小隊司令部(随筆)
公文書

'03.4.28  小隊司令部

幸せの道具
 小隊司令部に新兵器が配備された。

  …いや、ディスクグラインダーなんだが。それも安物。ホームセンターの電動工具コーナーには、カタログ上の何段階かのラインナップ中の最安価クラスしかない。もっとも日曜大工にはそれで充分らしいのだが。

  "金物屋"に勤める妹Aによれば、売価5千円程度のクラスの物はすぐ過熱して使い物にならなくなるとか。安売りのノンブランドは売価2千円台からあるのだが、一応メーカー品の定価1.5万円の物を購入した。しかしまあ、クルマ解体する訳じゃないしなぁ。

  …でもこれで、ひょっとして何かの苗床のようになっている乗れない自転車も「不燃物」で捨てられるのか?

 
 見よ、ディスクグラインダーだ!! それにしても何のゴーグルなんだコレ(軍装ジャンク箱より引っ張り出す)。しっかりカラーコーディネイトしてるし。
 「ブュイイーッ」「ギャッギャギャアァアアッッ」…凄ぇ音。かなり近所迷惑な音に、2本目当たりで躊躇した。脚に火花ブチ当たってるし。何より電動工具は緊張する。かいた汗は冷や汗だろうか。
 「これ、不燃物? 資源ゴミ?」実はスチール棚廃棄のために買ったという…。1つバラすのに切断砥石を1枚使った(上に乗ってる小さくなった歯がそれ)。「市役所にお金払った方が安いってことはないの?」は妻。その辺は大丈夫。…何とか。

'03.4.7  小隊司令部

呑気な私
 枯れかけた白木蓮の色は、なんかポップコーンに似ているな…。呑気な事を考えながら落ちた白木蓮の花びらで埋まる隣の貸家の庭を掃く。

  なぜ掃いているかというと、除草剤を撒かないとならないからだ。除草剤の取説に書かれている訳ではないのだが、枯れ葉の上から撒いたら効力は疑わしい。缶ビール片手に顆粒状の除草剤を庭に撒いていく。生え始めのこの時期にやらないとならないんだよな。あと一月放ったらかしにしたら"例年通り"大変なことになる。こういうことは、本当は朝の内にやるべき所なんだろうけど、既に陽が傾き始めている。

  芝生に寝っ転がって雑草を抜いていると、庭の端の方には既にスギナが出始めているのがわかる。根が深いスギナは、芝生の庭には最大の脅威である。日本芝用の除草剤を引っ張り出して撒く。脅威と言えば、モグラの冬眠はまだ続いているのだろうか? ナフタリンで出来た忌避剤を埋めていく。30cm間隔で20cmの深さに。…出来るわけがない。そもそもこの薬は芝生用ではないし。 飽きてきたので適当なところでエアガンを引っ張り出して裏でパスパス撃ってさぼる。

  ああ、このまま隠居したい。2人の娘が4歳と0歳で、住宅ローンが34年残ってるんだけど。36歳で隠居できるほど裕福じゃないんだよね。当たり前か。

 で、隠居は出来ないんだが、4年勤めた今の会社を辞めることにした。ここに理由は書けないけれど。そんな訳で4月はちょっと忙しいかもね。…やっぱり隠居は無理か。

'03.4.2  小隊司令部

間違い

 春休み、午前中の電車の中は子供連れが目立つ。少し離れたところにいる祖母の席に向かう小学校低学年位の男の子が、床に座り込んでいた若い男の脚に蹴つまづきそうになった。男の子が若者に訊ねる。

 「電車の中なのに、なんで座っているの?」

 男が無視をするので男の子はまた訊ねる。次の駅に着くと、男の子を一瞥もしないまま男は電車を降りた。周りの大人はほっとしたことだろう。それでも男の子は「電車の中なのに、なんで座っている(た)の?」と訊く。母親も祖母も困った顔をして答えない。男の子は戸惑ったように周りをきょろきょろ見回す。目があった拍子に、思わず私が答えてしまった。

  「間違っているからだよ。沢山人がいると、間違ってる人も中にはいるんだ」。

  "中には"を強調したかったのだが、これではむしろ間違っていても良い様に聞こえてしまうかと思い、言い訳するように付け加えた。

 「間違っているところは真似をしちゃだめなんだよ」。

  男の子はうなずいてから、「おじさんは?」と訊いてきた。

 「おじさんにも間違っているところはあるよ。電車の床には座らないけどね」。

  我ながら何を言いたいのかわからない。男の子はぺこりと頭を下げて席に戻った。母親がすみませんという顔で頭を下げた。 すまないのはこちらの方だ。男の子に微笑みかけて次の駅で降りたが目的の駅はその次だった。

  私には、間違っているところもあるし、間違ってばかりでもある。


読書 山本夏彦「完本 文語文」文春文庫
てんで先に進まない…。読了できない予感(笑)。

'03.3.22  小隊司令部

梅に

ここ数日のニュース

20日

この1週間、私が珍しく仕事に打ち込まざるをえなくなった原因のヘビーなDMがやっと入稿。活かすあてのないノウハウを得た(笑)。 POWERBOOK ARMYの飯嶋さんが退職。お疲れさまでした。時期に関係なく会社辞めるというのは大変なことだ。

21日 上級曹長の誕生日。午前中に向かいのSさん一家が引っ越して行き、午後には次の住人候補が見に来ていた。さすが不動産屋、手際が良い。
22日 小児科はパンク状態で3時間待ちにつき一度家に帰り昼飯。斜向かいのKさんのお嬢さんが結婚で家を出るとか。勝手口で上履き洗いの真似事をする娘を横目に庭を視察。そしてこれ↑

  米英連合軍による"イラク民族解放作戦"には特にコメント無し。人殺しにわざわざ賛意を表す馬鹿はいない。そんなことをするのは昔の漫画中の悪役位だ。でも民族の幸せは国家の幸せではなく、国家の幸せは世界の幸せでない。と、すれば、反戦は誰の幸せを望んでか? わからない私は単に頭が悪いに違いない。…それはともかくコメントしてるか。

'03.3.17  小隊司令部

週の頭からこれかよ、と。
 この2、3日で合衆国大統領は困難で重大な決定を下すそうだが、実は私もしなきゃならないんだよな、この2、3日で。レベルは違うにしても。

  ところで確定申告終了! ああまったく面倒くさい。しかしこれをしなければ戻ってくる金も戻ってこないというのがもどかしい。会社を1日休んだ。

  週末は風邪を治すために、更に土曜の出社日を休む。それはともかく家で寝てるのって実は結構好きなんだよな。庭の枝垂れ梅が綺麗。白木蓮はまだまだ。

  日曜、たらたらドライブしようと思ったら娘が付いてきた。乗ってすぐおやすみ。起こさない様にとゆるく走って何の気分転換かと思うがまぁいいか。

  雨が降ってきたので328iとヴィヴィオを洗う。案の定、花粉でザラザラのヌルヌルになっていた。雨の中、ご近所は変に思ったろうな

  Kさんのところで話題のマルシンPPK/Sのコッキングピースのネジを確認するため3挺を分解。工具とノギスがなかなか見つからない。

  月曜は昼まで雨だそうだ。別にもっと降っていてもいいんだけど。備えた訳でもなく珍しく靴も磨いてあるし。 うんざりな1週間も今週は金曜まで。なんとかのらくらやり過ごすか。

  以上、全く日記化している本欄にて失礼。

読書 ねじめ正一「二十三年介護」新潮文庫

'03.3.3  小隊司令部

3年3月3日

 '03年3月3日。ぞろ目の日付には亡くなった父を思い出す。ギャンブラーでもないのにぞろ目や続き番号が好きで、そういう日には決まって乗車切符を買ってきていた。亡くなってからもそういう日は何度か訪れる訳で、誰かの買ってきたぞろ目の乗車切符がしばらく仏壇に飾ってあった。

  さて今日は桃の節句。もっとも、桃が咲いたのは旧暦の3月3日の話であって、地球温暖化を別にしてもまだ桃の咲く季節ではない。庭ではやっと白梅の花が咲いている。

 
実は去年1月の引っ越しの際に雛人形の金屏風を紛失してしまっていたため、今年は購入した直営店に単品販売はないかと問い合わせをした。顧客名簿はアナログながらしっかりしており、同型がすぐに見つかった。格安(と言っても1.2万)で分けてもらったのが先々週の話。桃は魔除けにも用いられるといい、雛人形も一種の御守りで元々は川に流したそうだ。段飾りが出来たのはさすがにそのずっと後の話らしい(笑)。

 件の 直営店の店内のポスターには、雛飾りは御守りなので一人一つが決まりですと書かれていた。しかしこの段飾りを娘2人分はとても飾れない。六畳間分の専有面積(と言っても和箪笥二竿が既に置かれているが)以前の問題として、飾り付けの手間がただ事ではない。娘達が一緒に飾り付けが出来る頃になればそれ程でもないのだろうか? いやそれ以前にこの複雑で繊細な飾り付けが出来る歳になっても、まだ雛人形を喜んでくれるのだろうか。

  …いや、よく考えたらそんな憂いを綴る権利は私にはなかった。何せ飾り付けは妻に任せきりだからだ。でも、人が出した物は仕舞い方がわからなくなるって言うのだから仕方ないのだ。うん。


娘2人に七段飾り。

強力な"御守り"

よく見ると更に…

読書 重松 清「舞姫通信」新潮文庫
久しぶりに再開。別に何も読んでいなかった訳ではないんだけど、うっかり忘れていた(苦笑)。

'03.2.26  小隊司令部

明日は休む

 昼過ぎ辺りから具合が悪くなり、打ち合わせで頷いたり頭を振るだけで目眩がした。これはまる1日寝る位しないと不味いことになりそうだなと思い、同僚に"明日休む宣言"をして明日の分の仕事をまとめ始めた。ところがやり慣れないことをしようとしたせいか、具合が悪いせいか、全くはかどらずにとうとう終電直前まで掛かってしまった。何のための作業なんだか。ドリンク剤のお陰か復調している気にすらなる。違う違う。

 最寄り駅の線は終わってしまい、少し離れたところを通るJR線で帰る。駅からはタクシーだ。これで変な運転手だったら嫌だなぁと思いつつ、発車するなり縁石に乗り上げるはセンターラインをフラフラ越すはで別な意味で変な運転手。というか危ないか? まあ、もういいやと窓の外に目をやる。

  実は私は走るクルマから外を見るのは結構好きなんである。クルマでの移動は大抵自分が運転手なので、走っている真横の風景は滅多に見られない。バスでは着座位置が高くてダメなのだ。となると気の置けない友人とドライブというのも良いが、そういう奴に限ってランクルだったりノアだったり、着座位置が高い。 どうせなら、ちょっとイイ女の運転する背の低いクルマの助手席なんてのもいいなと、起こり得ない妄想に思い馳せるも、思い起こせば自分でクルマを運転する女性とはつきあったことがなかったなぁ(遠い目)。 いや待てよ、女だらけのクルマの助手席ならある。最近ある。というか今朝だ。2人の娘を保育園に送る妻のヴィヴィオに駅まで乗せて貰ったんだった。

  雑木林や公園を眺めながら阿呆な事を考えていたら家に着いた。明日は休む。全快しても絶対休む。もうとにかくそういうモードになってるし。


年がら年中助手席にイイ女や可愛い娘を乗せているこの方は…早帰りで充電だか放電をしていたらしい。更に小官の防衛思念バリア波(意味不明)が薄まってしまったせいか、調子に乗った半島の連中は「安全保障のため」地対艦ミサイルを発射。対する米政府は農作物4万トン(遺伝子操作済)の空中投下で応酬。枯れ葉剤散布に次ぐ歴史上の愚行と非難されている。一方日本海に没したその"ペットボトル"を見て、これは大量破壊兵器にはならないとしてブレア首相は「馬鹿げている」と一蹴。回収はJR東日本が行ったとのウワサである。では某所のスクランブル状態は何だったのか? と思ったら今日は2.26である。鎮圧部隊は夕張と那須に展開中で間に合わないし、松竹はハリポタで欠損解消だし。あ、そういえば今日は友人の誕生日だ。どうしてるかなぁ、たくぞー。久しぶりにネット検索したら夏の新番組は『〜住めば都のコスモス荘〜すっとこ大戦ドッコイダー』。…いろんな戦場があるもんだ。
 

 

'03.1.28  小隊司令部

ゾロアスター教は法律違反??

 前回にエンジンが焦げ臭いという話を書きながら思い出したのだが、自分も含めて世間では焦げ臭いものに敏感になっている様である。 全国の市区町村に寄せられた公害苦情件数は'00年度に約84,000件に上る。高度経済成長期に次ぐ多さとのことだが、その内容は工場の煙や有害排水ではなく、隣家からの臭いや野焼きなどといった"私的な公害"に変わってきているそうだ。

  晩秋の頃だったか、休日に庭に出ると異臭を感じた。原因は隣のH宅から流れてくる煙だった。H宅はうちの反対側に駐車スペースがあるが、そこで一斗缶で落ち葉を燃していたのだ。しかし、そういえばうちだって昔は裏の空き地で落ち葉どころかゴミを燃していた。それがいつのまにやら炭カルゴミ袋に詰め込んで回収場所に出している。うちの近隣はほとんどが50年来以上のつき合いだったりするので、まだかつてのお互い様の感覚が残っているかも知れない。

  田舎の方でも、ベッドタウン化が進む地域では、農家の野焼きもままならない様である。近畿地方で人口当たりの苦情が最も多い滋賀県。ダイオキシンの発生を懸念する匿名電話がある市の生活環境課に飛び込むが、職員が確認に向かうと農家が収穫後の藁をひと抱え焼いている程度だったなんてことも。

 野焼きは'01年施行の廃棄物処理法改正で禁止されたが、いくつか例外が定められている。しかしそれを知らない人も多く、それが苦情の増加につながっている面もある様だ。同法では「公益上、社会の慣習上やむを得ないもの、環境影響がわずかなもの」を例外とし、次の5種類を政令で認めている。

(1)国や自治体による河川の流木などの処理
(2)地震や水害の後の災害ごみの焼却
(3)風俗慣習、宗教行事
(4)刈り取り後の稲わらや、漁業網についた海藻、枝打ちした枝葉など農林漁業に関するものを焼く
(5)キャンプファイアーや家庭での日常的なたき火など

  そんな訳で、年末の"越年演習"のたき火は、一応OKの様である。え? いや、(3)じゃなくて(5)だよ。



小隊司令部は流行のウイルスで潰滅状態。家人の面倒を見ていたら自分もかかってしまった。

 

'03.1.4  小隊司令部

元日営業

 またうっかり寝てしまったらしかった。娘も隣で寝息を立てていた。今、何時だっけと時計を見るともう4時半。…「もう」? こんなに暗くなるほど天気悪かったっけ? それが朝の4時半だと分かるまでそんなことをぼけっと考えていた。いかに何もせずにこの数日を過ごしていたか。

  そんな訳で三箇日が過ぎた。しかし世間はとっくに動いていたらしい。「らしい」というのは見た訳ではないからだ。何せ外に出ていない。 スーパーも元日から開いていたらしい。この「らしい」も聞いた話だ。スーパーのテナント店長殿が元日営業を嘆いているので、「そうか」と思っていたら近所の西友も元日から開いていたそうだ。

  元日から開けても、酔っぱい"無礼講"と称して素行が悪いだけのマナーの悪い客が来るだけだという話だ。ハレの日なのだから酒くらいは呑むだろう。しかしハレの日なのだからスーパーの様なケ(日常)の場を開ける方が間違っている。

 そんな日に開けて何事かと思っていると、それを「便利」だ「サービス」だと言う者もいる。誰が望んだサービスなんだかと思うが、蓋を開ければ福袋だの初荷だの、実のところ単なる販売企画の催しという次第である。流通・小売業ではとにかく理由を見つけては催しを打つ。もちろんこじつけでは人は動かないから、正月のように休日であり物を売る理由を付けられる時は絶好の機会ということになる。

  私が生粋の右翼だったら、そういうところから日本文化の否定であると元旦営業のスーパーをやり玉に挙げたいところだが、私は右翼ではないし、そもそも正月はゆっくり休みたいので遠慮させていただく。


本文と関係ないけど、朝の陽に照らされて霜が溶け始めた庭の白木蓮。まるで花が散っている様で綺麗だった。  

 と、まあ、こんな話を書いておきながら、実は3日にはドラッグストアへ髭剃りを、カー用品店へチェーンを買いに行っているという程度の意味で「私と云うのは、文章上の私です。筆者自身の事ではありません」という次第で(苦笑)。>たけしゃん

 元日営業といえば、市役所の婚姻届も元日受付があるのだそうな。もっとも「そんなのこそいつだっていいじゃない!」というのが妻の弁。実は年末に叔母が亡くなったのだが、焼き場が三箇日閉まっているために4日間遺体を親族が見守り続けることになったとか。元旦に焼き場を開けないことに宗教的理由があるなら別だが、考えてみると今の焼き場は宗教関係なく、また役所管理であることからするとどうも腑に落ちない。
無理に話を一緒にする気はないが、社長のご冥福を。>やすさん