新(左)旧(右)のロングマグ。旧型の給弾口は9.8mm、新型は9.1mm(共に実測)になりOリングが追加されている。


設計図全体(試作段階の物らしい)


 試作は木型から鋳物作ったり…樹脂もクリーム色みたいなものでしたけど、担当者の方がこだわりが凄かったんで、製品はものすごく綺麗でしたね。実物と違うのはね、ここ(エジェクションポートから見えるボルト)の寸法だけなんですよ。どうしてもユニットが入らなかったんで。マガジンがコストダウンしすぎちゃって(残念そうに)…。これは長期に渡ってのテストもできなかったしね。

 改良型はカップ状のパッキンに加えてOリングが付いてましたよね。で、見較べると(給弾口の直径の)寸法も違いますね。狭くなってますね。

 中の形状とか、その辺は向こうさんで考えて作ったみたいで。当初はもっと弾が入らない設計だったんですけど、接着でエア漏れしないように作れるところをうまく見つけてきたみたいで。担当者の人が優秀だったんで、こだわって作ったみたいですよ。

 ドイツの銃って刻印がうるさいから大変だったんじゃないかと。

 その辺は我々一切タッチしてないんですけど。こだわりの人だったんで。ちゃんと"跡"が付いてたでしょ?

 あ、ツールマークですね。

 木製のストックやグリップも…

 ああ、普通、新規参入であそこまで作らないですよねぇ。

 設計の時に、担当者の人が絶対(ストックを)出すからこれ(ラグ)は付けてくれって。(グリップは)この位置(ネジの位置)だけ違うんですよね、実銃と。ガス室の(位置関係)でね、どっちにしても実銃のは付かない形だからってことで。


L85全体図


SS-9に搭載された試作セミオートユニット

 

おまけ:当時の開発予定機種のユニットの図面に記されていた機種名???


 他にトイガンの設計というのは?

 この後フジミさんで、これ(L85の図面を出して)の試作機作りましたかね。トイガンショーかなんかに持って行ったと思います。(小隊長注:`89年10月の「全日本模型ホビー・ショー」への出展の様子が'90.1号の「アームズマガジン」に載っている)その後、フジミさんが撤退しちゃったんで、立ち消えになっちゃったんですよ。ユニットはこれ(712)ベースでした。

 それとね…これ(712のユニット)のセミオート(版の)ユニットだけ作って、売り出そうかって考えましてね。

 作ったんですか?

 (試作に)10万くらいかかったかな。SS-9に載せて…でも自分用1つ作ってやめちゃいましたね。インパクトバルブのセミオートしかなかったでしょ。じゃなくてもっとパワーの出るやつで欲しいなと思って。基本はこいつ(712のユニット)と同じなんですけど。

 ではやはり抜弾抵抗に(作動の調子が)依存するというところもあったんですか。

 エアの圧力とスプリングのバランスってとこがあって、切れたり切れなかったりというのはありましたね。(スプリングを)何種類も作っていろいろ組み合わせて試しました。

 実証でやるしかないと。

 そう。だからこれ(712)もダブルで(ピストンの)スプリング入ってるでしょう。で、右巻きと左巻きで入れると絡まない。

 またこういう(エアガンの)仕事とかはやってみたいと思われますか?

 これだけやれるんだったらやりたいですね(笑)


 ところでご自身はガンの趣味とかは?

 最近はあんまりないですけどね、これやってた当時は買い漁りました。

 そうですか。

 電動が出てからは、やらなくなっちゃいましたね。

 最近の銃はどんなものを?

 ウエスタンアームズの…ベレッタですね。あと、マルイのデザートイーグル買いました。ベレッタは金属のパーツとか、買っちゃうんですよね。で、全部金属にしたんだけど、これはちょっとまずいんじゃないかなって思って、プラ買い直したりして。

 ところでこれ(712)が出てしばらくしてから、マルゼンからM93R(BV式セミ・フル)が出ましたよね。

 ああ、買いましたよ。でもあんまり面白くなくてすぐ人に譲っちゃいましたね。こいつ(712)はガスだだ漏れだけど、マルイのやつ(ガスBLKのDE)とかは燃費も良くっていいですね。


1ページ目へ

3ページ目へ