MGC
WALTHER PPK

発売時期 1954年?
定価 4,000円

 今でも大切にしている最も心に残るモデルガンといえば、私の場合MGCのワルサーPPKだ。

 MGCは戦記物ブーム時代を中心に創設から3代のPPKを出していたが、これはその「第3代」に当たるモデルである。当時全盛だった"タニオアクション"のもので、トリガーを絞るとスライドが後退し、シアが外れてスライドが前進、カートをチャンバ内の撃針に叩き付けて撃発するという仕組みだった。


 このPPK、模型としての正確さはあくまで"当時のレベル"である。PPKは2次大戦を境に大きく2種類に分けられ、リアサイトの形の差異とスライド先端のカットの形で容易に見分けられるが、これはそのどちらなのかよくわからない。スライドのカットは概ね戦後型。リアサイトは、戦前・戦中型だがPPのものになっている。ちなみにスライドの刻印は全くのデタラメで、私の資料では近いものは見あたらないし、例外的な刻印だとしてもあまり現実的な内容になっていない。

  German Polizei u. Dienst Automatisch
  Pistole Kal.635-BL Mod.PDP

 ワルサーバナーも入っていないし、そもそも「PDP」となっている。正しい刻印はもちろんこうだ'(ウムラウトは略)。

↑600gの存在感。

→プラモデルの様なボックスアート

         Waffenfablik Walther.ZellaMehlis(thur)
         Walther`s Patent Car.7.65m/m Mod.PPK

 しかしそのパッケージと、グリップの造形で、これが戦中モデルを表そうとしている意図は充分理解できる。特にグリップは本体とは別次元の秀逸な出来だった。そもそもこのエーレンバッフェ用のグリップは他にモデル化されていない。"あの頃"のポイント(わかるかな)が発売を予定していたが、予定だけで終わってしまった。ちなみにエーレンバッフェとは表彰などの記念品のことで、ご覧の通りスワスチカがモールドされている。

 ところで作動至上のタニオアクションにもかかわらず、部品のバランスの問題か、コストの問題か、アクションの要となる「レコイルアーム」が摩耗・破損しやすかった様で、少なくとも私はあまり快調には撃てなかった。

 しかし、最後の金属モデルガンのPPKにして最後のモデルガンPPKであり、唯一のエーレンバッフェである存在意義は今でも大きい。



 


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