マルシン スタームルガーMk1 第2回

'01.9.8

購入当日
スムースアップ
ブルバレル

 前回のレポートでトリガープルについて「こすれる感触が強いので、磨き込みが必要なのだろう。それを差し引いてもプルが重い割にトリガーの戻りが遅い。ハンマーSPが強くてバランスが悪い感じがする」と書いた。今回はその辺りを確認するためにバラした。すると、この劣悪なトリガープルは、主に二つの原因によるものだと分かった。

 まず、戻りの悪いトリガーは、トリガーSPの組み付けの悪さが原因だった。トリガー単体では元の位置に戻らなかったのである。そんな訳で、これは個体の問題であった可能性が高いが、同様の症状の方はトリガーSPのフレーム側に掛かる部分を再確認することをお薦めする。



↑フレーム。この状態でトリガーへのテンションはトリガーSP以外はカムSPしか掛かっていない。

↑ではカムを押してカムSPのテンションを解放した状態で…

↑トリガーを引くと…戻らない!


↑これが問題のトリガーSPのフレーム側。


 次に「こすれる感触」。金属同士の「グギギ」という不快な感触が強くトリガーフィンガーに伝わるのだったが、これはまずは何より強すぎるハンマーSPのせいである。そして次に、そのテンションをハンマーに伝えるパーツの形状の問題であった。



↑左) 強力なハンマーSPのテンションをハンマーストラットに伝えるハンマーSPガイド。右) 断面の角張ったハンマーストラット。

↑バックストラップと、その中に収まるテイクダウンラッチ、6mmボール、ハンマーSP、ハンマーSPガイド。

 解決方法としては、ハンマーストラットの先端をハンマーSPガイドの凹面に合わせて角を丸めること。それからこの部分にグリスを塗布すること。これだけで全然違う。勿論、ハンマーSPを"緩くする"ことは有効だが、長さに余分がないので単純にカットするのは見送った。画像を見ていただきたい。ま、これなら1.5巻くらいは問題なさそうだが。


 ダブルアクションオンリーのこの銃を、ハンマーSPを強くすることでパワーアップしようと目論む御仁をある意味脅威に思う。少なくとも彼と何かを賭けて指相撲することだけは避けるべきであろう。

 急ごしらえの組み付けの悪さを笑って許せるだけのトイガンマニアとしてのキャリアが私にはあるが、パワー偏重によるこのバランスの悪さは失笑に値する。逆に言えば、それ以外はそれほど悪くはないと思う。100点ではないが。

 このノンブローバックガンを気の利いた他社が作っていれば、ボルトを引いてコッキングできる程度には作っただろうが、それを今のマルシンに望むのは酷なのかもしれない。いやしかし、本当はマルシンは"そんなメーカー"ではないはずだ。なにせこんな銃をモデルアップしてくれる位なのだから。と、思いたい。