小隊司令部(随筆)
公文書

'04.4.16  随筆

「酔ってどうする」B面2曲目

 酒場ではもっぱら絡まれ役の私だが、先日は女難の日だった。

 馴染みの店に久しぶりに行くと、なぜか見知った同士らしい男女の間に半ば強引に通された。私をそこへ通した店主は奥の方へ行ってしまい、なんだと思う間もなく女の方から話し掛けてきた。私が通い始める前の客らしく、話すと共通の知り合いも多い様だった。しばらく呑んでいると、なぜそこへ通されたのかが分かった。この2人、実は仲が悪いのだ。かなり酔っている女、「ちょっと先生(なぜかこれが私の呼び名)、あいつの呑み方注意してやってくださいよぉう」とか言っては私の腕を掴んで揺する。奥の店主と目が合うと、へへへという顔をしてやがる。私は仕方なく彼女を系列店の方に連れ出した。彼女の親しい知り合いがいるかもしれないし、うまくバトンタッチが出来れば晴れてお役ご免である。

 いつになく混んだ店内に入ると見知った顔がちらほら。目で挨拶をしながらスタンドのテーブルへ。「何であなたがその人と?」という顔でもしてくれれば良いが、それが店員では混んでいて忙しいから助けにならない。ところがしばらく他愛のない話をしていると、女が他の女に声を掛けた。私もよく知っている女性だが、古い知り合いらしい。3人で席に着き、話し込み始める2人を横目に、ではそろそろと一度トイレに立った。ところが戻ってくると先の女は離席しており、私は旧知の彼女と話し始めることに。しかしこれがどうにも話を聞くと意見を言いたくなる事柄が多く、終いには身の上相談の様相を呈して帰るに帰れない様になってしまった。

 すっかり酩酊してしまった彼女を途中まで送るもどうにも帰路が心許なく、結局タクシーで送り届けることになってしまった。タクシーが変な位置で降ろすものだから、タイトスカートで足下おぼつかない彼女を抱えてガードレールを越えた。成人女性を抱きかかえるのは久しぶりのことであった。

 さて、家に帰り着き考える。あれを役得と言うや否や。


どこの店の話かは内緒。だって先日も某店の某嬢に「重い鞄のおかげでマメに更新できるんですネ」なんて話し掛けられたし。欄外まで読んでくれているのである。迂闊なことは書けない。ちなみに今回の随筆、前回の「だってすきなんだもん!」恒例の代行日記の2回目用に書いていたが、目出度く復活された様なのでこちらに載せた。

読書 よしながふみ 著 「西洋骨董洋菓子店」1〜4巻 ウイングス・コミックス
こ、これホントにドラマ化したんだ?(驚)  ちなみに吉行は未だ読了できず…。電車の中で読めんよ。

'04.4.9  随筆

「酔ってどうする」A面

 W氏は得意先の管理職だ。得意と言っても歳が近く、よく仕事抜きで2人で呑んだりもする。恰幅が良くて肌は浅黒く、見た目も中身も完全に体育会系で私とは全然タイプが違うのだが、どこを気に入られたのか5年程度付き合いが続いている。ちなみにそんななりだが酒はあまり強くない。従って2人で呑むと言ってもペースは違う。これが何かの手違いで同じペースとなってしまったりすると、よろよろの彼を途中まで送ることになったりする。

 ある時はタクシーの中で具合が悪くなったと言い、ちょっと降ろせ、お前はいいから行けと言う。立場を自分に置き換えてみればそれは確かに放って置いて欲しいと思うものだから置いて行ったのだが、後日ああいう時は自ら降りて背中の一つもさすってくれるもんだろうと思っていたと言う。他の人達との呑みになると必ずそれを言われる。こいつは薄情な奴でなあと笑い話のネタにされる。笑い話にするくらいだしその後の付き合いも全く変わらないので、怒っていたり不快に思ったりしているわけではないのだろうが、私にしてみれば不思議に思うのである。吐くほど気持ち悪いときは、背中をさすられても気分が和らぐわけでもないだろう?

 そもそも思い出そうとしても、自分がその様にされた記憶がない。これだけ毎日呑んでいても、誰かと一緒に吐くまで呑むということがあまりない。もうそういう呑み方をする歳でもないが。

 先日、帰路に地元の駅でトイレに入ると、手洗いの所で荷物を並べて吐いている若者がいた。近くには大学があり、新学期である。荷物を盗っていく様な輩は多分ここらにはいないだろうが、しばらく突っ伏して吐いているので、「おう、大丈夫か? 友達とか一緒じゃないの?」と声を掛けた。若者は苦しそうな目つきながらこちらを見てから「駅まで送ってもらいました」ときちんと返答した。まあ大丈夫だろうと思い、私はその場を去った。

 私の判断は正しい? 薄情なのだろうか?


「だってすきなんだもん!」のやすさんから恒例の代行日記の依頼があった。日記サイトに代理で投稿するという趣向である。日記は苦手なので例によって随筆となっているが、今回は同じお題で自サイトとこちらにA/B面という趣向で書いてみた。B面がエッチな話になってしまったのは今週の読書のせいではない。念のため。

B面は、こちら

読書 吉行淳之介 著 荻原魚雷 編「吉行淳之介エッセイ・コレクション2 男と女」ちくま文庫

'04.4.6  随筆

目だけで振り向く

 「目だけで振り向く人は、あまり信用できない感じがする」。ラジオの深夜放送で聞いた作詞家・山口洋子の言葉は、中学生だった私にとって強く印象に残るものだった。だからしばらくは顔を向けて振り向くように努めたのかと言うとそういう記憶は全くなくて、逆に目だけで振り向く練習をしていた様に思う。ひねた少年だった私の心には、男は「あまり信用できない奴」位の方が格好良いのだと思えたのだ。

 もちろん先の話は男と女の間の事だったのだと思うのだが、中学生の私にとっては、女の子に良く思われることは、自分なりの格好良さを追求すること程には大切なことには思えなかったのである。しかしこういうのは不思議なもので、ある時気が付くとしっかりそれが身に付き、後戻りできなくなっていたりするものである。

 勿論、逆に心掛けによって良くなる、ということもある。以前、同僚にとても姿勢の良い女性がいて、ある時そのことを指摘すると、自分は常日頃そう心掛けておりそのためだと言う。気付いてくれた人がいてとても嬉しいとも言われたが、その先は結局どこへも辿り着かない話なんで割愛(笑)。

 表情も訓練で良くなるそうだが、これは実行も実感も出来ないのでわからない。俗に言う「モデル笑い」の様な口角が綺麗に上がった笑い方は大抵興ざめするものである。しかしあるいは自分の「営業笑い」も他人にそんな印象を与えているのかもしれない。

 初めの話に戻るが、今の私は大抵の場合視線の方向に顔を向ける。一つには、歩く時でもクルマの運転に近い感覚であるからということがあり、もう一つには「視線の方向に銃口を」という"その手の世界"で言われるセオリーによる。いずれもポーズではなく論拠のあることなので従っているという訳である。


読書 重松 清「さつき断景」詳伝社文庫

'04.3.29  随筆

実在しない実在の私

 以前、仕事繋がりの知り合いに経緯上自サイトのURLを教えたことがあった。戯(おど)けて「まあ実在の私とは違うけど」と言った。余計な一言であるが、そういうことをつい口にしてしまうところが現実の私なのである。ところが彼女は「どっちが本当のSさんなんでしょうね」と返してきた。

 彼女もまたホームページを持っていたので気持ちが分かったのだろうか。創作系で、載っているイラストも結構ちゃんとしており、それなりにコミュニティもあった様なのに、その後1年半くらいの内に畳んでしまった。付き合った男がコミュニティの繋がりをやっかむ様な男だからだったらしい。勿体ないし、あほらしい。まあそれは今回の話とは関係がないが。

 さてそういうのは例外で、私が現実の知り合いにここを教えるということはあまり頻繁でもない。「いやあボク、ホームページとか持ってましてね」で、教えられてここだったら相手も驚くだろうと思うし。もっとも、たまたま知られてしまった相手が致命的である場合はあるが。今の勤め先のボスとか。会社内で私を「島津さん」と呼ぶのはいい加減止めて欲しいのだが。

 それはともかく、サイト上の私しかご存じない方とオフラインでお会いすると「全然印象が違う」と言われることが多い。"理想の自分"を作っているつもりもなく、これが"中身の自分"だということでは自分自身との差異はないつもりなのだが。しかしまあ、日記や随筆と称して文章を書いていても、「私というのは文章上の私であって現実の私ではない」※1。とすれば、逆に「表現しないものは存在しないのと同じ」※2という意味で表現の中(=文章上)では現実の私は存在しておらず、当然現実の私とイコールの訳はない。

 最近珍しくサイトの感想をいただくことが重なり、珍しくそんなことを考える。

※1 内田百けんの言葉 ※2 村上春樹「風の歌を聴け」の一節


テレビで「パールハーバー」をやっていたので妻とついつい観てしまった。 ははは。酷い。なんじゃありゃ。今まで観てなくて正解。 まあラブストーリーってことで。SFXが凄いねってことで。 「戦闘シーンのCGだけ凄かったねぇ」と。その通り。それ以外があまりにゴミ。 国策映画ですらない。戦争映画なめて作んなよと言いたい。 何も残りませんでした。あれで何を思えと???

'04.3.23  随筆

"憧れの人"

 "憧れの人"と呼んでいる女性がいる。それは私とI君の二人で勝手に言っているだけだが。彼女は以前の得意先である百貨店にテナントで入っていて顔見知りになり、私の馴染みの店でたまたま一人で飲んでいて再会した。その後もそこで偶然出くわすことがあった。私が久しぶりに顔を出すときに限って彼女も久しぶりであったりして、それもほぼ同じタイミングで店に来るから、傍目には待ち合わせのように見える。いや偶然なんだよと言ってもバーテンのI君は信じてくれない。「大人の方は見え見えでも気取った嘘をつく」などと言われてしまう。私にしたところで勝手に運命を感じているが、その運命はその先どこにも行かなかったりする。

 イイ女なんである。身のこなしは優雅で、笑顔も上品。ちょっとダイアン・キートン似だ。色白で丸顔で垂れ目という私好みの容姿でもある。それから、互いに既婚者なので意味のない牽制もない。これ以上親しげに話し込むと口説いているように思われるかなぁなんて、誰も気にしないような取り越し苦労をしなくて済む(画面の向こうで2、3人の特定の女性に笑われている気がするのは気のせいだろう)。不倫の前兆かというと、それは出来すぎた話である。小説の設定用にでも取っておこう。

 馴染みの店というのはMODのことなので、当然椅子はない。スタンドテーブルを挟んで向き合って立って呑む。煙草の箱を取り出しながら吸って良いか訊ねた。ちなみに彼女が喫煙者なのは知っていた。喫煙と言ってもシガレットではなくシガーの方だ。そもそも彼女の勤務先はそのシガーの輸入業者なのである。彼女の答えは「どうぞ。せっかく、くつろぎにいらした自分の大切な時間なんですから」。いやあ、気障が過ぎる。嫌味な位である。さすがは休日に自宅の庭でシガーを燻らす大人のオンナ。何とも嫌味だし現実味がない。

 つまりまあ、そういう現実味のないやりとりを楽しんだりするわけだが、その割には懐かしい感じもする。実は初めて付き合った女性にちょっと似ているのである。

 それでは、どこへも行けないだろう。


そう。"重い鞄"を持ち歩いているから、こんな感じで更新を続けられるんだよ>Sちゃん

'04.3.16  日記

花見、パンク、除草剤

 今年の気候は何々でというのは、考えてみれば毎年誰もが言っていることの様だが、庭の枝垂れ梅が白木蓮の開花に被るのは多分例年になかったという記憶なので、そのことで今年は例年と違うのだろうと実感する。

 ところが後から自分の記憶が心配になって記録を見返してみる。「記録」というのはここ、「小隊司令部発」と称しているウェブ上の日記・随筆ページのことである。元々日記を付ける習慣はないし、愛用のシステム手帳には直近の仕事の予定しか書き込んでいないので、このページが重宝することもある。

 そういえば昨年は今の時期を少し過ぎたあたりに除草剤を撒いていた。週末は、暖かいのでテラスにシートを敷いて家族で昼食を摂ったのだが、まだまだ枯れ芝の多い庭には雑草だけが元気に伸び始めていた。隣接した大学のグラウンドとの境や、貸家の裏手などにはそろそろしつこそうな雑草が顔を見せ始めている。

 ああ、「クサノン」買わないとなぁ。芝地用のはまだ残っていたっけかなぁ。ちょっと面倒な気持ちになりつつもクルマを出す。車内とはいえ珍しく休日に煙草を吸ってみたくなった。変に混んでいる駅前を避けて小学校の裏を抜けることにした。

 後になって考えるとどれもがネガティブな伏線だったように思えてしまうが、勿論関係ない。

 縁石の様な物に乗り上げてパンクさせてしまった。右前輪の側面が裂け、後輪も側面に傷が付いた。右前輪だけ手早く交換し、近くのカー用品店に入る。タイヤ2本交換で約4万円の出費となった。そして休日の午後が2時間ほども潰れてしまった。

 そのまま帰宅しては出た意味がないので除草剤を買いにホームセンターに寄る。何を買うかは決めていたのだが、何となく迷う。買うつもりでなかったタイプの除草剤にバリエーションが増えており、そこでも意味なく悩む。除草剤マニアか私は。そのくせ肥料の方にはとんと手が回っていない。アンバランスなのである。

 すっかり遅くなり、子供のアニメの時間がとうに始まっていた。リビングで不機嫌そうにビールを呷っていると妻に迷惑がられた。






'04.3.12  随筆

「おい、お前」

 ひと気のない薄暗い路地で、後からそう呼びかけられたらどうするだろうか。私はそういう場所を歩くことが多いので、歩きながら考えることがある。私にそんな話しかけ方をする知り合いはいないので、間違いなく他人であり、間違いなく良からぬ考えがある相手である。振り返りざまに何か浴びせかけられるやもしれないので数歩飛び退いて、「お前なんぞにそんな口をきかれる覚えはない」位言ってやりたいところだが、まあ言ったところでどうにもならないし、どうせ相手はろくな奴じゃない。大体そんな風にシミュレーションしている事なんていうのは、いざという時に実行できないのが普通であり、そして実際できなかった。

 人通りは結構あったのだが、考えていた通りのことになり、驚くというか不思議な感じがする。そのまま振り返ってはいけないと反射的に思うものの、ではどうしたらいいかが思い付かない。取りあえず判断が付かず歩幅を広げて早足で歩いてみる。脚力があるわけではなくて生来のせっかち故ではあるが、私は歩くのが結構速い。

 相手はペースが狂った様で、あわてて小走りに追ってくる。「おいっ」の声には第一声ほどの迫力がない。しめた、いける。しかしこちらもどうして良いかがわからない。考えていた台詞なぞ頭から消し飛んでしまっており口から出ない。何か適切な対応を考えねば。

 相手は更に焦った感じで「お、おい、お前っ」と怒鳴る。私は追ってきた相手にぶつかられない様、横っ飛びに進行方向から外れる位置で大袈裟に立ち止まり、「何だ!?」と怒鳴った。するとその若者は、変な位置で立ち止まり、「あ、あ、お、いや」とか意味の分からない言葉を口走ったかと思うと、反対側に小走りで駆けていった。

 何なんだお前は。何の用だったんだ!?



 背中に何か貼り付いていたわけでも、チャックが開いていたわけでもない。念のため書いておくが。


読書 藤沢 周「愛人」集英社文庫

'04.3.4  随筆

3月3日の朝

 3月3日、桃の節句である。暖冬の割に庭木の芽吹きが遅い年だったが、それにしても桃はまだ。枝垂れ梅がやっと七分咲きといったところか。ああ庭に桃はなかったんだっけ。

 女の子二人の父親としてはそれなりにイベントの日であるべき所だが、この1年関わっていた得意の駅ビルのオープン日でもあり、いつもは「仕事より家」の私でも多少仕事している時間が長くなる。オープン直前に広告制作屋には仕事なんぞなかろうと思いきや、急に必要になったスタッフ章のデザイン・プリントやら、印刷物の訂正シール貼りやら、得意が館内にセットし忘れたフロアガイドをセットする手伝いやら、結構忙しい。

 例年雛人形を飾る作業は妻の領域である。下手に手を出すと仕舞い方がわからなくなるということもあり、渋々手を出せないでいる。…いや、もちろん嘘だが。娘達も一緒に飾れるくらいに大きくなれば違うのだろうが、まだ5歳と1歳ではそれも無理か。いつも妻が和室に籠もって飾り付けをしていた。

 前夜は結局遅くに事務所に戻り、ビールを傍らにデータ仕事。epsをリサイズしたjpegに変換してフォルダごと圧縮でまとめてFTP。等々。やりながら、帰ってから家でもできる仕事だったなぁと思ってはみたが、それもどうだかと思い直して作業を終えると結構な時間となり、久しぶりのタクシー帰宅となった。新宿で一度降りようかと思ったが、よくよく考えれば既に1時を回っており、まあきっと旨い酒にもならなさそうなのでやめておいた。疲れているからか、事務所で呑み過ぎたのか(…)、珍しく家では呑む気にならずシャワーを浴びて寝る。

 あ、雛飾り。気付いたのは翌朝だった。


 次回の更新は読者待望の(?)謎の中国製P99レポートスペシャル。乞うご期待。

 


'04.3.1  随筆

週末の月末だったしね

 週半ば、久しぶりにG街に。馴染みの店を回るつもりが、のっけから躓いてしまう。某所(あえて店名書かず)が3月まで閉まって、再々開店後は形態というか内容とか人がどうも変わってしまうらしい。難しいな。とにかく、人の変わる店はあまり好きじゃないという話はいつも書いている通り。

 結局Dのところ関根さんのところへ。

 Luft Schlossは当面Dが「ピンで入る」事が多くなるらしい。「モックアップを買われたとか」と言うのでサイトを見ていてくれてるのだなと。すると彼女の方はネットオークションで何とINFO BARのモックアップを3色セットで買ったとか。そんな物まで売っているのかと驚く。ところで、通し2皿の片方がイチゴだった。何か残せないんだよなと思いつつ、ビールではさすがに手をつけられず、ウオツカのロックに移行。シャンパン? 誰だそんなつまらんことを言ってるのは。いずれにしても予定より呑み過ぎる。まあ大した量ではないが。"黒い店"から"白い店"へ向かう。

 さて"白い店"bar plastic modelへ。入ったときは唯一の客だったが、あっという間に3人入った。これでいなくなる時も一斉なんですよという話だがありがち。どこへ行っても自分がその切っ掛けになることが多い気がする。他のお客のリクエストで掛かる歌謡曲を聴きつつ目の前のラックに立花ハジメのレリーフ12インチを見つけしばらく眺めていると、選曲がそちらへシフト。TAIYO-SUNからシリアス・ジャパニーズへ行って、スーパーゼビウスからThe End(ヘリの音が入る地獄の黙示録版の方)で最後がインストのFORBIDDEN COLOURSという素晴らしい選曲(笑)を満喫。相変わらず他のお客さんゴメンという感じだった。

 ま、給料日の週位は例の宣言も別と言うことで。


'04.2.20  日記

意味のない買い物、その他

 先々週に思い立ってこんな文章を打った。

呑みに行くのは週2日。
但し1000円以内は喫茶店等飲食と見なす。

 これを連日のカンプ打ち出しで疲弊している会社のプリンタで打ち出した。

 呑み歩きの先輩M嶋さんに見せたら即答で「でもただの目標、でしょ」と来た。続いて、とりあえず顔を出す頻度の最も高いPub Angelでもって「今年の行動指針だよ」と出してみた。バーテンN田氏曰く「じゃあ守れなかった回数、数えますよ」。…たかる気か?(笑)。

 ここらで締めておかねばなるまいという決意なのであるが。まあ結構緩い決意なのであるが。

 ところがこの目標、図らずも翌週しっかりと守ることになってしまった。インフルエンザで倒れたからだ。私の志を察して極高地からウイルスをわざわざ送ってくれた知人に感謝…はしないけど。

 いつまでもリハビリとか言っていられないので普通に働く。といいつつ必要な物があり秋葉原をしばし探索。そして表題の次第。

 意味のない買い物、よくやる気もするが今回のは考えるとかなり無意味。いずれ街頭で見つけることもあるだろうな位のつもりでいたら本当に見つけて、つい勢いで買ってしまった。自分の携帯電話と同型の店頭用モックアップである。秋葉原では結構売っているのを見掛ける。パーツ取りに使うか? いやよく見るとパーツ割り自体が異なっている。これで500円だったかな。いや全く無意味な買い物をした。下の娘の玩具には前の携帯電話 があるし。せいぜい持ち歩いてウケをとる方向でいくか。

 そんなことを考えながら社に戻ると、もぬけの殻。「本日、ワールドカップ予選が始まるため、一切の残業を禁止します。 社長」。日本テレビの新聞広告が置いてある。ちなみに置いた本人の席(社長席)である。

 で、店じまい。…結局呑んで帰った。喫茶店飲食相当ではなかった。


この一派は送付物の品名に凝らねばならない掟があるのだ。

画面の綺麗な方がモックアップ。

勝って良かったね。…で、どこに勝ったんだっけ?

'04.2.16  随筆

逆リンク紹介

 自分のサイトが思いも寄らぬ所からリンクされているのをたまに発見することがあるが、これがなかなか面白い。今回は、最近見つけたそういうサイトを紹介しよう。

 先ず初めに「AIRSOFT RETREAT」。アメリカの"エアソフト"ゲーマーのサイトらしい。ここの電動ガンBoysのレポート中で当サイトの記事が英訳抜粋されると共にURLが紹介されている。当該ページの最下端を参照されたい。原文はここである。私の理屈は世界に通じる理屈であったらしい。ただこれが日本人のマジョリティな意見だと思われては何なのだが…。また、私の文章は英訳しにくかったろうにと思ったが、この英訳、どうやらAltaVistaのweb翻訳サービスの訳文そのままの様である(試してみた)。合っているか否かは分からないんだが(苦笑)。

AIRSOFT RETREAT
<http://www.airsoftretreat.com/>
■The Fresh New Look! : Tokyo Marui M4a1 Carbine Boys

 続くリンク元は社会的なテーマを扱っているサイトのように見える。方向性が違うので内容については触れない(と、しておく)。さてこのサイト中に、日本にある戦争を扱った博物館のリンク集がある。全ての同種の施設が自前のウェブページを持っているわけはないので、一般サイトでの紹介記事にリンクされている場合も散見される。この場合のリンクを「関連サイト」と称しているのは言葉の使い方を間違っていると思うが…。で、そう、栃木の那須戦争博物館の紹介記事が、なんと当サイトのアレであった。これはご存知のように家族旅行のついでに寄ってみたらマニアの目から見ると穴だらけの不思議な博物館だった、というレポートで、確かにあの博物館を「色眼鏡無しに正しく紹介」しているとは思うが、あれでいいのか、あれで??

歴史を生きた人々の記憶
< http://www.geocities.co.jp/Bookend-Soseki/7026/>
■日本の平和博物館・資料館リンク集

 私は自分が記事として他サイトを載せる場合、大抵は報告するなり許諾をとったりなどするのだけれど、今回の2箇所はいずれも先方からのコンタクトはなかったということもあり、私も記事の許諾はとっていない。もっとも、英語が出来れば「AIRSOFT RETREAT」とはとってみたい気もするのだが(笑)。


'04.2.11  随筆

具合の悪い日

 本当に具合が悪くて寝ている時は何もしたくない。久しぶりにそんな気分を実感した。インフルエンザでほぼ4日間寝込んでいたのだ(正確にはまだ、寝込んでいる)。

 「何もしたくない」なんて当たり前じゃないかと思われるかもしれないが、現に長く寝込んでいる人を目の前にすると、なにか暇つぶしになるものはないかと考えはしないだろうか。ほんの数年前までの十数年間、我が家は誰かしら一人以上の入院患者がいる家だった。孫の私が耳元で話し掛けても判ったかどうかよく分からない反応しかしない祖母でも、ずっと寝ていては退屈だろうかとラジオをかけっぱなしにしていたが、あれも鬱陶しかったんではなかろうかと今考えても仕方のないことを思ってしまう。

 家人に伝染するといけないので、空いている部屋に布団を移してそこで寝る。空いていると言っても、将来の子供部屋のために用意した部屋なので南向きの良い場所にある。下の娘の出産準備の時に妻が使っていた。胎教のためにと買ったクラシックCDとミニコンポがそのまま置いてある。私は音楽関係の機器にはまるで興味がないので、全く大した物ではない。

 クラシックは…まあいいかと、いつも聴くFM局を付ける。これがタイミングのせいか気分のせいか、どうにも気に入らない曲ばかりをかける。長くて耳障りな「Stand by me」がやっと終わったと思ったら「さくら」(どちらも最近の曲の方)。いらいらしてリモコンのチューナーをいじると、これがまた全然選局できない。なにせこっちは天井を見ており、リモコンの指示でコンポがどう動いているかもわからない。知らない著名人が得意気に話すアロマセラピーの話題(ゴミだ)をなぜか3回続けて聴かされた上に、やっと違う局に当たったと思ったら放送大学だった。

 でもこれが結構面白い。伊勢物語を主に平安朝の文学をテーマとしていたが、学生時代の学びが足りなかったせいか(笑)どの話も新鮮だった。しかし講師の方の語りがどうにも流暢とは言えない上に活舌悪く、ここでまたいらいら。病人といふのはいらいらしやすきものなりけり、と勝手に一般論にまとめて納得。

 電源を落とすと、外からは沢山の鳥のさえずりが聞こえる。なんだい、これでいいじゃないかと布団を被る。…しかしここ、山間部じゃないんだけどな。


'04.1.30  随筆

CREMASTER

 CREMASTERは、G街をふらついていて偶然に見つけた。半透明ガラスのドアが暗闇に綺麗に浮き上がって見え、何となく引き込まれてしまった。

 このドア、電気仕掛けで透明・半透明の切り替えが出来る。つい最近改装されたばかりという店内は、白基調のシンプルで洒落たデザインになっており、この街の新しい店にありがちな安物感は比較的薄い。2階を使ってのギャラリーも兼ねているというから、なるほどと勝手に納得。

 入り口にシェルタイプのiBookが置かれており、フラッシュムービーが流れている。これで改装前の店内を見ることも出来るが、雰囲気は大分違っていたようだ。

 しばらくして"営業活動"から店主のミチルさんが戻る。G街では多くの店主が"営業活動"で他店でも呑み、街の中での店の交流は頻繁である。とは言っても様々なカラーの店があり、近いからと言って交流があるかと言えばそういう訳でもない。ちなみに他の街ではあまりないことだが、一見の客に「この街にはよく来るのか?」と「他にはどんな店に行くのか?」と訊く店が多い。私もそんなにいろいろ通っているわけではないが。いつもの3店の名前を出すと、その内のBPMでついさっきまで呑んでいらしたということだった。そしてLuft SclossのDのこともよくご存知だった。しばらく経ってから、そういえばDから以前にこの店の名前を聞いていたのを思い出した。

 およそ私と一回り近く歳が違うとは思えないミチルさんは、美術系の雑誌の元編集者とおっしゃるので初めは少し身構えた(笑)。しかし、別に美術論なぞ語れなくとも楽しく呑めるお店である。

 あ、そうだ。鏡張りのトイレは必見かも。狭さ(G街では仕方がない)から来る圧迫感がない。沢山映る自分に圧迫感を感じるかもしれないが(笑)。ドアノブも格好良い。ちなみに扉は引き戸なのでお間違いなく。

その後、この店は3月に体制が全く変わり、店主も店員も皆変わってしまった。ホームページは更新されていないのでリンクを外した。('04.3.10)


ちょっと写りがこれが悪いが入り口。

一人マトリックスなトイレ…


'04.1.20  随筆

神田探索

 勤め先の近くに止まり木を探す気はなかったのだが、気が変わったというか、ちょっと気が向いて、以前に看板だけ見て「ここはマシかも」と思っていた店に寄ってみた。ダイニングバーと言うからにはカラオケはないだろうし、女性も付いたりしないだろうという程度の極めて消極的な目測である。看板の雰囲気からすればセンスもマシであろうかと。

 しかし油断はならない。以前、花園の入り口辺りに隠れ家的スペースの店を見つけて立ち寄ったことがあるが、散々な結果となったことがある。ウオツカトニックがロックグラスで出てくるは、サービスと称して出てきた半端なワインゼリーの感想を求められるはでうんざり。昔、仕事で尾道へ行った時にたまたま入った"バー"で、「ウオツカをロックで、ライムを」と頼んだところ、ライムがなくてレモンでも良いよとなった後に、棚からとったサントリーウオッカと皿盛りの輪切レモン(笑)が出てきたことがあったがあれ以下であった。いや、尾道は旅先ということもあり気分を害したわけではないが、新宿のど真ん中でそれはなかろうと。

 しかして神田のダイニングバー、そう悪くはなかった。メニューを見たところビールもドライの生だけだし、ましてやウオツカなんてどうでもいい扱いだろうなと期待していなかった。ところがウオツカにジンジャー+唐辛子やミントの葉を漬け込んでいたり、ブラディメアリ用に色々混ぜ込んだ特製ウスターソースが作ってあったり。ちょっと感激。30代前半のバーテンM氏は「いや、これ位しておかないと、お客様からお金いただくわけですから」と。様子見に1杯で帰るつもりが結局3杯呑んでしまった。そのうちまた寄ることだろう。


 週末に、最近妻が会社の昼休みに栴檀林を見ていたことが判明。「検索したら出てくるの全部あなたのところの話じゃない」と。そりゃあ他にあってもせいぜい仏教系だしな。公文書-随筆を読んだらしく「これじゃあ家に帰ってこないよね」と。そりゃあほとんど呑みに行った話ばかりだしな(ちッ、今回もだ)。でも君のこと良く書いている回もあるんだぜ…と言っても意味ないんで言いませんでした。…それ以前に何かまずいこと書いてなかったろうなぁ?  というか、ツマミを出すのに「イラク産じゃないけどね。今イラク産なんてほとんどないよ」とかネタ返ししないように。

読書 重松 清「リビング」中公文庫

'04.1.12  日記

週始めの状況

 連休始めの10日に、トイガン関係のオフラインミーティングがあった。私にとっては初対面の方ばかりの集まりだったのだが、人様のサイトに疎い私でも一度くらいは見たことがあるサイトの方ばかりで、なんとも濃い集まりとなった。 すぐレポートを上げたいところだが、この連休はのんびりと過ごして記事を書けなかったので、近々にということで。

 それよりまずという課題で、iBookのシステムをインストールした。「いつもやってる事では?」と言われそうだが、先日買った通称early 2003はOS9ユーザーには信じられない仕様なんである。OS9ブータブルのくせしてOSXがインストールされていないと9のインストールが出来ない。そんな訳で連休最終日の午後は、下の娘を寝かしつけながら「使うつもりのないOS」を延々とインストールしていたのだ。ビール呑みながら。

 いつもより1日短い今週、しかし仕事が佳境であり、移動中ですら記事なぞ書いていられるか…。まあなんとかやり過ごすか。


バーのテーブルがこんな(笑)。 ハプドン、カンナム、トイスター、モニカ。…アカデミーがメジャーに感じるおかしな状況。

'04.1.10  随筆



 仕事始めで挨拶回りの多い1週間だった。いやそんなにうんざりするものでもない。特に私のようなぐうたら営業にとっては、年一でも顔を出す言い訳の出来る日な訳だし。もっとも、結局は不得手な笑顔を取り繕い回るという次第で。そんな訳で表に出ると、反動でムスリと不愛想な表情に固まってしまったり、愛想笑いが抜けずへらへらした顔のまま歩いていたり。

 神田のガード下にある例の店、結局また行ってしまった。その日は新宿で降りる気がなかったのだが、やっぱり一杯引っ掛けて帰りたい。神田では馴染みを作る気はなく積極的に店を開発するつもりもない。そんな訳で適当な店も決めかねてうろうろしていたら、件の店の前の小径に出てきた。前と同じ韓国人の女性店員がカウンターの中にいたが、馴染み客ばかりらしく楽しそうに話していた。入りづらいなと思い通り過ぎようとしたら目が合い、「あ、この間のお客」という目をしていた。外はあまりに寒く、面倒くさくなって入ってしまった。

 自分と同い年くらいの男性客が彼女と話していた。「家に僕がいたら面白いと思うよ」と男。女は即答で「面白くナイヨー」。「朝、帰ってきたらさ、朝ご飯とか作ってあげるし」。「食べないヨ。ワタシ朝昼一緒。朝食べない」。そんな話を延々としている。

 1本500円也の中ビンを呑み終えると、私は「ごちそうさまー」と誰に言うでもなく口にして店を出た。

 帰りは座って山手線を半周。床を見るとゴミ…何かのバーコードが印刷されたシールが丸まって転がっている。埃だらけの上に何本もの髪の毛が貼り付いている。プラットホームの下というのは見た通りゴミだらけだが、その中にヒトの髪の毛が占める割合は結構高いという話をどこがで聞いたことがある。JR系の得意先が私には多いので、その内の誰かだったかも知れない。ヒトの髪というゴミは結構扱いづらいんだよというのが話の締めくくりだった気がする。

 例によって人身事故で電車が遅れ、なかなか次が来ないことがあった。暇に任せてプラットホームの端から下を覗き込んでみたことがある。よく目を凝らすと、確かにヒトの髪の毛が沢山落ちていた。気持ち悪いなぁと思ったが、何でヒトの髪の毛だと気持ち悪く感じるのかな。それにしてもこんなところへ降りたり落ちたりするなんてご免だな、と思った。

 私はしばらく床のゴミがカサコソと転がるのを見ていたが、途中乗ってきた若い女の脚に気を取られた僅かな間に、ゴミはどこかへ行ってしまった。


 画像は別の日。MODのカウンターに見慣れぬ酒が。Evan WilliamsのEGG NOGとか。ベイリーズみたいなもんか? 試飲だけでやめておいたら、隣にいた大分召し上がった紳士がストレートで頼んだ。あらあら。次来る時は、もう置いてないよねぇ?(苦笑)


読書 角田光代「幸福な遊技」角川文庫


'04.1.7  随筆

愛称

 よく使われる言葉は略されやすい。もっとも、誰が略するかによって同じものでも違う言葉になったりする。「マクドナルド」が関東で「マック」、関西で「マクド」と呼ばれるのなどはよく知られたものだろう。

 そういう愛称が定着すると企業の方でも使うことがある。「KFC」の「ケンタ」なんかもそれだろうと思う。ちなみに自分に愛称を付けて名乗るのが見苦しいのは法人も個人と同じである。企業キャラクターの多くが見苦しいのはそのためという気がする。もっともそれを仕事にすることもある自分が書いては"天に唾"かも知れないが。

 ところで、例えば誰もに「ブタ野郎」と呼ばれるからといって「初めまして。私をブタ野郎と呼んで下さい」と自己紹介する人はいないだろう。万が一親愛の情を込めて友を「ブタ野郎」と呼ぶ人がいたとしても、私ならたしなめるだろう。それじゃあ愛称にはなっていないと。

 冒頭のファーストフードに話は戻るが、「ファーストキッチン」を皆さんは略して呼ばれるだろうか? 私を含めて周りでは略さない。他と較べて親しんでいないという訳でもないが。

 しかし主に若い人の間では略称があるのだそうだ。「ファッキン」だそうである。テレビのクイズ番組で知ったが、聞いて笑う前に引きつった。"綺麗な脚が自慢"の若い女性タレントが「知らないんですかぁ〜。ファッキンて言いますよぉ、ファッキン〜」と、目をくりくりさせて中年の男性タレントに大声で言っていた。やれやれ。

 最近の傾向では和訳されないが、以前は良くて「クソ野郎」、下手すれば「オマンコ」と訳されていた映画もあった(何だったかは失念)。確かに「愛情のない性交」を表す日本語を私も他に知らない。というより厳密には日本語でそれに該当する単語はない様に思う。

 いずれにしてもそんな風に呼ぶ所で待ち合わせをしたりものを食べたりするなんて信じられない。それとも今の若いヒトは「ファッキン」で待ち合わせして「ファッキン」するんだろうか? いや笑えないのは私の冗談ではなくて。


吉行淳之介「原色の街・驟雨」読了。しかしTさんが年末に連絡所へ書き込んだような「ねちっこい女の話」はなかったなぁ。パンツに名前を刺繍されるとか蓮根に挽肉を詰めた料理とかの話は、別の吉行淳之介の話だろうか? これがまた私は勝手に「ミートローフの話」と記憶していたために余計に混乱した次第で、私はミートローフを求めて娼婦の街を彷徨い歩くことになってしまった。なんだそりゃ(笑)。いや途中で飽きていたのかもしれない。