歌舞伎町の酒場で初めて会った時の彼はラスタヘアーだった。しかし意外に清潔感があり、しかも礼儀正しく当たりも爽やかな好青年という印象だった。それがH君だ。冗談の様に漫画チックなマダムキラーのエピソードや雑食系な(あるいは人間愛に満ちた?)女性関係を幾つも聞いていたのだが、それらはあまり彼自身とは結びつかなかった。噂はきっと誰かのやっかみなのだろう。うんうん。
その彼が、歌舞伎町で店に出るという話を最近聞いた。それも水商売などではなく、うどん屋だという。…うどん屋? これは面白いので行ってみることにした。
場所は、歌舞伎町と言っても西武新宿寄りの端の方で、あまりゴミゴミした所ではない。大久保公園沿いで真野美容専門学校並びのこぢんまりとした店である。最近はよく吉本興業のイベントなんかをやっていたあの公園だ。お馴染みBar
Black Lungからも近い。
うどん屋と言っても「そうまで言って何がうどんだ」と訊きたくなる様な流行の傲慢な店ではない。気安い感じの建て構えで、明るく清潔でシンプルである。
カテゴリーは肉汁うどん。それが「かめ福」である。どんなものなのだろう。店の説明シートでは、関東の郷土料理の一種だという(cf:Wiki)。そこに関西出身のH君がいるというのもミスマッチだが、肉汁うどんはミスマッチどころかこれがなかなかである。
大体、うどんなのである。蘊蓄たれて訳知り顔で食べる喰い物じゃない。旨くて腹が満たされればそれで良しだ。汁は甘く、肉は軟らかい。汁だく牛丼の様だが、何よりごつごつとした食感で塩味の効いたうどんが「どすん」と入っていて頼もしい。サービスのあげ玉をいくらぶち込もうが七味を撒き散らそうが誰も文句は言わない。
多分、流行ってしまうのだろうが、それでもH君は気安い笑顔で出迎えてくれるだろう。
新宿区歌舞伎町2-42-2 肉汁うどん「かめ福」
営業時間11:30-21:00(暫定)
肉汁うどん 700円 ビール 350円 |

これが肉汁うどん。撮る前に食べ始めていてすみません。

この場所にあるとは思わなんだという場所。入ってすぐ右に食券機あり。 |