'02.6.27

隣家

 建て替え中の隣家H邸もやっと内装が終盤に差し掛かりつつあるらしい。我が家は母の希望に添い「長い工期で周りに迷惑を掛けたくないので」ユニット住宅にしたが、隣家は完全オーダーメイド。次男が設計屋なのだ。なにしろ工期が長い。うちは9月に解体し、予定よりひと月延びたとは言え1月には引き渡しとなった。隣家はうちより先に家を空け、今やっと内装である。まあ、すぐ近くで3階建てマンションが2棟建築中なので、結果として周りへの迷惑などという配慮は必要なかった気もするが。

 しかし実のところ、私も建て替えで自分の物でない家に何ヶ月も仮住まいするのが嫌だった。それを「お坊ちゃん」と言うかも知れないが、数ヶ月で引っ越すことが決まっている家ではあまり暮らしたくはない。そういうものの考えだから、家なんぞ建ててしまうのだが。全く新(さら)の家なら借りる家と変わらないという向きもあろうが、気持ちが違う。その上注文住宅ということもあり、妙なところで前の家に結構似せていたりする。隣家も同じらしく、大きな窓から分かる大体の間取りからして、前の家と配置が似ている様だ。

 工事中の家を見に来た夫婦に声を掛けたのは、別にそういうことが気になったからではない。滅多に見ない主人の方が来ていたことが珍しかったのと、やはり道で行き交えば声ぐらい掛けるのがご近所のマナーだと思うからだ。

 もっとも、ここの奥さんとは私の祖父の代が仲が悪かった。父はそういう事に無頓着だったが、先方は私の祖父母も父も亡くなった今でもそれを忘れる気はないらしい。

 ご子息は個人宅を主に手掛けられるのですか、くらいの話をしたところ、奥さんの方から「主に横浜ですけどね」と返ってきた。その「横浜」という言い方が嫌らしく聞こえたのは先入観かも知れない。続けて「今は景気が悪いですからね。"こういう様"に家を建てようという人も少ないの。だからメーカーのとか、そういう家を建てる。その方が安心なのね。メーカーの家は宣伝費とか、沢山余計に乗ってるんだけどね」と。

 はいはい、我が家は誰がどこからどう見てもハウスメーカー・ミサワホーム製の家ですよ。そもそも数千万の商品に乗る宣伝費の割合が幾らだというのだろうか。100円かそこらの菓子の方が比率は高いんだがそれは気にならないのだろうか。そもそも、それが何だと言うんだ? 知らしめるために広告はあるんだ。不当な原価水増しとは違う。だいたい企業が広告をしないことは別に偉くも何ともない。ただ単に金がないか知恵がないという場合だって多い。と、広告人の端くれとしても憤る。

 というか、半年超の工期の人件費が払えて、公庫や年金から借金しなくとも家を建てられるお金持ちで良かったですね、ということか。だから制約がなくて建坪率も北斜線もメチャメチャギリギリで勝手に建てられるんだもんね。良かったね。と、言って差し上げれば良かったのかどうか。こっちは面倒くさい制約にがんじがらめで、南側の庭と大差ない無意味な面積を北側にとらなければならないというのに。

 祖父も父も借金は一切残していなかったが、このご近所つき合いだけは負の遺産。もっとも原因がどっちにあるんだかはわからん。


今回はミサワホームの話ではありません。不具合改修の件は、梅雨明けから動けるように今週末に打ち合わせてそろそろ、という予定。