WA AR7 その2
発売時期 `85年5月頃
定価 不明

 AR7というとまずWAの名が浮かぶ。WAは日本でAR7をモデルアップした唯一のトイガンメーカーで、モデルガンとガスガンの両方を出していた。

 '82年後半に発売されたモデルガンでは、細く、長く、緩いテーパーのかかったスマートなバレルを一体成形で再現した技術と、実物でも実現できなかった収納時「水に浮く」のを実現したことに驚かされた。

 '85年頃発売のガスガンは数々のバリエーション展開をして、創生期の代表的ガスガンとしてトイガンファンの記憶に残っている。…残っているはずだが、ひょっとしたら最近のファンの多くは知らないかも知れない。と、長老面をする様だが実は私もガスガンのAR7の最盛期を知らないという話はいつぞや書いた。ガンマニアに復帰した時には既に店頭にはなかったのである。従ってしばらくの間、AR7は私にとって"幻のエアガン"だった。

 

↑ 上から、ハイパワー・カスタム、スナイパー・カスタム、サバイバル・ショーティー。

↑ (左)マガジン比較。右のスナイパー〜はアルミの削りだし。ハイパワー〜は亜鉛ダイキャスト。(右)フロントサイト、ポストの形が違う。右のスナイパー〜はビート型。

↑ 参考にした「Gun」'85.9とWPPの'88のムック本。

 


 しかしAR7は特にレアだった訳でも、ハイパワーだった訳でもない。普通のガスガンである。それどころか旧さ故にいろいろと不具合はあったらしい。ガス漏れ。機関不調。私が手に入れたハイパワー・カスタムは、メーカー修理で対策品に換装されたにも関わらずガスは漏れたしトリガーの戻りもスムーズでなかった。

 さて、つい最近の話だが2挺のAR7を入手した。ぶたさんから譲って下さるという嬉しい申し出があったのだ。サバイバル・ショーティーの方は完動品。ハイパワー・カスタムは「部品取りと思って欲しい」ということだった。確かにトリガーを引いても、引き絞られたストライカーがシアから外れてバルブを叩く「カチン」という音すらしない。ハイパワー・カスタムには後にチャージングハンドル(勿論ダミー)が省略されたモデルもあったが、これは自分のと同じ時期の物らしくハンドルがある。

 

 しかし並べて見比べるといろいろ違いがあることに気付く。…というか何かおかしい。違い過ぎる。古雑誌を引っ張り出すに至って、実はこれはハイパワー・カスタムではなくて、その前身スナイパー・カスタムであることがわかった。インパクトバルブじゃないのだから、バルブの叩かれる打撃音もしない訳だ。トリガーはノズルを前進させて弾をチャンバに送った後、テコ状のパーツを押してバルブを引っ張ってシュコーっと開放するのである(想像。繋ぐソースがなくて試せていない)。ハイパワー・カスタム発売後に3,800円(パーツ代+加工費)でのアップグレードサービスがあったそうだ。

 材質も仕上げもスナイパー・カスタムの方が良い。不動品なら何か組み込んだりして遊ぼうかとか(やれるかどうかは別として)思っていたのに、ちょっとそれは勿体ない気がしてきた。

 

← 下のハイパワー〜では、ダイキャストのトリガーを引くと真鍮のシアが前進、奥のストライカーか解放されてバネの力で後退してバルブを開く。スナイパー〜ではスチールのトリガーはテコを介して直接バルブを解放する。

 

WA AR7(ガスガン)一覧

ライフル型

スナイパー・カスタム
'85.6頃発売 \ 不明

WA初のエアガンで、インパクトバルブではなかった。

ハイパワー・カスタム
'85.10発売 \20,000

インパクトバルブを装備した本格的ガスガン。

ショート型

サバイバル・ショーティー
'85.10発売 \9,900

ピストルグリップにガスを注入。バーチカルグリップ、プラ製コンペンセイター付き。

マッドドッグ
'86.7発売 \18,000

サバイバル・ショーティーのバレルを延長してアルミジャケット追加。チェッカリング付きグリップ。グリップ後端に直接ボンベをねじ込む。

ピストル型

ガス・ピストル
'85.10発売 \7,000

実銃の専門書でお馴染みのピストル型。リアサイト兼用のダイキャスト部分はグリップからのガスルート。

ヒットマン・カスタム
'86.5発売 \13,500

ガス・ピストルにブルバレルとチェッカリング付きグリップ装備。



 


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