一個人が愛国の情熱で作った明治建国より終戦までの陸海軍当時の品12,000点軍艦より飛行機、戦車攻撃砲機関銃あらいるものが歴史に正しく感激の涙あり(リーフレットより句読点も含め原文ママ) |
那須戦争博物館 報告書 '99.8.24 ('03.3.16 一部改稿) |
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私はあまり旅行をしない。しかし今年の夏は珍しく家族旅行をすることにした。妻が、動物好きな1歳3カ月の娘のために、動物の見られる施設が近くにあって、快適に過ごせる子供向けのサービスが充実したペンションを探してくれたからだ。 さて、文章の出だしはほのぼのファミリー風だが、新婚旅行代わりに行ったハワイでもさんざん実弾射撃をしてくるような私のこと、例えその地が那須といえども行くところには行くのであった。 と言っても、実は事前にはその施設の存在は知らなかった。那須の行楽施設紹介のムックなどには載っていなかったし、現地発行のパンフ類でも、ほとんどその名前や位置、ましてや紹介記事などなかったのだから。 「戦争博物館」 実のところ正式名称はわからない。「日本で唯一の戦争博物館」「明治大正昭和戦争博物館」「那須戦争博物館」「小野田少尉・横井軍曹記念館」「鬼怒川・大東亜戦争資料館」などといった名称が混在・併記された看板が博物館の周辺に点在し、なんとなく"そこ"に"それ"があることがわかるだけなのだ。この時点で、この施設がどんなモチベーションで成り立っているところであろうかの察しはまともな人間ならつくだろう。 当日は快晴。月曜日の午前中と言えども夏休み期間中、いたるところ地元以外のナンバーの車が列をなしている。目的地近くに来ると…黒地に白の筆文字。これこれこれこれ! 入り口にはなぜか米帝現用のハマー…。ま、いいけど。 入り口の戦車がいきなり怪しい。「93式軽戦車」…?そんな戦車あったっけ?チラシを見ると違う型番になっている。なんだ、こっちが正しいんだ。「92式中戦車」…???そ、それもないだろ? 近づいて見ると更に怪しい。実物の戦車とは思えないペナペナのキャタピラ。車体側面に2つも大きなハッチがあるなんてそれだけでも怪しいのに(もっとも日本軍の戦車の作りはオリジナルも充分怪しかったが)、それが何やら気安いノブで簡単に開くようになっている。後日調べたところ、そういう型番の戦車は共に存在しないことがわかった。車体の形は有名な97式戦車チハにかなり似ているが、本物はトーションバースプリングの筒は1本だが、これが2本になっている。ここが2本なのは幻の3式中戦車以降である。 型番が近いところでは92式重装甲車がある。これは騎兵用の戦車として採用された物で、砲塔周りは結構似ている。しかし車体の懸架方式がまるで違うし、この92式の特徴である稚拙な溶接装甲は見られず、展示品はリベット留め装甲だった。 結論としては、これは映画用の創作戦車ではないかということだ。車体自体は97式中戦車風に作られている(もしくはそこだけ実物)が、他の部分はどう見ても本物の戦車には見えない。ハナ肇の主演映画「馬鹿が戦車でやってくる」(名作!)の戦車がこれだったのではないかと思うが、今のところ確証はない。 次に目立つ位置にある「95式陸軍戦闘機」だが、これも怪しい。というか、ボロボロの部分を素人仕事で補修(?)してあり、低予算に布をペンキで固めたようなボディになっており、見るも無惨という感じで哀しさすら覚える。で、文献を調べてもやはり合わない。95式戦闘機自体は実在する。しかしそれは複葉機だ。外観だけから探していくと、これは2式高等練習機(キ-79)ではないかと考えられる。私は空には詳しくないので、有識者の情報を待つ。 もちろん適当な思い込みだけの展示物ばかりではない。小野田少尉・横井軍曹に関するブースは相応に熱のこもったものであったし、また戦時中の出版物などの展示も稀少価値のある物に違いない。あるいは私が下手にものを知っているから楽しめなかっただけという気もするが、考えたらアミューズメント施設じゃないのだから、知らないなりに楽しめればそれで良いということじゃなかろう。館長である平林氏には敬意を表したい。個人コレクションで"これ"はスゴイ。でも1000円の入館料を取れるだけの価値は疑わしい。 あなたに、ホームページのジョークコンテンツのネタ探しに付き合ってくれる心の広い家族や恋人でもいない限りはあまりオススメのスポットではない。ひとりで行っても…良いけどね(苦笑)。
那須戦争博物館 |
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