで、酒場で一人呑んでいる男性が物語のように女性から話し掛けられることは皆無と言って良いのではないか。そんな話は聞かないし体験したこともない。あなたが情報を裏流しされた某国の工作員で、その女性は実は刺客とかいうなら話は別だが、そういうケースと同じくらい希と思った方が良いだろう。

 相変わらず何の話をしているかわからなくなった。

 何回も書くと何やら弁解臭いが、要するに独りで呑んでいて何が面白いと言われるのも厭だが、何か美味しい事が転がっているのだろうと言われるのも心外なのである。


読書 重松 清「ニッポンの単身赴任」 講談社文庫

'05.11.8  随筆

捨て台詞

 

 恋愛エッセイみたいなものを読んでいると、振られて去り際に女に捨て台詞をはくしょうもない男が出て来たりする。「気取ってんじゃねぇよ」みたいな。さて不思議に思うのだが現実で捨て台詞、はくだろうか。振るよりも振られることの方がトータルでは絶対多い私であるのだが、去り際に女性に捨て台詞をはいたという記憶がない。

 いや、一回だけ記憶にあった。社会人になってすぐの頃、同僚と呑んでいて、専門学校生風の女の子に声を掛けて居酒屋のような所に呑みに行ったのだが、これが最低だった。

 その娘の話は全部彼女の知り合いの噂話の類で、しかもほとんどが悪口。その上未だかつて見たこともないくらい食い汚い。取り皿は全く使わず、炒め物も自分の食べたい具だけぱくぱくと口に放り込む。当然のように箸の持ち方が幼児以下。くっちゃくっちゃと音を立てまくって食べる。しまいにはどこかに電話を掛けに行って(携帯電話はまだ普及していなかった)誰だか友達の所に行くことになったから帰るとか言って「ごちそうさま」も言わずに去ってしまった。

 しかもまるで「これだけ奢らされちゃたまらないでしょう?」とでも言わんばかりに得意満面で食い散らかした皿を見回す様があまりにも滑稽で憎たらしいので、私たち2人は思わず「なんだあれ、奢らせまくった位のつもりか!?」「んな安い居酒屋でガキに食い散らかされるくらい痛くも痒くもねーっつーんだよ馬鹿」「あービックリした。あんな馬鹿ありか? 信じられねぇ。何様のつもりだアレ」などと言い合った。あ、本人に聞かせたわけではないから「捨て台詞」ではないのか。そして勿論そんな女の子を引っ掛けて初めは少しなりとも喜んでいた自分達を恥じて、それを誤魔化すために河岸を変えて呑みに行ってしまった。悪酔いした様な気がする。

 自分が捨て台詞をはかれたことは…1回くらいあった気もするが、その話は思い出すことがあればまた改めて。


読書 田口ランディ「馬鹿な男ほど愛おしい」 新潮文庫

で、今読んでいるのがこの本なわけで(苦笑)。


'05.11.1  随筆

替え眼鏡'05年・秋

 眼鏡を作った。今年3本目になるから例年にないペースである。別に「眼鏡男子」流行だからという訳ではない。いや、男"子"じゃないし。

 そもそも前回作ったのは度入りサングラスなので、これは今の時期もう掛けられない。先週末陽射しが強かったため庭での作業の際にかけたのだが、ちょっと手元が暗かった。色の濃さは70。室内で向き合えばしっかり目が見える程度なのだが。

 私はいつも鞄にオフ用の眼鏡を入れている。よく使うのは確か2年ほど前に作った物で、形がちょっと「ウルトラアイ」風なので某所で「セブン」と呼ばれるようになった曰く付きの物である。そんなデザインということもあるが、テンプルが太くフレームの上下幅が狭いので仕事中にかけるのには効率面からも適していない。だからこそ掛け替える時に程良いスイッチになるというものなのだが、最近少し飽きてきてしまった。それに街中で似た種類の眼鏡をよく見掛ける様にも思う。しかし新社会人と思しき諸君、仕事中にその眼鏡はおかしくないか? 私が言うのも何だが。

 今回オフ用眼鏡を新たに作ろうと思ったきっかけは、得意先に近いエキナカに入った眼鏡屋を覗いたこと。話のネタにもなるしデザインも悪くないしと思い注文寸前までいったのだが、ふと、この値段(1.5〜2万)なら量販店のブランド物コーナーと同じじゃないかと。実際見に行くと同じ価格帯ではるかに種類が多い。

 ただし今回見比べ歩いて、量販店の中には変なものがオプション扱いになっている店もあることを発見した。某店ではなんと「ツーポイントフレームは加工代が+3,500円」となっている。なんじゃそりゃ。

 結局量販店ではなく流行の安売り店に落ち着いた。「夜の酒場で掛けていても機能上問題がない」30の色付きにした。歌舞伎町では70以上の濃さでも夜掛けている人をよく見掛けるが、それはまあ別の話か。

今、使っている眼鏡集合。
高級品に限ってヤワなフレームで、壊れたりした。
ツーポイントを作ったのは5年ぶりくらいか。


読書 重松 清「ビフォア・ラン」 幻冬舎文庫

重松清のデビュー作である。今年の8月に4版が出ているが、重松の文庫本でなぜかこれだけが書店で全く見掛けられなかった。送料や取り寄せ時間をかけるのはあまり好きではないので読めずにいたのだが、東京駅の丸善でやっと入手。


'05.10.27  随筆

隠れ家

 

 その日も歌舞伎町の某所で熱帯魚を眺めながら呑んでいると、急にTさんが「おぅ、来てたのか」と足元に向かって声を出す。私の位置から彼の足元は見えないが、それがいつもこの雑居ビルの入り口辺りで見掛けるノラ猫であろうことはすぐに分かった。しかし店の中に入ってくるのに出会すのは初めてではないかな。

 2杯目を呑んでいると、彼が携帯に出た。出るのは大体6回に1回くらいの割合の様な気がする。呼び出しのメロディで判別しているらしいが、私には彼がどの曲に出てどの曲を無視するかが未だに掴めていない。

 「カウンターの中なら」とか「奥とか意外に気付かない」とか話している。「Sさんの鞄の中とか」と悪戯っぽく言ってから私をちらりと見て、一拍あって「うん」と言う。「30分くらい隠れさせて欲しいって言うんスよ」と。名前では覚えていないが何度か顔を合わせたことのある娘のことらしい。「客か。面倒な仕事だな」と言うと、「いや、彼氏らしいスよ」と。

 結局彼女はちょっとだけ顔を出して、すぐ上の階の事務所に漫画本を抱えて行った。訊くと大して深刻な話でもない。出掛けに入れ違いで帰ってきた彼氏と喧嘩して来たのだそうである。

 近くの馴染みを一巡した後に覗いてみると、彼女はカウンターで"イケメン"と肩を並べていた。結局捕まったらしいが、ちょっとおどおどした感じの彼は喧嘩の勢いで追いかけてきたという風でもない。やけにはしゃいでいる彼女が私に話し掛けてくる。

  「Sさんてどんな風が好きなんですか?」
  「普通だよ。普通」
  「一度プレイしてみたぁい」

  2人が帰った後でTさんと顔を見合わす。
 「かわいいもんだねぇ。わざわざ彼氏の前であんなこと言ってさ」
 「子供なんスよ、子供。 …プレイ、してみます?」
 「しないよ。子供なんだろ?」

 「隠れ家」なんて言って廃屋に潜んでみても、別に大したことはしていない。子供の頃と違って酒は呑むが。


読書 角田光代「愛しているなんていうわけないだろ」 中公文庫

書いてることが何か若いと思ったら'91年の初刊行だった。だよな。自分と同年代の人の生活じゃないもんなと思いながら(角田さんは'67年生まれ)、ふと'91年つまりたかが十数年前の自分を思い起こす。…まあ、今とあまり変わらないという訳ではないのだが詳しくは言及せず。

'05.10.18  随筆

「事情聴取」

 読んでいた本を途中でやめ、ここしばらくの何冊かは以前読んだ本の再読をしていた。ふと、ある話を無性に読み返したくなって部屋の中で本を捜すなんて滅多にないのだが、そういう時に限って見つからない。多分、藤沢周なのだが、どの本か思い出せなかった。

 結局その話は「陽炎の。」に載っていた「事情聴取」だった。

 酔っぱらった男が、記憶障害でも起こしたかのように錯綜する記憶の中で、いつの間にか失踪して浮浪者となっている。そういう設定だった。酔って喧嘩をするとか、季節性うつ病の気があるとか、諸々それらしい要因は散らばっているのだけれど結局はっきりとは書かれていない。それだけに自分にもそこへ陥る可能性があるような気すらして背筋が寒くなる。何せ自分も呑んでばかりいるし。

 主人公には妻がいるし生後3ヶ月の息子もいる。しかしそれと6年間の失踪との関係は希薄な様に見える。浮気相手も友人もいるがそれも関係がない。本人が「関係ない」と言っている失踪した父親の存在は、関係はあるが原因ではない。原因はわからない。

 ぶつ切りで飛び飛びの時間の中で浮浪者となり、警官を罵倒し、なりたての浮浪者を蹴り倒して掛けの金を奪い、泥酔した女を公衆便所で犯す。縛り上げた老女の家で風呂に浸かり、盗んだクルマに乗ってもう誰が住んでいるかわからない自分の家を見に行く。

 「家で妻と子供が待っていると思うと、ああ帰れるって幸せな気持ちになって呑むんだ」と"正気"だった時の主人公は言っているが、彼はそもそもそこへ帰りたいと思っていたのだろうか? 

 しかし彼が"行き着いた"ところで思い出すのが、他の何でもない「幼い息子の柔らかい頬」であったのは、とてもよく分かる気がする。記述の中で妻のディティールは曖昧だし、愛人との逢瀬も表層的であるが、そこにだけ体温を感じてしまうのは私の思い違いなのだろうか。

'05.10.4  随筆

読み聞かせ会

 今朝は出社前に娘の学校に寄った。「読み聞かせ会」のためだ。週変わりで朝の15分間、保護者が教室で本を読んで聞かせるという会である。いつぞや書いた通り在宅ファッショによる半ば強制の持ち回りだ。しかも私の番では当日の朝に学校から電話があり、臨時集会のために時間が15分ずれるという。会が終わってから出社しても始業時間に概ね間に合う時間だったのに。前日に直行の予定が入って余裕が出来たので助かったが、こんなのアリだろうか。と言っても主催は保護者会なので学校側に落ち度があるわけではないし、ましてや子供達には関係ない。ともあれ本を借りて事前の準備もしていたから予定通り行くことにした。

 私の前の週も、共働き家庭のお父さんだった。知っている人なのでどんな風に本を選んだかは聞いていた。「絵本ナビ パパ's絵本プロジェクト」というサイトで調べたそうだ。私はと言えば、結局は図書館へ背表紙とにらめっこをしに行った。文庫を買う時と同じであまりロジカルではない。

 図書館へ行くと、読み聞かせ会専用の冊子を見つけた。A6判簡易製本の薄い冊子で二十数巻出ている。所要時間と対象学年が書かれているが、残念なことに通巻でのインデックスが無いため、いちいち全部開いてみなければならなかった。

 私が選んだのは「四人のなまけもの」という中国ウイグル地方の昔話。所要時間が6分(実際にはもっと時間をかけた)だったので、前段でウイグル地方の説明とかを入れることにした。授業みたいで小学校1年生に楽しかったかどうか。まあ仕方がない。いろいろ考えたところで自分に出来ることとそうでないことがある。

 もっと騒がしく話を聞かないかと思っていたら、みんな静かに、大半はこちらをじっと見ながら話を聞いていた。小学1年生だもんな、可愛いものだ。

 読み終えると「面白くなぁい」と文句を垂れる男の子の声が聞こえたが、後で娘に聞くと好評だった様である。自分では読めない漢字の本を「貸して」と持っていって、寝る前に読んでいた。

「四人のなまけもの」
怠け者4人がパンと"かめ"に入れたヨーグルトを持って森に出掛ける。少ないヨーグルトを割るために水を汲みたいのだが、怠け者故進んで行く者がない。仕方ないので黙り比べをして行く者を決めることにした。そこへ狩人が犬を連れてやって来て、なにも話さない怠け者達を放っておいてヨーグルトを食べてしまう。残り物を漁る犬に舐められて思わず追い払うため声を上げてしまう者がいて黙り比べは決着が付くが、食べる物自体が既にないのでお話も終わり、という話。 ウイグル地方はムスリムなので、中国人と言っても「ニイハオ」じゃなくて「サラーム」となるとか、話中のヨーグルトはデザートで食べる様な甘いものではないとか、そんな前振りをした。

'05.9.30  日記

呑んで1週間

神田発 Bar Alley
 週始め、リニューアルオープンだったので顔を出した。田丸さんがいつもと違う髪型だった。店はややスタイルを変えてフードが充実したが、ドリンクはレアものを除いて変わらず500円である。私がほとんど何も食べないのは周知なので、枝付きケッパー(酢漬け)を勧められて頼む。枝付きの物は珍しいらしく実際私も見たことがない。しかしどちらかと言うとスモーキーな呑み物向けで私の呑む物にはあまり合わない様に思ったが、話の種ということで半分食べてみる。
 レジ脇にMODの花もあった。一番大きなひときわ目を引く花が店の奥にあり、こちらが親会社関係の物かと札を覗くと「田丸」とある。田丸さん、ひょっとして"この業界のドン"のご息女だったかと思いきや、聞くと単に"普通の"お父様からの花だそうだ。ほっとした(笑)。

ゴールデン街発 Salon Luft Schloss
 土曜限定要員"雪ちゃん"が緊急召喚というので冷やかしに顔出し。もっとも、彼女にはコアなファンが付いており、"雪ちゃん"とか軽々しく呼んでいてはいけないのかも。んなこたないか。店に入ると店内は全員眼鏡(勿論自分も)。サンマの呪術を唱えていた。悪魔の"スクツ"である。養殖が進んだのか久しぶりだからか、彼女の声が随分と女性らしく感じた。と思ったらあれはやはり完全擬体だそうで、発声プログラムを書き換えただけかも。便利なことばかりではなくて、先日はゴーストハックしてきた初対面の人とハグしてしまったとか。一長一短だな。

歌舞伎町発 IRISH PUB the ANGEL
 しばらくぶりにいつもの時間に寄る。「自分が初めてお会いするだけで、最近入ったわけではないんですよね?」とバイト嬢に声を掛けると、「お会いするの、3度目ですよ」と言われて唖然。顔見知りの常連氏に笑われる。確かに閉店前後にふらりと寄ってしまったことがここのところあったが、そんな状況で覚えていなかったらしい。

 以上の話は決して一夜のうちの話ではないので。


久しぶりにリンクを追加した。DEAD HEADS氏の「死頭方舟」である。
DEAD HEADS氏とは知り合ってから随分経つ。

'05.9.25  日記

キャラクターに挑戦

 キャラクターネタが続く本欄…という訳でもないが、週末はこんな物を弄っていた。何となく居間でだらだらしつつ下の娘と留守番。オンラインにも飽きて、何か弄りたいなぁとMk1をバラしたりしていたのだが、身にならんなぁと。当たり前か。

 先日は妻の自転車のベルを直してみたのだが、取り付けるなり繋いだベルトが切れた。エポキシ接着剤で繋いだのだけど補強が足りなかったか。模型も長いこと弄ってないし、絵も描けなくなってるし、自転車如きがレストアしかけで放ったらかしだし、手作業何もできてないじゃん…。

 そんなことで鬱々として床に転がっていると、同じく床に転がっているコレが目に留まる。上の娘のランドセルにぶら下げていた防犯ブザーだが、妻がある日テストをしたら微かな音しか鳴らなくなっていた。とりあえずキャラクターものでない防犯ブザーに付け替えて、こちらは放っておいた。

 買ったばかりでほとんど使っていなかったのだから電池切れではないだろう。振るとカタカタ音がして、スピーカーが動く。00番のプラス1本でバラせた。見るとマウント部から外れたスピーカーに引っ張られてコードの半田が1箇所取れていた。

 「ウサハナ」の防犯ブザーは何種類も市場に出ている。これは近所の西友だかリヴィンだかで買ったもので中国製。電池はLR44などの汎用性の高いものではなく、単5サイズで12Vの変な奴だった(後で調べると防犯ブザーにはよく使われている物らしい)。作りが甘く加工が雑。日常的な衝撃であっさり使用不能に陥る。こんな"縁日玩具"に子供の安全を託して良いのか?

 とか文句垂れながら「おねがいマイメロディ」を観る。「ふたりはプリキュアMaxHeart」が話も絵もあまりに下手なのでとても面白く感じてしまう。無為に過ぎていく日曜日であった。


'05.9.20  日記

ブログ不具合/浦安ネズミ海

 このブログ、試験運用というか見切発車と当初書いたが、ちょっと違う環境で見ると全然駄目な表示になることがあるのを確認した。私がテンプレートのCSSをいじっているのでそのため起きる不具合もあるのだが、それだけではないのだ。酷いのになると同じプラットホームでブラウザのバージョンが異なるだけでナビの「前」「次」が逆になり、スクロールが出来ないこともある。また本来メニューは右へ来るはずだが、これは更新内容によって下に来たりする。背景はいつもの迷彩柄の更に後に白が来るのだが、この背景の範囲も崩れる事がある。馴染みの方は申し訳ないがOS/ブラウザを併記して不具合を教えて欲しい。更新内容部分を従来の「小隊司令部発」と同レイアウトに出来るのはここだけだったので選んだのだが、新進のアサブロ故の不具合も多い。それから更新作業が煩雑になるため「公文書」の"ページ割Java"は四半年完結毎に掛けることにしたのでと独り言の様に報告。

 さて今週を挟んで3連休がダブルで来るが、ありがたいことに私は暦通り勤務である。前半は、"浦安ネズミ海"へ行った。"園"の方も10年以上前に行ったきりである。母と妹も含めて家族全員での1泊だったので、さすがに留守番するのも気が引けたのと、このところ機嫌の悪いことが多い上の娘の様子も気になった。そう書きながらも、やはり言うこと聞かなければ叱りつけるし、欲しいと言う物全てを買うわけでもなし。相変わらず人混みでは不機嫌だし(私が)。理想通りにはできない。救いはあまり列ばずに数カ所回れたこと。そして"園"よりはキャラクターが少ないこと。特にあの"裏声で喋るネズミ"が口癖のように「ハハッ」と短く甲高く笑うのが癇に障る。くーっ。今回は休日外出に珍しく往路バスで帰路電車である。お陰で昼からビールを呑んでいたりした。レストラン内なら呑めるのでその点も"海"で良かった。というかやはりアル中か私は。



水上放水戦車。 先の演習で水没した中国製水陸両用装甲車とは出来が違う。

科学忍法火の鳥。というかメカキングギドラ? 熱風結構アリ。

ショウは対空砲火の弾幕でフィナーレ。これが米帝の完全無人兵器か…。

キャプションがアル中ですか?(苦笑) スミマセン。20:05から始まるこのショウの席取り作戦は17:30状況開始という長期戦だった。まあ確かに綺麗だったが、小官には糧食(液体)無しには戦えなかったよ。

'05.9.15  随筆

「ズブロイカ」

 Alleyに寄る。新しく入った人が、やはり"日比谷"出身のバーテンと知りしばらく話し込む。締めをどうしようかと考え始めたら、彼女に不意にバラライカはお呑みになりますかと訊かれる。ウオツカベースばかり呑むので勿論バラライカは知っているし嫌いじゃない。

 するとベースにズブロッカを使うバージョンがあるという。ネーミングは「ズブロイカ」とか称するようでこれはいただけないが、ちょっと興味がある。とりあえずロックにしてもらう。邪道な様だがなかなか悪くない。

 呑みながらふとこれにストーリーを付けてみたくなった。

 元となる「バラライカ」の由来ははっきりしない。ウオツカベースの上にカクテルグラスの形が純粋にロシア民族楽器を逆さにした様にも見えるからというのが一般的だが、楽器のバラライカが印象的な映画「ドクトル・ジバゴ」をイメージしてという説もある。

 ちなみに「バラライカ」の元である「サイドカー」の由来については更に多く特定しきれない。諸説ある中で、ミリタリーマニアである私が支持するのは、偵察中の仏兵が荒野を走るサイドカーの舟であり合わせの酒を混ぜて気付け薬代わりに呑んだという説である。

 そこから考えると「バラライカ」はPPSh41を抱えたソ連偵察兵のイメージであるが、さすれば転じてこの「ズブロイカ」は、ポーランドの湖岸を捕獲兵器にしたペーペーシャーを抱えて敗走する独兵を想起させはしまいか。兵は無言でハンドルを握りしめ悪路に前輪を押さえつけている。途切れないBMW水平対向エンジンの咆哮。あり合わせのズブロッカと…、コアントローはポーランドのその辺に転がってはいなかっただろうと思うが。

 つまらん妄想に浸っていたせいか、少量で適度に酔い店を出る。しかし帰路にやはり何か違うなと思ったのは、さっぱりとして後口も良いこのカクテルに「敗走」というイメージは似合わないからだろう。


「サイドカー」 1933年ハリーズバー(仏)のハリー・マイケルホーンによって発表される。これを頼む常連がサイドカーで通っていたからという説が有力だが諸説あり。
レシピ:ブランデー30ml/コアントロー15ml/レモンジュース15ml

「バラライカ」(酒) 1965年のサボイ・カクテルブック(英)に初めて登場したとされるが、由来は不明確。同じ年に公開された映画「ドクトル・ジバゴ」イメージ説が有力かも。
レシピ:ウオツカ30ml/コアントロー15ml/レモンジュース15ml

「バラライカ」(銃) 二次大戦ソ連が使用した短機関銃PPSh(ペーペーシャー)41の愛称。弾庫部分が民族楽器に似ている。同じ物を日本では「マンドリン」と称した。大戦後期、独軍は自国制式弾薬と互換性のある弾を使う同銃を捕獲して大量使用した。

「バラライカとサイドカー」
(本欄のバックナンバー)

読書 司馬遼太郎「以下、無用の事ながら」 新潮文庫

野坂昭如は途中で断念。もうちょっとオトナになってから(笑)読もう。


'05.9.12  随筆

「クールビズ」でした。多分。

 扇風機に引っ掛けて冷ましていたシャツを取り、袖を通す。それからネクタイを選び、上着のポケットに入れる。この夏「クールビズ」なるものが流行ったお陰で、ノータイで電車に乗ることが違和感無くできた。

 と言っても胸元から白いアンダーシャツが見えているのはあまり見てくれの良いものでもないので、アンダーシャツが黒い時だけのことなのだけど。そうするとシャツは当然濃色でないとならないのだが、私の場合は3日に2日はダークグリーンや黒なので、結果週の大半をノータイで出勤できた。

 Yシャツの下にはアンダーを着ないものだという方は「ホットドッグプレス」でも読んで育ったか。日本の気候に合わないし、白いシャツでタイまで外すと出来損ないのホストみたいだから止した方が良いと思う。それにそもそも汗臭そうだし。

 身近に「クールビズ」に否定的な人がいて「お金が掛かるから」とおっしゃる。どうも意味がわかりかねて突っ込んで訊くと、「洒落たシャツを新たに買わないとならないから」というのである。よくわからないな、じゃあ今までは全く洒落ていないシャツをわざわざ着ていたのだろうか。クールビズに特化したシャツというのは特に記憶にないのだが、何が"「クールビズ」に最適化されたお洒落"なのだろうか。よくわからない。

 「クールビズ」について当初ネクタイメーカーが抗議したのに対して「商品を工夫せよ」と返した方がいらしたが、前段の話通りだとするとタイの代わりにシャツが売れたのだろうから市場は良しとしたのだろうか。いや待てよ、流通はともかくシャツとタイ両方作っているメーカーってそんなに多くない気がするが。まあどうでもいいか。私は「クールビズ」だからと何かを新調したりはしなかったが、扇子は手放せなかったな。

 この頃はノータイで街を歩くと"涼しい"と感じる日も多くなり、この格好もそろそろかなと思う。


'05.9.9  随筆

サングラス後日談

 過日「サングラスを作った」とだけ書いておいて、そう言えば後日の話がないのを思い出したので書いておく。随分前の話で申し訳ない。

 半ば慌てて作ったサングラスは、当座の予定通りに長距離ドライブで活躍した。「長距離」と言っても武蔵野−箱根間だが、暑さでカーナビが停まってしまうほど陽射しの強い天気だったので重宝した。

 この数年で私は眩しい陽射しにすっかり弱くなっているため、目的地の箱根でクルマを降りても掛けていた。「買った」ではなく「作った」なのは当然度付きだからなのだが、それ故に外す時は掛け替えがないといけない。小さい子を2人連れていて余計な物を持ち歩くのも面倒なのでそのまま掛けていった次第である。子供達はサングラスを掛けたままでは厭じゃないかなぁと考えていたのだが、意外に気にならないらしい。むしろ逆に怒られた時に「あまり怖くない」ので良いらしい。

 "長距離ドライブの短期間夏休み"も終了。そして戻った日常の都心部も道路の照り返しはかなりきつく高速道路を走る時と変わらない。大きなスクランブル交差点での横断歩道の照り返しは殺人光線の様である。そんな訳で通勤時も掛けてみたりした。でも眼鏡自体があまりオンタイム向けのデザインではない上に、私もスーツ姿ではあるものの堅い仕事風ではないためか、ちゃんとしたビジネスマンには見られていない模様。神田という場所も悪いのだ。きっと。

 流行の安眼鏡屋で作った物だが、それほど悪くはない。ただ、あの類の店の眼鏡というのはワンサイズしかなく、私にはいずれもおしなべて小さい。52以上ないとどうにもしっくりこないのだが、滅多に見掛けない。これも50しかない。

 また、レンズ側面の仕上げも選べない。側面の削った所はヤスリで削ったままという感じだ。鏡面仕上げを施せる様な技術者もいないのだろうが、ポイントフレームの場合はやはりどうかなと思う。

 お気に入りとなった眼鏡も、しばらくすると掛けられなくなるのが残念。


読書 野坂昭如 著 大庭葺朗 編 「野坂昭如エッセイコレクション1 プレイボーイ」 ちくま文庫

'05.9.7  随筆

栞(しおり)

 私がよく行く書店は、文庫を2冊一緒に買っても栞を1枚しか挿んでくれない。どこもそうだろうか? うっかり栞の入っていない方から読み始めると不便に思うことがある。もっともこの書店の栞は大して使い勝手の良いものではないのだが。何が良くないかというと、厚みがあり過ぎるのである。専門用語で恐縮だが、四六判135kある。私は110kでも厚いと思う。

 文具店でよくシートメタル製の栞を見掛けるが、あれは如何なる本を読む人が使うのだろう。少なくとも電車内で文庫を読むときには使えない。5時半に仕事を終えて2駅隣の家に帰り夕食と入浴を済ませ、ベッドの中でシドニー・シェルダンでも読む様な人が使うのだろう。

 栞は薄い方が良い。極論すれば呑み屋のレシート位でも良い。もっとも私がよく行くような店はレシート自体出さないし、いくら大酒呑みでも1店でそんなに呑むわけではないので長さが足りない。何人かで行く居酒屋のレシートが丁度良い。私一人ではまず頼まない程にフードの項目が並び、丁度良い長さとなる。但し私は滅多に人と居酒屋に行ったりしないし、社用で行けばそれは手書き領収書になってしまい使えなくなるのだ。手書き領収書というのも厚みが丁度で良いのだが、栞に使うと月末の精算に出しそびれる恐れがある。

 文庫には大抵ブックカバーを掛ける。ずっと愛用している物がある。前の勤務先の最寄り駅前に丸善がある。そこのレジ脇に並んでいたビニル製の簡素なものだが、私はこれが気に入っている。ビロード風で、例によってグリーンだ。これには栞代わりの"ベロ"があり、栞を無くしてしまった時にたまに使う。しかしこの"ベロ"が左側にあるのが気に入らない。続きを読むときに抜かないとならない。そうすると、次に中断する際自分がどれくらい読み進んだかがわからなくなるのが悔しい。

 ちなみに2冊一緒に買っても広告は必ず入っている。たまに栞の代用にするがあれは良くない。そもそもが鬱陶しい。


 というわけで今回から「小隊司令部発」はブログとなった。ただしご覧の通り(?)試験運用である。メインプロバイダであるアサヒネットのプログが立ち上がったばかりだが、これを使っている。今のところ自分の未熟もありイマイチだが、回しながら改良する予定なので当面宜しく。試験運用というより見切り発車である。
 内容の方はブログ1回目に相応しき私らしい"ぐだぐだした話"をと思って書いた。バックナンバーは変わらず「公文書」でも読めるようにするので今後ともよろしく。


読書 村上春樹 文 大橋 歩 画「村上ラヂオ」 新潮文庫

村上作品はスポーツと絵本以外は全部読んでいたつもりが、これは未読だった。コケさんと読書タイミングが被った模様(笑)。