小隊司令部(随筆)
公文書

'03.12.26  随筆

帰り方

 今日は早くに帰るかなと思っていたのに、すっかり仕事が遅くなってしまった。さて困ったと思うのは家人への言い訳ではなく、"どう帰るか"ということだ。

 どこかで一息と思っても、馴染みの街に降りるのも少し鬱陶しいのはクリスマスだからに他ならない。近場でと思っても、職場の近くに適当な店は知らない。ちょっと足を伸ばした先の馴染みには、昨夜年末の挨拶を済ませたばかりでまた行くのもばつが悪い。

 確かちょっと良さそうな店があったなと歩いてみるが、昼間しか歩かない街はまるで別の街の様で方角すら掴めない。やれやれ。ぐるりと回って、2周目に入りそうになり、では別の店を探そうかと思い始めるも、そう簡単には見つかるはずもない。

 複雑に交差する高架の下に入り込み、薄暗い路地の角にスタンドの店を見つけた。ビールでも1杯。10人並べば一杯になりそうなカウンターのみの店。高架のカーブに合わせて天井が迫る。奥には盛り上がる先輩方が3、4人。端に1人客。言葉が上手く通じない韓国女性の店員が1人。

 カウンター前のバーに掛かるハンガーを2本集めて荷物を掛ける。かなり重い私の荷物は、1本ではハンガーをへし折ってしまいそうだからだ。ビールが中ビンで500円。1杯目は注いでくれるが、泡だらけ。いやいいよと合図しようと思うが、その前にあっさり諦めて店員は注ぐのを止める。まあいいやと薄ら暖かいグラスを飲み干す。2杯目は自分で3度注ぎしてみると綺麗に決まる。やあやあこれがビールじゃないかと嬉しくなるが、そんな私が気に喰わないのか、端にいた客が一口ビールを呷ってはカウンターに乱暴にコップを置く。耳障りな野郎だなと思い始めた辺りでさっと出て行った。

 帰路は快適。しかし二度とは行かないだろうな。なにせそんな作りの店のくせに、なぜだかカラオケなんぞを置いているのだから。


読書 吉行淳之介「原色の街・驟雨」新潮文庫

'03.12.22  日記

そろそろ年末の用意を…

 少し現金が手元にあると、とりあえず呑みに行く。いや、なくても呑みには行くのだが。ある時はカードの使えない馴染みの店を数軒回ったりする。感覚的には"馴染みの店に落として回る"というのに近い。習慣と言っても良いだろうか。1軒目で今日は回るかというと「そういう方は今時珍しいですよ」と言われたが、まあそう大した金額を遣うわけでもない。そもそもそんな高い店には平生行っていないし。

週末は4軒。 MOD→LuftSchloss→April fool→Pub Angel

 最後の店で顔見知りと一緒に店を出て、結局この後居酒屋に入っている(どこだか不明)。ところが私の体力は既に尽きていたらしく、最後は寝ていたらしい。居酒屋に入ってから、電車の動き始めた駅に妙齢の女性二人に見送っていただくあたりまでの記憶はない。やれやれ。Tさん、Mちゃん、私は金払ったか?(苦笑)

 後1週間で今年の仕事も終わりかと思うと気も緩むが、よく考えれば片しておかねばならないことは山積している。仕事のことを忘れているのは毎度のことだが、それだけではなく、年賀状やら年越しの集まりの用意もまだ全然である。クリスマスツリーは既に出ているのだが、例年片づけもせず年を越す。


枝垂れ梅に電飾を掛けていたら、ヘンな生き物が掃除に現れた。センベイ持って。
という訳で、栴檀林小隊員及び関係者に業務連絡。
今年の大晦日も、いつもの橋でやるぞ!

読書 重松 清「世紀末の隣人」講談社文庫

'03.12.19  随筆

そろそろ誕生日です

 久しぶりにZOIDに寄る。まるっきり相変わらずである。しかし勿論、その相変わらずぶりが落ち着く。バーというのはそうであって欲しい。行く度に店員が変わっていたり、メニューやシステムが変動していたりすると落ち着かない。落ち着かないバーほど嫌なものはない。その辺の意味でZOIDは一流のバーだと思う。そもそもが、落ち着かない自分を落ち着かすために行くようなものなのだから、肝心のその場所がガタガタしていたりしたら困る。

 そういうZOIDでも歳事装飾くらいはする。マスターが「家はもうクリスマスの飾り付けとかしてるんですか?」と訊いてくるので、「庭の木に電飾掛けてるよ。マスターこそちゃんとクリスマス装飾してるじゃない」と、カウンター端の小さなツリーに目をやる。BGMもクリスマスソングの類である。「ほら、曲もさ」と言うと、「今年はどうしようかなぁと思ってたんですけどね。曲をかけているうちに、なんか、やっとこうかなと10分くらいでやっちゃいましたよ」とか。"ロマンチックな夜を過ごす二人"のためにもそういう小道具は必要でしょうと言うが、「そういうお客様は来ないから」と。来ないか。来ないな。秋葉原の神田寄りの外れでそういう時間を過ごしたい二人には、たぶん穴場のバーなのだが。穴場過ぎて見つけられないのだろう。


読書 床井雅美「現代ピストル図鑑 最新版」徳間文庫

関係者諸兄、出ているぞ新刊が!!   載っている銃が(「最新ピストル図鑑vol.2」と)変わっていることは見れば誰にでも分かるが、変わっていることの価値自体はマニアにしか分からない。しかしページ数の制限でかデリンジャーや単発銃がなくなっている。

  2003年も終わろうとする今、いろんな意味で我々が注目すべき銃は幸か不幸か山とある。不幸な子供はローシンで撃たれ、ノーリンコやバイカルで負債を埋めようとする国が口出しする力を失い、レイルにアクセサリーをぶら下げた.45で世界警察が砂漠を蹂躙するんだ。ガンマニア以外にそれが理解できるか!?


'03.12.7  随筆

酌をする
 ここのところ人と呑む機会が多かった。いつも呑んでいるじゃないかという声が聞こえて来そうだが、大抵の場合私は一人で呑むために店へ行くのであって、人と呑むと言っても、そこで顔見知りと出会して、たまたま一緒に呑んでいるというだけなのである。誰かと待ち合わせて呑むということもあまりしない。

 ところで時節柄、何人かと呑むというと忘年会兼用となるのだが、考えてみれば例年の私はあまり忘年会というものに参加した記憶がない。呑んべえの私ではあるが、行事として人と呑むのはあまり好きではない。前の職場では、隣の班のろくに話をしたこともない若い人が「来週の木曜ですが」なんて声を掛けて回って来たり、挙げ句に「忘年会のお知らせ」なんてメールがグループウェアを通して配信されてきたりした。

 そんな私でも、今年からは社内唯1人の営業職として、お得意を忘年会を口実に呑みに誘う事くらいはしないとならない。と言っても、別にそれが苦なわけではない。というかそれが苦にならない程の付き合いでなければ呑みにも誘えないわけだし。

 ただ、苦なのは、酌なのである。ビールとコップを手に席を回る。あるいは両隣のコップが空いていたら注ぐ。これが、するのもされるのも苦手だ。正確に言うと、するのは下手で、されるのは気兼ねしてしまう。ビール党なのだが、あれば生にしてやり過ごす。ラベルを上にして注ぐとか、良いあんばいに泡を立てるとか、そういう類のことは全然構わないのだが、呑み進み具合を計ったり計られたりするのはどうにも耐えられない。

 これが、ちょっとイイ関係の女性と座敷で、とかいうのなら話は別だが。いやそれは妄想で、そういう呑み方をしたことの方が、それこそ記憶にないんだが。

読書 山口瞳「江分利満氏の優雅な生活」新潮社文庫
今さらの1冊。しかしなるほどこれは小説ではないな。

突然だが、google検索窓を付けた。栴檀林サイトは、どうもナビゲーションが悪く検索性も劣るようだからだ。中には「迷子になる」方もいる。サイトデザインに統一性を欠くのは増築に継ぐ増築を繰り返しているからか。また私はサイトマップというページが好きではないのだ。そんなわけで付けたgoogle窓。当サイトには高度なスクリプトなぞ皆無なので、平気でフレーム内だけ表示したりしてしまうのはご愛敬。

'03.11.30  随筆

からまれ酒
 あるバーのエピソードだが、支店のオープン時に、常連の女性客が毎日のように通ってカウンターに座る役をかってくれたという話があった。これは相応の効果があったのではないか。女性客が一人でカウンターに座っているバーというのは、何となく安心して呑めそうな感じがする。特にその店は入り口の正面がカウンターなのでなおさらである。

 その話とは少し違うことだが、一人バーで呑む身としてはカウンターで一人呑んでいる女性には興味を引かれるものだ。声を掛けるかどうかはまた別の話だが。掛けるにしても、私などはそれが知り合いであってもなかなかスマートに声を掛けられない。そもそも相手が女性でなくともバーではそうそう誰彼構わず話し掛けるものではない。これについては、過日の本欄でも取り上げた山口瞳氏の言葉、"バーでは銭湯の如く振る舞うべし"である。見知った顔がいたら目で挨拶をすればいいのである。

 ところで、酒場というものに精通している女性の知り合いが、通う店の基準の一つに「(店側が、女性の一人客をからんでくる客から)ちゃんとガードしてくれるか」というのがあると言っていた。なるほど、しかし当たり前だがそういう基準は私には思い付かない。とはいえよく考えれば、それが冒頭の「安心して呑めそうな」に繋がるのであろう。

 たまに"そういう方"を見掛けることもある。でも私はあまり出くわさないし、できれば見たくもない。大抵は"見苦しい"からだ。何にせよ見苦しい呑み方をしてはいけない。それがマナーだと思う。

 もっとも酒場ではからみ役とからまれ役というのがどうしても出来上がるものであり、これが同性であれば、余程質が悪くなければ他人がどうこう言うものではないだろう。ちなみに私はどちらかと言うならばからまれ役の方だという気がする。気がするだけで根拠はない。いやそっちの方でありたいなぁという希望という感じか。

 実はそのう、この話をアップする予定だったまさにその晩に、Angelで客のモルジブ人にからまれてしまった。で、からまれ役に徹せない未熟者の私は、「日本人の余暇の過ごし方は貧相」だとか「日本人は無宗教」だとか言われた辺りで切れたらしい。細かい話は覚えてないんだが(苦笑)。で、"いつもの感じ"で捲し立てた様な気が…。先方もしまいには何か自分がムスリムの代弁者みたいな怒り方をしていた。小官も米帝のプロパガンダに煽動されてイスラム圏全てを否定しとる訳じゃなく、あんたの呑み方が見苦しいよと言ってただけなんだが。しかしそれ以前に結構行儀の悪い客だったらしく、私は周りに助けられて口論は終息。呑んでる席で外国人相手に宗教の話してはいかんよ。って自分のことだけど。私は居合わせた人に奢って詫びた。ゴメン。

'03.11.19  随筆

だっこ

 最近、上の娘が「だっこ」とよくせがむ。下の娘がいるために、その頻度は高くなっているのかも知れないし、逆に実は少ないのかも知れない。うちの娘がどちらなのかはよく分からない。

 朝は1階へそのまま運んでくれと言うので、だめだ朝はとても力が出ないからと拒む。ぶーぶー文句たれて、ぎゅーぎゅー騒いでやっと歩いて降りる。

 早く仕事から帰って来たときも「だっこ」とせがむ。手を洗ってからなと言うとまたぶーぶーぎゅーぎゅーになるから取りあえずだっこをするのだが、じゃあと言っても巻き付いて離れない。仕方ないから両手を放してわざとやや乱暴に身体を振りながら洗面所へ向かうと、ぶら下がったままきゃーきゃー喜んでいる。

 私はどちらかと言うと日常のスキンシップの少ない方だ。別に親の愛が足りなかったわけではない。というか36歳の2児の父が何を今さら親の愛情のせいにもできないが。ともかく2児の父となりスキンシップは自然ととる様になった。なにせ子供は可愛い。頬ずりもするしキスもする。でもだっこの頻度は高くない気がする。何と比較をするわけでないので、何の根拠もないのだが。

 少なくともせがまれた分に充分に応えられるほどにはだっこをしていない。 あとはまあ、重いのでこちらも体力を使うというのもある。太ってはいないが背丈はあるため体重は23kgある。だっこをしながら、これもあと数年のことで、あっという間に近寄りもしなくなるのかと思うと、不思議な感じがする。せいぜい今のうちにだっこをしておいた方がいいのかもと考え、努めてだっこをする。

 「今、だっこだっこって言うけどな、大きくなったらだっこなんかしたくなくなって、だっこしてたことも忘れちゃうんだよ」と言う。

 「忘れないよ。みる、赤ちゃんの時のこともちゃんと覚えてるもん」。

 「でも大きくなってもだっこしないよ」。

 「だっこする」。

 勿論そんなことはしないんである。まずこっちが照れてしまうはずだ。


↓ところで例のあれ、こんなんじゃだめ? リンクしてないけど>くみちょ

'03.11.17  日記

月曜か
週末は例によってだらだらと過ごす。

せっかく手に入れたiBookのトップカバーも取り付ける気力は振り起こせず。

話題のアリイ製グロックに心ときめかしながらも、何やら極端に少なくなっている資金に愕然。

なにせ先週は母と妻の誕生日があり、いやそう大した物は買っていないが、花やらケーキやらで…。

いけね、いい加減E46のオイル交換しないとならないのに金がない。

そんな中、駐車場のフェンスが完成(この話は後日また改めて)。木製のオーダー品でそこそこの出来だが、気に入らないところがあったので自分で手直しをした。黒いフェンスを黒い支柱に取り付ける金具がクロムメッキでは雰囲気ぶち壊しなので塗装。組み上げの木ねじの頭が上端に出ているので黒いシーリング材で防水。日曜は半日これで潰した。

サイトの手直しを数カ所行う。大して目立たない所ばかりなんでわざわざ書くほどのこともないが、量は膨
大。新フォーマットの色調を変更して、それに合わせてリンクページやらなにやらを整理。

P99のコンテンツには間違いがあったため修正。それも間違いで更に修正。

子供を寝かしつけながらうっかり寝てしまい、気が付くと朝の4時。やれやれ、もう月曜か。

'03.11.15  随筆

銭湯

 酒を呑むのは好きだが、もちろん呑めれば何でも良い訳ではない。と、わざわざ冒頭に書くのは、先週また例の店に仕事で行く羽目となったからである。

 あまりに気乗りがしないので、新宿で一度降りてPubで一杯引っ掛けることにした。嫌々の呑みなんだと話すと、「"サカウエ"ですか」とN田さん。そう、"サカウエ"の気の合わないバーテンがいる店で仕事の打ち合わせなのである。その上、玩具を買っていたので荷物が多かった。持っていってそれ何ですかと突っ込まれるのも煩わしいので、ついでに荷物まで預かって貰うことにした。結局、鞄ごと預けて、打ち合わせの書類だけを持って行くことにした。

 で、まあ、"サカウエ"での話は置いといて、切り上げてからPubへ戻ると見知った顔がカウンターに。終電はとっくに出ている。こんな時間に知りあいに会うと、訳もなく嬉しくなり隣に座って一緒に呑んでしまったりする。で結局始発になる。「こんな時間」という時間でも、"程良く"呑んでいる女性客がいる辺りがPubが"程良い"店である証と言えるだろう。

 ところで皆さんは酒場で知り合いに偶然会った時にどうされるだろうか。山口瞳さんが著書の中でこう書いている。

「私は、そのとき、高見さんにひとつのことを教えてもらったように思った。それは、銀座の高級酒場へ行ったときは、こんなふうにして飲めばいいということだった。 〜中略〜 その後は、私は、手拭とセッケンを持って銭湯へ行くのと同じ心境になることが出来るようになった。すくなくとも、心構えとしては、それである。知り合いに会ったら、オッという顔をすればいい。フリチンで挨拶をする馬鹿もいない。」(新潮文庫「酒呑みの自己弁護」P.41『最後の高見順さん』より)

 これは"目から鱗"であった。これがダンディズムというものだ。自分が必ずしも実践できている訳でないのは前段の通りであるが。もっとも、大抵の場合は「オッ」か会釈程度であるし、小心者の私は迷惑がらなさそうな相手でなければそうは声を掛けられない。それじゃあダンディでもなんでもないわな。

 

'03.11.7  随筆

「行きつけの店」

 私は呑む時にほとんどものを食べない。あまり良くない呑み方だそうでよく注意されるが、呑み始めると食べたくなくなってしまうことが多いのだから仕方ない。ビールとウオツカしか呑まないのだが、特にウオツカに呑み移るとそもそも食べる物がない。食べもしないのに1,000円前後も払うのは嫌だから形だけ頼んだりもしない。だから「ワンフード・ワンドリンク」などともっともらしく掲げる店に入ってしまうと嫌な気分になる。その分呑むからうるさいことを言うな、と言ってやりたい。

 そんな私なので、「ここの何々は旨いよ」と人に勧められる店はあまり知らない。念のため呑みに行った時の食べ物の印象はどんなものが残っているか思い出してみる。

 昔の新宿Bar Angelでは、よくネギトロを頼んでいた。結構安かったし量が程々なのが良かった。今はないメニューだから書いても良いだろうが、私はナッツの代わりに松の実を掛けてもらっていた。本来はコストに合わないそうだ。

 Pub Angelの料理はどれもボリュームがあるので、半分サイズを頼んで出して貰っている。大抵はチキン&マッシュポテトだが、チキンの揚げ具合が最近変わってしまった。なんでもフィッシュの方に合わせたためらしいが、何とか元に戻して貰いたいものだ。私は前のモコモコしたいかにもフリッターぽい衣が好きだった。今のはあまりいただけない。

 カシューナッツとピスタチオが好きなので、どこの店でも乾き物というとその辺を頼む。カリフォルニア産よりイラン産の物の方が旨い。と、思う。でもそんなことを意識して乾き物を扱う店を私は知らない。

 と、まあ、書けば書ける様に思えるが、実のところごく最近のものしか思い浮かばない。通っていた店は他にも多く思い浮かべど料理は全然思い浮かばないのである。したがって蘊蓄など語るに語れない。残念。


表題は山口瞳の名随筆集より。酒そのものより場・人と呑む山口さん故に、食べ物を話題としていても結局は人について書いている。私が今ここで書いても内輪向けの楽屋落ちになるだけでつまらない気がする。というのは言い訳で、やはりあれほどには上手く書けない。較べる辺りがおこがましいが、おこがましいと言われるほどにはものを書いていたい。
読書 山口瞳「酒呑みの自己弁護」新潮社文庫
え〜、最近買った本ではありません。蔵書です。日付を見ると、買った時、私は中学生だった様です。

'03.10.30  随筆

Salon luft schloss

 先日、結構久しぶりにゴールデン街に寄ることにした。私にとっては「帰り道」というには少々回り道を強いられるし、安いと言っても大抵はチャージのある普通の料金の店ばかりで、CODでドラフトを1杯呑んで帰るなんてことの多い私としてはあまり勝手の良い飲み屋街ではない。それとほとんどの店が安普請である。のっけから否定的なことばかり書いているが、それでも行くのだから嫌いなわけではない。実のところ"縁日の呑み屋"みたいな感じが楽しいのである。

 そういえば10月には店を出すと言っていた知り合いはどうしたろうか。きょろきょろしながら通りを歩くと、意外に店が増えていて驚く。

 その中に黒地に赤で古めかしい書体のSalon luft schloss(ザローン ルフト シュロス=空中楼閣)の看板を見つけた。店の名前は聞いていないが確認の必要もない。間違いなく"彼女"の店である。遅い開店祝いに近くで薔薇の花を買って店に入ると、その日は"彼女"の誕生パーティーであった。タイミングが良い。

 Deidlichというのが"彼女"の名前だが、私は別の名前に馴染んでいたので「呼びにくいね」と言うと、微笑んで「"デー"とでもお呼び下さい」と。しかし歌手のコーディネイトや装身具の制作といった昼間の仕事(?)はその名前で通っている様で、お客の中には普通にその名で"D"を呼んでいる人もいた。

 あらかじめ書いておくが決して万人向けの店ではない。雰囲気もかなりコンセプチュアルで私のようなスーツ客は入りにくく感じるかも知れない。未完ながらインテリアも凝っている。しかし、"D"はカルトななりをしているが、それ系の人にありがちな「まず自分」という感じがなくて良い。そんな訳で"彼女"を気に入っているのである。

 この店はG街には珍しく天井が高くて気持ちが良い。これも特筆すべき事である。ところで、この店は失礼だが冒頭の言葉に準えると"学祭の呑み屋"(ありえないが)という感じがしている。店全体のマニアックさとアマチュアっぽさ故だろうか。考えると自分が男子校出身だからなんじゃないかと思い当たった。意味は各自考えていただいて…。


サイトの方は取りあえず仮オープン。


カメラを向けられると戯けて見せずにはいられないらしい(笑)。

「小隊司令部発」のバックナンバー「公文書」のデザインとディレクトリ変更作業中。今年内を目安に栴檀林サイトのリニューアルを進めるつもりでいる。先日のP99の更新のようにコンテンツ単位で少しずつやる予定。本当は一度にばっと変えたいのではあるが、日々の更新をしながら並行して全体を作り直すのは結構面倒である。実際途中までやって投げ出したこともあった。
公開時、この記事のジャンルを誤っていたので訂正。

'03.10.11  随筆

日比谷バー本店の閉店

 先日、日比谷バーの話を書いたが、サイトがあるなら紹介しておこうとリンクをしたので、マナーとしてリンク報告のメールを日比谷バーに送った。折り返し管理をしている方からいただいたメールで本店の閉店を知った。何でも前月に老朽化のため閉店したのだそうだ。「老朽化」と言っても築13年だが、たしかに古くはなっていたかもしれない。ともかく最後を看取れなかった、もとい見られなかった事は悔いとして残った。

 私がこのバーを気に入って通い始めたのは、まずはウオツカがフリーザーに入っていたということとハイネケンが置いてあったというためだ。ま、なにせ十数年前の話なのでよく覚えてはいないのだが。覚えているのは、何より換気の具合がとても良かったことである。

 カウンターの向かい、バーテンの足下に換気口があった。従ってカウンターでタバコを吸うと、煙は隣席には一切流れずに真っ直ぐカウンターの下に落ちていった。それ程タバコは吸わない私だが、一人で呑みに行く身としては極力周りに迷惑を掛けず勝手に呑みたいのである。だから日比谷バー本店の様に煙の流れが整ってる店はとても居心地が良かった。後に聞くとあれは単なる設計ミスだったともいう話だが。

 私が通い始めた当時は日比谷バーも立ち上げ当初で、まだ日比谷シャンテ裏の本店しかなかった。木村さんという名物バーテンがいて(なぜかみんなフルネームで「キムラヤスシ」と呼んでいた)、とにかく酒に詳しく、ちょっとオタクっぽいところが私には気が置けない感じで良かった。その頃よく一緒に行っていた彼女は、彼のことをロボットみたいと言って面白がり気に入っていた。コースターの両端を指先でそそそと押してカクテルを出す仕草が確かにロボットぽかった。 10年前、自分の結婚式の二次会を日比谷本店の3階を借り切って行った。ちなみに"その"彼女とではないが。まあそれはともかく、その頃は全ての店員と面識があった。あの店が閉店か。

 どこで一杯捧げたら良いかわからぬうちにすっかり酔っぱらってしまったので今宵の筆は置く、もといスリープさせるとする。


 最近の山手線主要駅での不愉快。改札脇に40cm程の広告用の人形がご大層にケースに入って置かれている。お笑いタレントがサラリーマン面して軽薄な笑みを浮かべて缶コーヒーを付き出している。誰が彼をサラリーマンの代弁者に仕立て上げたのかは存じ上げないが、迷惑千万、不愉快である。駅構内にあんな新規スペースを取れるのだから代理店はJR系のJ社に違いないが、やめて欲しいあの下らないディスプレイは。酔っ払っていたら俺は蹴り倒しそうだ!

'03.10.4  随筆

ナナシュウネン

 私の呑み方がいよいよ腹に据えかねたか、先日妻が家計の通帳をテーブルに出して、「(娘達のは自分の稼ぎで何とかするから)後は自分で何とかして下さい」と言った。さすがの私もまずいかと思い、今週は意を決して呑まずに帰るつもりでいたものの、水曜は銀座で仕事が終わり諸先輩とMODへ。木曜は木曜でツケを払いにZOIDへ行かねばならなかった。

 払いだけで帰るわけにはいかないから風邪を押しつつビールを啜っていたら、マスターが「こんな落ち着いた状況で何ですが、今日で7週目なんです」と言う。おいおい私はそんなに払いを溜めてたか? 私は慌てて「だから今日来たんだよ」と口走ったのだが、どうもその話ではないらしい。Shot Bar ZOID、開店"7周年"である。店内には、ほぼ必ずカウンターの端にいる常連の方と私とマスターの3人だけ、ではあるが。「そうか、今日か。今日だったんだ」とか言いつつ、取り繕うような乾杯をする。

 馴染みの店には変わらないでいて欲しい。勿論、一客の我が儘なんだが。母体の大きい店だととにかく人が変わる。日比谷バーがそうだった。今でこそ居酒屋の様に(失礼)増えてしまっているが、私が通い始めた頃はシャンテの裏の本店のみで、主要駅に1店ずつ出来たか位の頃だった。優秀な人はすぐ他店の立ち上げに回されるし、そういう人でもあまり異動させられると辞めてしまう。

 店が宗旨変えする場合も困る。この間まで普通のバーだったのに突然焼酎メインにされても呑む物がない。新宿 Bar ANGELの話だ。義理ではないがウオツカのボトルをキープができるうちは顔を出そうかと思っている。

 そうかと思えば、同じ歌舞伎町に珍しく落ち着いたイタリアンテイストの洒落たバーがあったのだが、経営者のシュミで突然子供向きのがさつなパブ風になったので、その時はさすがに行くのを止めた。

 そこへいくと変わらず7周年のZOIDである。山口瞳の様にポチ袋を持ち歩いて祝儀をさっと手渡せたら格好良い気はするが、冒頭の様な次第でそれもままならない。せめてマスターに一杯と思ったが、いや呑めないんだったか。しかし店を出てから暫くして、そうだ、バイク通勤は"出来なくなった"んだったなと思い出した。


 ネット上での日比谷バーというと、結構前にサブナード店(今はない)の店長が個人でgeoに上げていたページがあっただけだったはずだが、いつの間にかサイトが出来ていた。なかった方がおかしいくらいのグループなのではあるが。各店の店員さんを見られるページもあるが、…当然知っている顔はなかった。通っていた全盛期に、結婚式の二次会で本店の1フロアを借り切ったりもしたんだがな…。そうか、もう10年も経つのか。

日比谷Bar


'03.9.27  随筆

景品

 グロールシュというオランダビールがある。名前に聞き覚えがなくとも、このビンには見覚えがあるという人はいるだろう。古めかしい栓付きのリターナブルビンが特徴的である。コスト高なビンで店出しには向かないのか、バーでこれを常備しているところはあまりない気がする。そうは言っても輸入代理店はクアーズなのでルートが弱い訳ではないのだろうが、キャンペーンを見たのは初めてだ。馴染みの店でスクラッチカードを使う販促キャンペーンをやっていたのである。

 私は広告屋のくせに、くじ物の販促キャンペーンがあまり好きではない。なぜなら私はくじ運がないからだ。大抵の"くじ物"が当てられない。当たらないのだから面白いはずもない。ところがなぜか、酒類の店頭キャンペーンは別らしい。特に今回のは良く当たる。スミノフアイスも一通り景品をいただいたが、グロールシュの景品は種類が倍なので全部とはいかないものの、欲しい物はあらかた当たったと言っていい。くじ自体が良く当てさせるくじなのかというと、他の客を見る限りはそうでもなさそうだ。

 ちなみに私にも一応ジンクスらしきものがあり、女性の店員に選んで貰った時に当たる様である。少なくともこのグロールシュについては今のところ全てがそうである。

 キャンペーンの景品という物は、ロゴが入っただけのボールペンとかTシャツなどお座なりな感じがする物も少なくないのだが、このグロールシュのは違う。Tシャツは別として、栓抜きもライターもボールペンも、完全にグロールシュのために起こされた型なのだ。もっとも、これはビンの個性的な形状に助けられているところも大きいだろうが。その形状自体がメッセージになるのだから。

 確率に関してはともかく、まあ、それ以前に引く回数自体が違うのだろうというご指摘はごもっともである。投資額に見合った当選であるのやも。しかしそんなことをいちいち考えていたら酒が不味くなるので考えないことにする。…考えないから呑み過ぎるという話もあるが。



[左]上から栓抜き、ライター、ボールペン。ボールペンは金具の動きまで似せてある。[右]幸運の女神? S嬢と、お客にたかったビールを呑むN田さん(やけに嬉しそうである)。

'03.9.16  随筆

シュミでない店

 仕事の関係で飲食店を利用するということはあるだろうか。私は得意先にショッピングセンターなどがあり、テナントは情報収集も兼ねてなるべく利用するようにしている。ラーメン屋とか、居酒屋とか、私の場合は自分の意志であまり店を選んだりしない種類の店ばかりだが、特に苦痛な訳ではない。

 しかしそれがバーで、しかもシュミが違うと困ったことになる。

 最近私はフリーの人も含めて何社からかなるチームで仕事をしており、そのまとめ役の人が小さなバーの経営者で、彼女の店で打ち合わせとなることが時々ある。私をこのチームに誘ってくれた人は元々ここの常連だったから良いだろうが、正直な話、私はこの店がそれ程シュミではなく、打ち合わせ後にほぼ必ず行われる飲み会もできれば避けたい位である。

 新宿から地下鉄で2駅ほどの所で、住宅地の中にあるため"常連度"が高い。そして年齢層がやや低い。店の作りは嫌いではないが、音楽もうるさいし居心地が悪い。何度か打ち合わせで行っているので、店主に顔は覚えられた様だが、またこの店主が合わない。

 呑み終えるとすぐ次を勧められるのはちゃんと客を見ているという意味では良いが、私は放っておいても次々呑む。というか放っておいて欲しいのだ。すぐ「何か振りましょうか」と言うくせにカミカゼのレシピを知らない。適当に出てきた"ウオツカベースのロックスタイルの何か"を呑み終えるとやはり次を勧められたので意地悪でアフターミッドナイトを頼んだらムッとされて「メニューに載っているのにして下さい」と言われた。何だよ何ができるんだよ。

 こういう店に限ってつまらない冗談の様なオリジナルカクテルを載せていたりする。つまらない冗談につきあえるほど仲良くはないのでモスコミュールを頼んだ。同席していた先輩が、「それがカクテルかい」と言うので、「まあ"振り物"じゃあありませんけどね」と苦笑いで応えた。そしてまた、こういう店に限って通は焼酎を頼むものだと思い込んでいるふしがある。

 やれやれ。全然シュミじゃないんだよ。

 クルマを洗っていたら、急に周りをトンボに取り囲まれた。ふと見上げると、空がトンボに覆われている。「トンボって、蚊取り線香好きなんですかねぇ?」。同じ様に空を見上げていたお向かいに、つい。肝心の蚊取り線香は効力足らずか被弾多数。かゆい。

 週末は庭弄りおじさんの私。雨が降らなかったために、先週末に撒いた肥料で芝が肥料灼けしていた。連日とにかく水を撒く。そして15日夜、やっと雨が降る。ほっとする。

'03.9.8  随筆

ツケ

 年中酒に纏わる話を書いているので、あるいは私のことをバーに慣れた奴と思われる方もいらっしゃるかも知れないが、粋に呑めている訳でもないし、呑み屋のシステムを理解している訳でもない。ちょうど山口瞳を読んでいるので余計にそう思うのだが。

 先日、予想外に遅くに仕事が終わりちょっと呑んで行きたかったが、いろいろあって財布がほとんど空になっていた。よく新宿の某店ではカードで呑むこともあるが、金曜の夜に新宿で降りるのは煩わしい。

 実は会社から歩いていける場所にshot bar ZOIDがあるが、しばらく寄っていなかった。ちょうどHENRY'S BARでもZOIDのマスターの話題になったこともあり、たまには顔を出すかと思ったが…。さてカードが使えたかどうだか不安に思ってわざわざ電話をした。いやカードの件がなくても行く前に電話をすれば良かったと思うことも何度かあったが、流石にZOIDと言えども定時1時間過ぎの9時にはやっていた。

 「ああ、使えますよ。5万円くらい使っていって下さいよ」とマスター。「(そこで)そんなに呑んだら死んじまうよ(笑)」ウオツカとビールしか呑まない私でなくともZOIDで5万は呑めないだろう。

 カードで呑むのに1、2杯というのは申し訳ないからいつもより多く呑むよと言うと、「それがなくても普通に呑むでしょう」と言われた。確かに。

 何ならツケでも良いと言う。カードだと締めがあって何やらかにやらで金が入るのは結局月末。それならツケにして給料日に払って貰うのと同じで、むしろ更に切手代などの余計な出費がなくて良いという。一見じゃないんだしツケで良いですよと。

 「でもさ、ツケ払いに来てそれだけで帰れないだろ、ツケだけ払って帰っちゃってとか他の客に言うでしょう」と言うと、「それはまあそれ覚悟ですよ(笑)」と。

 現金があるときしか呑まないなんて格好良いことは出来ないが、借金は苦手である。もっとも、こういう借り方ならまあいいかと。でもマスター、書類仕事が面倒臭いだけなのではと思いつつ、それは「天に唾」か。

 …おい、ツケにしちゃあ呑み過ぎたじゃないか。


「今回のキーワード」は9日23時のメールで締め切りということで。どうでも良いが応募者がまだ一人しかいない。景品いらんけど読んでた、だけでもいいから何かコメントくれよ…(泣)。

 

'03.9.5  随筆

自慢の…

 日本人男性の悪習と思うが、自分の連れ合いを下げて言うのを良しとするというのがある。「愚妻」などと普通に言ったりする。そんな妻ならなぜめとったと訊きたくなるが、知ったところで意味がないので訊かない。日本の文化自体が総じてそれを美徳とするきらいがある。「つまらない物ですが」と贈り物をするのと似ている。怪訝である。

 同様のものに自分を下げて「私如きが」と言うのを美徳とするのがある。しかしこれは謙譲の表現である。いやそれはそれで私は良いとも思わないが…。謙譲とは自分を下げることであって、身内も自分と同様に下げて謙譲としているということか。しかしそもそも「愚妻」を謙譲表現として使う人などいない様だが。

 ちなみに私は妻を下げて言ったことなどない。そもそも彼女は私の様なぐうたらには過ぎる、良くできた妻である。その気持ちと、私が夜明かし呑んで約束を破ってしまうとかイイ女にだらしないとかいうのはまた違う次元の話なのであまり触れないでおく。

 では逆に、人前でわざわざ自慢めいたことを言うかと言えば、そんなことはない。それはやはり美徳ではなかろうと思う。

 して、知り合いに自分の妻を「巨乳」と自慢する男がいた。そんな男なので(笑)別に親しい間柄ではないのだが。なんなんだろう、彼は。よくわからない。そういえば以前、自分の妻が元スチュワーデス(と当時は称した)なのが自慢だという男の話を聞いたことがあるが、あれと同種であろうか。自分の妻が女優であるのが自慢でしょうがないF1解説者というのもいたか。いずれも不快というか気持ち悪い印象があるのだが。

 一度、彼の妻を見たことがある。紹介されたわけではないので見ただけである。確かに胸は大きかったが、それ以外の記憶がない。他人の配偶者だから、何も彼女の本質的な良さを私が知る必要な
ない。でもだからといって胸の大きさなんか、更にどうでも良いことなんだが。 ちなみにそれでも夫婦円満な様だが、彼は性風俗好きな男だった。なんなんだ君は。


今回のキーワードは「●」。これで今週のキャンペーンは終了。4字の漢字が揃っているはずである。メールにてお知らせを。しかしまあ、最後がまた乳房の話か(苦笑)。

回答感謝>
姐さん しかしこの季節そんな寝方の人はあるまいに漫画的表現だなぁと思いつつ…漫画だからいいのか(笑)。
読書 山口瞳「礼儀作法入門」新潮社文庫

'03.9.3  随筆

汚い看板

 今の勤務先は前と一駅しか違わない。しかし駅前の雰囲気はまるで違う。JR神田駅周辺は、生活環境条例が去年10月施行された頃に「都内一喫煙マナーの悪い地域」として有名だった。今はパトロールがあるので改善されたが(情けない!)、喫煙マナーが悪いだけでなく駅前の雰囲気自体があまり良くない。改札を出てすぐの所が薄暗い陸橋下となっており、旧く汚い橋脚や寝転がる浮浪者に気持ちが荒む。給料遅配にめげずひたすらティッシュを配る消費者金融業者や時給1150円のバイト達の掛け声がまた鬱陶しい。

 何より嫌なのがサラ金の看板。駅前のどっちを向いても必ず視界に入ってくる。足下にまで貼ってある。「今日の支払い大丈夫ですか!?」なんて脅しから「1本にまとめてみませんか」なんて脳天気なものまである。挙げ句の果てに、カードのショッピング枠を現金化する業者なぞは「当社はサラ金ではありません」などと嘯く。そりゃそうだろうが、それじゃ「"風俗業"じゃありませーん」と言いながら客引きする街娼みたいなものである。

 これが繁華街だけでなく郊外にも拡がっている。いわゆるステ看というやつだ。私の家の近くでは、フィリピンパブやら何やらの物と並んで大学の通学路沿いに掛かっている。商店街などは率先してこんなもの撤去して然るべきだと思うのだがまるで手を付ける気配がない。街が汚くなるだけでなく、無造作に結わえ付けられたステ看の針金が目に刺さりでもしたら誰が責任をとるのだろう? 誰もとらないのは明白である。

 ちなみに私は取りすがりに「つい手が引っ掛かって」ステ看をひっぺがしてしまうことが多い。手強いのは金属製の物だが、先日は革手袋とペンチを「たまたま」持っていて、それが「引っ掛かって」4枚くらい引き剥がしてしまった。

 勿論、ボール紙は可燃ゴミ、針金やブリキは不燃ゴミとして出している。

 ところで先日、剥がされたステ看の後に商店街の秋祭りの看板が掛かっていた。その看板の下端には「この看板は秋祭り終了後、撤去致します」とあった。そんな文言に頭悩ます位なら、商店街街頭の違法看板撤去の方が先だろうがと呆れてしまった。


今回のキーワードは「●」
で、 なぜに「麻雀放浪記」??(笑)>姐さん