大戦独軍マニアの試金石

■MP44の暗黒時代
 私は大戦独軍ものが好きなので、好きな銃を挙げていくと当然その時代の物が多くなる。それらの大抵のモデルについては、皆さんご存知の通りメーカー別に何挺も集めており、我ながらしょうもない性(さが)だなとは思う。その中でも“大振りに”しょうもないと思うのが、この2挺のMP44だ。

 10〜20年程昔はMP44というのはどちらかと言えばマイナーな銃で(今もか)、大戦独軍マニアが「ああ、どこかからモデルガンで出て欲しいなぁ」とか無い物ねだりをし合うのが関の山だった。模型という事ではサムズミリタリヤが実物を型取り複製したソフビ製のダミーを出していた位だが、長い間唯一それしか手に出来なかった。
■モデルガン
 ところが'94年、松栄製作所によって精密な金属製モデルガンが発売された。それもダミーカートのディスプレイモデルだけでなくブローバックモデルまで発売されたのだから驚いた。そして、これは今入手しなければ、永遠に手に出来なくなるモデルだと思った。ガンマニアを続けていると4、5年に1挺はそういうモデルに出会す。まるでガンマニアであり続けるための試金石の様に。そしてその時の私は、たまたま何かで勢いづいている時期だった様で、あっさりと買ってしまったのだった。

 実銃はシートメタルのプレスで作られているが、本作では亜鉛ダイキャスト製なりのアレンジはなされているが、自然な表現となっており違和感は少ない。実銃ではロアレシーバー部は分解ができないが、さすがに分解は出来る様アレンジされている。とにかく、現状の日本の法律上ではこれ以上望めないほどの出来の逸品となっている。

 このモデルガンは、当たり前だが大切に仕舞い込み、時々引っ張り出しては薄く油を塗ったり、軽く作動させたりして楽しんでいる。


95,000円('94年10月当時)


セレクター部

通常分解。押さえておかないといけないのを忘れ、バットストックをすっ飛ばしそうになった。

■電動ガン
 更に度肝を抜かれたのはその翌々年には、なんと東京マルイのユニットを積む電動ガンが発売された事だ。当時は私の中ではサバイバルゲーム最盛期で(なにせ自分でチームを主催していた)、大戦独装備に合うメインウエポンに悩んでいた。結局私はこれも購入してしまうことになった。

 造型はモデルガンとは一部異なり、電動ユニットに合わせてロアレシーバー部を中心にアレンジされている。回転式セフティの位置にスライド式のセフティ兼用セレクタが来る。実物ではセフティはレバーで、セレクタはクロスボルト式の物が別に付く。またグリップ部にモーターが来ることもあってかパネル部は一体のキャスト製になっている。初期には完成品があったが、基本はキットだったらしい。更に後には台湾で組み立てた完成品が登場したが、若干異なる仕様だった様である。


傷み具合がまた誇らしい(笑)。

 私はこの電動ガンをバリバリゲームで使っていた。「バリバリ」と言っても年数回だった訳だが。瓦礫迷彩に身を包み、両腰にはポーチ。予備は片側の3本持ちで、右のポーチにはダミーのマガジンを刺していた。本気でやっていたので傷だらけで、Fサイトフードは何処かに吹っ飛ばしてしまった。しかしお陰でスリングとストックのヤレた感じは実戦風だなと、これまたしょうもないことで悦に入る訳である。

79,800円('96年3月当時)


セレクター部。リアサイトはゲームでダットサイトを載せるためマウントベースにしている。ちなみにこの基部、43型のみ突起があるが何に使うのだろう。逆側には切り欠きがありマウント用に見えるのだが。

マガジンポーチ。6本揃っているが…

右の3本はキャストのダミー。どこ製なのかは失念。


サムズミリタリヤの配布した予約用のチラシ。[拡大]

蛇足。'09年3月に中国AGM社が1/3以下の価格でコピー品の電動ガンを発売した。その年の末には社長の逮捕で倒産かという事で、商品も入らなくなったそうだが、現在は復興してヤフオクなどに出品されている。いずれにしてもコピー品であるし、品質も褒められた物ではないそうなのでお薦めする気はないが、そういう物も出回っているという話だけ。

■バリエーション
 実銃のMP44には生産時期によってMP43/1とStg44という型番のバリエーションがあるが、仕様自体はまちまちな上に戦争末期の混乱と部品互換の高い融通性から、実銃の世界では明確な違いは殆どないという。松栄ではこの3つ共にモデル化しており、刻印やプレスの突起など細部が異なる。

 松栄が製作した模型の型式としては、ダミーカートモデルガン、BLKモデルガン、電動ガンの他に、外部ソース式のガスBLKが発売されている。また、型番型式に関わりなくZf41スコープのマウントレール付きが発売され、同社製のZf41付きで販売されたりもしていた。

 今、決意を持ってガンマニアを辞めるとまで考えている訳でなく、それであれば、おそらくは二度と手に出来ないであろうこれらの銃を手放す気にはなれないでいる。我ながらしょうもない性だなと思う。なにせ試金石の内の一つであるから。…内の一つ?

■おまけ
 MP44が発売された当時、我が栴檀林小隊はサバイバルゲームチームとしてまだ現役で、不定期刊ながら会報を発行していた。B6〜B5判2〜8Pのコピーで、ゲームの報告やトイガンのレポートなどを載せていた(それがこのサイトの前身なのだが)。MP44モデルガンと電動ガンそれぞれのレポートを当時の紙面で。[画像クリックで拡大]

 
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