随筆/日記
公文書

'18.11.3  随筆 

けさみど。
 私の日中のツイートは、ツイートアクティビティのインプレッションを見るとせいぜい50以下の数値の様だ。フォロワー数が300に欠ける程度なのでそんなものだろう。ところが、愛猫みどりの写真を上げると、100から下手すると500位行ったりする。

 みどりは特に種類を訊かれる事もない普通の雑種猫で、柄も至って普通のキジトラだ。これといった芸をする訳ではないし、特にこちらが仕込んで何かを着せたり舞台を作って撮っている訳でもない。普通に日常をiPhoneで撮っている。

 元保護猫で、多頭飼い崩壊現場からの保護をしたシェルターさんから妹が譲り受けた。自ブログを見返すと、うちに来たのは2015年の5月なので、もう3年半経つ。当時推定2歳だったから、いま5歳半位という事になる。

 希にトイレ外シッコをする以外はこれといった欠点もなく、健康だし人懐こくて温和しい。ああ、最近2階の特定の壁に飛びついて登る様になったのは、やめて欲しいなあれ。柱状になってる壁がターゲットなのだが、二階建て一軒家でも猫タワーは必要なのかな。

 我が家はここ暫く、母の入院を初めとして細々なものまで、あまり良い話がない。いやほんとに。めげるよなぁと思うけど、家の中にみどり一匹いるだけで全然違う気がする。と、まあ、妹が言うのだが、確かにそうだなと思った次第。無意識に癒やされている。

 めげ気味の日常を送りがちな人に、とにかく肉を食えとか筋トレしろという提言をよく見掛けるが、猫と暮らすのはとても良いと思う。ただ、生き物を飼うのだからハードルはぐんと高くなるが。先のシェルターにしても保健所にしても、虐待殺の懸念から審査はかなり厳しいそうだ。むしろペットショップが脳天気な位に緩いそうだが何ともバランスの悪い話だと思う。人間のパートナーを見つける方が、遙かに楽なんじゃないか?(苦笑)


うちに来た当時のみどり。

アンモニャイト。

冬は冷蔵庫の上が好き。


あくび。

なぜか右手を伸ばす。

お腹はもふもふ。

読書 三浦しをん「風が強く吹いている」新潮文庫

三浦しをん作品は文庫では粗方読んでいたのだが、本作は長編の上にスポーツの話だしということで敬遠していた。でも、なんと、アニメ化されるなら、これは読んでおかねばならなかろうと、OAが始まる前に読んだ。そして、長編とかスポーツとか関係なくとても心地良く読める作品だった。というかそういう作家だと知ってたはずなのにさ。ちなみにアニメの方はキャラデザから“駅伝版ハイキュー!”ぽいが(笑)、細かいところがアニメなりのきちんとしたアレンジが施されていて心地良い。ちなみにこのタイミングのおかげでアニメ化版のカバーも付いていた(画像右)。カバー裏面にボーナストラックがあるので今がお買い得かも。

 



'18.9.19  随筆 

馬場で呑む
 ある日「たまには馬場で呑もうか」と思い立つ。たまにはと言うか、私が高田馬場で呑んでいたのは随分前の事だ。その頃は、歌舞伎町で呑むことに一時的にある種の閉塞感を感じて、同じ西武線1本で帰れる馬場で数軒を巡っていた。尤もそんなのもすぐに飽きてしまい、結局はまた歌舞伎町に戻ったのだが。

 例によって自ブログを遡ると丁度10年前だった。乗換駅だから毎日列車内からは街を見ているし、次女の学校が近いので休日の昼間なら最近何度か降りていた。

 果たして、久し振りの馬場はそんなに変わっていなかった。とは言え以前に寄ったいくつかの店はなくなっている様だった。唯一の(?)繁華街さかえ通りはキャバやガールズバーの呼び込みが増えた気がするが、まあ歌舞伎町に較べれば薄い弾幕である。

 通りの途切れる辺りで見覚えのある看板を見掛けた。「saikai」は確か学生をプロフ付きで立たせてる店だったが、そこは変わらずだった。ママもご健在。ところがこの秋には建て替えのため一時休業するのだとか。“再会”は2020年。

 もう1軒気になる店があった。山手線沿いの酒場長屋みたいな通りにある「こくているnico」。古いタイプのバー。10年前から古かったが。


 現存しているのは列車内から確認していたが、敷居を跨ぐと少し雰囲気が変わっていて、そもそも店の人間が違っていた。思わず「久し振りなんですが、何か最近変わりましたか?」などと妙な質問をしてしまった。聞くと前店主H氏は去年の夏に亡くなっていた。急死だそうである。元々近隣の店に勤めていて呑み友達でもあった自分が継いでいるという。

 店内が変わって見えたのは、前は雑多な荷物で埋まっていた背面を綺麗にしたからだった。バックバーはほぼそのまま。ただ、黒板に手書きでぎっしり書き込まれていた惣菜が今はなくなっていた。

 暫くすると常連だという初老のミュージシャン氏現る。暫く亡き店主の話で盛り上がった。

 たまには馬場も悪くない。

タイムマシンはこちら。 高田馬場散策 小隊司令部発2008年10月30日

'18.6.22  随筆 

ちゃんと描いてますからっ!
 事務所でR君に「Sさんは物理買い派ですか?」と訊かれたのは、星里もちる「ちゃんと描いてますから!」全4巻を文庫で注文した翌日だった。物理買いというのは、書籍をデータではなく印刷物で買うことであった。

 TL上に、フォローしている阿部ゆたかさんが星里もちるさんのツイートをRTしていて、そこで興味を持ったところ、pixivに数話フリーでアップされていたので読んだのが切っ掛けだった。大概の漫画は4話くらい読むと、読みたいかどうか決められる。

 デジタルではKindle版があって、今はそれもMacで読めるのだと知るといういかに仕組みに興味がなかったかという自分だったのだけど(問題だな)、結局は印刷物で購入した。月いくらで読み放題というサービスにも組み込まれていたけど、そういう手元に残らないのは何か気持ち悪かったのでやめた。

 実は学生時代に少女漫画を描いていたし、暫くは漫画編集に近い仕事をしていたアラフィフ親父である自分にとって、当然「星里もちる」は超有名作家なのだけど、作家本人が宣伝ツイートをする時代かぁと感慨深く思った。

 残念ながら私は徳間の『月刊COMICリュウ』という雑誌をほぼ知らないので、この作品の市場的立ち位置は分からない。また「今のNHK朝ドラが漫画家の話なので便乗で宣伝します」みたいなのが同氏のツイートだったけど、実はそのドラマもほぼ知らない。でもこの作品は面白かった。

 ものづくりをしようと思った事のある人には結構引っ掛かるところのある話だと思うので、pixivのフリー分だけでも読んでみて欲しいと思う。うちでは取り敢えずもんちゃん(高1次女。 アカウント内緒にしてpixivにコマ漫画投稿しているらしい)に渡した。

試し読みはこちら→ ちゃんと描いてますからっ! - 星里もちる (pixivコミック)
お買い上げはこちらで(ウィジェット表示遅い上に変なのでそのうち直します…) →  


'18.4.5  随筆 

公式さん
 SNSなどで企業の名前を背負ったアカウントのことが、公式アカウント転じて公式さんなどと呼ばれていることがある。

 私の場合、世間で話題の公式さんに特に興味はないのだが、ネット上で頻繁にやり取りしていた知り合いが、自分の店の公式アカ運営に注力した結果個人アカの方が開店休業になったため、必然的に私もその公式さんの方とのやり取りが多くなった。まあ、あんまり公式ぽくないんだけど。メイナンてんちょだけど。

 そしてその繋がりでもってフォロー関係になった公式さんも多い。ちなみにその公式さんの中には相互フォローだけど相手のツイートは読んでなさそうな人もいる。でもこれは業務だから仕方がない。公式同士ならともかく、エンドユーザーの自分の様なツイートをいちいちフォローしていられないだろうと思う。

 ちなみに私も小隊長(@sendanrin)以外にもアカウントは持っていて、試しに作ったやや仕事寄りのもあるのだが、社の公式ではない。立場上はやっても構わないのだが(社長だしな)、やるメリットがないのだ。まず広告制作業なので見せる商品がそもそもない。作ったものは得意先のもので、大抵の場合はうちで作ったことを大っぴらにできなかったりする。それから私自身がいわゆるクリエイターなどではないので、私自身のキャラクターを広めても意味がない。

 尤も、個人サークルみたいなものでも自らを公式と称する人もいるので、そういう意味では自分もこの伝統ある栴檀林小隊(笑)の公式アカウントと名乗って間違いではない。ただ、これも特にメリットはないんだけど。同時に公式である事の縛り(タブーとか)も別にないが。どっちもないならまあそれでいいんじゃないかと。


'18.3.20  随筆 

卒業式
 今日はもんちゃんの卒業式だった。なんか寒くて長かった。そもそも事前に配布された式次第からして開始時刻しか書かれておらず、いつ終わるのかが分からなかった。取り敢えず会社は休むことにしていた。式は昼過ぎまで続き、謝恩会の類も特になかったのでそのまま帰ってきたが、やはり休むことにした。

 卒業式が終わった後は、体育館に記念撮影のため集まった。長女の時ほどは保護者間の繋がりはなく、大して知った顔もなかった。4人ほど挨拶をすると手持ちぶさたになる。式の最中に見掛けた妙に艶っぽいお母さん(にしては若かったけどな)はいない様だった。何見てるんだか。

 やかましい太陽の様な長女と対照的に、次女もんちゃんは曇りの日の木星の様だ。とは言え友達がいない訳ではなく、極めて仲の良い美術部の仲間数人と固まっていた。そもそもあの子、部長だったんだ。友達のお母さん方に急かされるままに写真を撮られていた。妙な光景である。

 成績が悪くて公立は勿論、あまり“程度の高い”高校には入れなかった。でも、好きな美術に特化した学校なので、その部分では楽しく過ごしてくれるだろう。そうである事を願う。願うと言うか、親なのでそれをしっかり支えないとならない。

 それは果たして順風満帆となるだろうか。なって貰わないといけない。なぜいけないかというと、それが親の責務だからだ。私に出来る親の責務がどの程度かは分からないが。取り敢えずジョイントが壊れた風呂の扉を何とかしないとならないだろう。まずはそれが今日の親の責務だ。

 記念撮影の写真の中で、もんちゃんは屈託なく笑ってはいない。それはキャラクターだから。だけど代わりに彼女は、漠然と幸せな未来を見ている気がする。それは屈託がない笑顔と同じだし、順風満帆な気持ちと同じだろう。

 中学卒業おめでとう。父より。


'18.2.22  随筆 

長女の一人暮らし
 何でも勝手に決めてきてやってしまう娘だなと長女のことは思っていたが、さすがに一人暮らしのアパート入居はそうはいかなかった。そもそも未成年だし当たり前か。仕方ないので借り手の名義は私がなる事にして、1月から一人暮らしをしている。実家から自転車で僅か30分の場所で。

 一方私は実は生まれてこの方五十年超、一人暮らしをしたことがない。都心まで30分未満の実家という環境で、高校・大学・勤め先は都心や近所だったのに加え、学生時代から結婚までの期間、家の誰かしらが長期入院していたのだから、長男の私が一人暮らしをする理由などなかった。

 長女の一人暮らしをしたい理由は、遅いバイトばかりで上りのすぐなくなる沿線で通いづらいとか、家に居るのがあまり楽しくないお年頃というか、そういう事の様だ。かと言って家から1時間掛からない大学に通っているのに部屋を借りてやる馬鹿親でもないので、なら学費以外は自分で稼げと言った。それでも人にはよく許したねと呆れられるが。

 しかし我が家一騒がしい長女が居なくなると、なんか途端に生活のサイクルが変わってしまった感がある。次女も中3だが昨年末には進学先が決まって我が家には受験の緊迫感もない。

 どうせ減っていくだけの家族なんだろうという厭世観にも似たものが常に頭の一角を占め、時折妙に脱力してしまう。それでも些細なことの積み重ねで生活は何とか回るもので、気を入れて仕事をやってみたり(当たり前か)、どうでも良い玩具を買ってみたり(その割に多いな)、食べる必要がある訳でもない物を食べに出掛けたり(どうせ油そば)、それでも足りなければ酒を呑んだ(いや、関係なくいつも呑む)。

 先日、その長女が突然帰ってきていた。友達との約束でうっかり家の近くに短期バイトを入れることになり、その休憩時間潰しなのだそうだ。夕方寝こけていたので、起こしたら慌てて出掛けていった。しっかり者の訳ではない。

読書 角田光代「彼女のこんだて帖」講談社文庫

レシピ付き連作短編料理小説? なんか前もあったな、こういうの。案の定、料理教室の広報誌か何かの連載だった。まあ、どの話も美味しくいただきました。オビの「宝箱の様な連作恋愛小説集」には仰け反ったが。




'18.2.15  随筆 

「開いてない店には通えないからね」
 私がよくその様に言うのは、少し若い店主の酒場に通い始める時のこと。別段、上から目線で言うつもりはないし、そういう言葉を掛ける様な店には、実際によく顔を出している。大概一人だし人を紹介することも希だが、ウェブやら何やらで書く。通う時には週2週3は顔を出すし、大して高い酒を頼む訳ではないが居る限りは呑む。酔って店や他の客に迷惑を掛けることはないし(呑み過ぎて少し寝こける程の時はたまにはあるが)、店に対して奢った気持ちもない。

 要するに、居心地良くあり続けて欲しい店には、そうあって欲しい意思表示位はするという事。つまりそういう気持ちで言っている。でもやはり、この人ちょっと駄目かなと思っていると案の定駄目なことはある。中野に昔あったトイガンバーとか。

 悔しいのは、店主がちゃんとしているのに家主の事情で店が畳まれてしまう場合。神田の「Bar Alley」とか。でも一番大きかったのは、歌舞伎町にあった「BLACK LUNG/BAD CAT」か。建物側の事情では仕方が無いが、そもそも絵面的に“ザ・犯罪の温床”みたいな雑居ビルだったし(苦笑)、実際下の階の怪しい事務所はドアに銃弾が撃ち込まれたりもしたし、まともなテナントが普通に借りる場所ではなかったのかも。でも楽しかった。

 あと虚しいのは、経営母体の運営が残念な場合。よく通った神田高架下の某店。店長が変わり、システムがなし崩し的に変わると、あれよあれよと付き合いづらいしょうもない店になってしまった。聞けば途中から運営も変わっていたそうな。

 そして、今の場所に事務所を移してから社員皆で通っている近所のアイリッシュパブも、最近雲行きが怪しい。店長と料理長がこのふた月の間に辞める。そして今日、予告なしに休業していた。

 「開いてない店には通えないからね」は、好きな店にしか言わない。私はしょうもない酒呑みだから、一緒にいる時間は注いで貰い、注ぎ返す。

読書 三浦しをん「光」集英社文庫

読み始めではまさかこんな構成とは思っていなかった。愛憎とは同時存在だという事なんだなと思った。残念なのは「光」が何であるかを分かっていたはずなのに、うっかり解説を読んでしまいわからなくなってしまった。数ヶ月後にまた読もう。(昨年11月に映画化されていて、そのカバーが掛かっていた。これはこれで観てみたい気も)