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公文書

'09.9.5  告知 

物置に眠る自分

 珍しく書斎に籠もる。と言っても、実質は物置となっている書斎であるから、言葉の印象通りに創作活動に勤しんだという訳ではない。

 置かれている荷物を占める容積で分けると、5割方はミリタリー/ガン関係。3割がmac等。で、2割が本なのだが、その半分以上は漫画だな。やれやれ。

 昔に買った漫画を引っ張り出してひとしきり読む。昔、漫画を扱う広告を主に作る仕事をしていたため、多くの憧れの漫画家には、公私混同も含めて仕事を頼むことでお会いする機会に恵まれた。名前を具体的に書くのは憚られるが、勉強になることも多かった。しかし意外にそういう人の本は多くはなかった。当たり前だが、仕事でやっていたので頂き物を除いてサイン本等はない。

 そうそう、私は漫画少年だったのだ。当サイトのコンテンツを一巡されている方はご存知だろうが。しかしもう10年以上は描いていないのでもう描けないだろうなぁ。描いていなければ描けないし、書いていなければ書けない。

 漫画に飽きて他の棚を漁ると、大昔に作った同人誌が出てきた。A5判60Pのオフセット本。奥付を見ると発行は'89年5月。もう20年前である。当時創作の軸足は既に漫画から文章に移っていた様で、随筆や掌編、映画シナリオが主になっている。映画はビデオカメラで撮ったんだよなぁ。未完だったけど。

 今読み返して、我ながらこれはなかなかと思う部分もあるが、客観的には全体がちょっとイタい。1編だけさほどでもない随筆があったので「出口、らしきもの」に載せてみた。当時のデータは探せなさそうなので打ち起こしたが(確か東芝ルポで打っているし)、基本的に原文ママとなっている。昔の文章と言っても、既に成人していたのだから言い訳は無しである。…というか、呑んでいるものが若干異なるだけで、書いていること自体今と変わらない気がするのだが。

「出口、らしきもの」


読書 瀬尾まいこ「図書館の神様」ちくま文庫

老成した様な格好良い中学生などは物語の中にしか存在しないんじゃないかと思う。欲しい言葉は選べず表現する技術もないのが子供だと、自らを省みて思うわけだが、しかしなぜだか行動する勇気はあったりする。そういうのが青春なんですか。


'09.5.25  告知  随筆

「誰かに似た」予告



 今週は趣味ネタはお休み。自転車でお付き合いいただいている皆さんにガン仲間の皆さん、ごめんなさい。ごめんという程のこともないか。

 本欄は今週一杯、毎日更新全4回の連載掌編欄となる次第。

 創作物はいつもなら抜粋だけ載せて、創作コンテンツ「出口、らしきもの」に誘導するのだけど、今回は本文を連載形式で載せる。その上に本欄のワクである「原稿用紙2枚分」を守る。う〜ん、何への挑戦なんだ。新聞小説のつもりか。そのくせ全7回ではない辺りが、いかにも思いつきぽい。そこが「ごめん」だろう。

 さて予告本文。

 いつも通る知らない道を抜ける内に、いつの間にか、いつかと似た相手と、いつかのうんざりした気分で話をしている。掛け違ったからってもう一度シャツを着直すには、もう遅い時間なんじゃないのか。

 という訳で、酒場の与太話の様な、酒場が舞台の与太話。1週間のことなので、気が向いたらお付き合いを。

 では今夜の更新から。

続く


'09.4.22  告知 

「県道沿いのホテル」

 市境の県道沿いには半端な規模のホテルが1棟建っている。潰れずそこにあるということは、利用客はそれなりにいるのだろう。

 いや、今でも本当にあるのだろうか。最近はそこの近くを通ることもなかったし、通っていたとしても気にしていないので記憶には残っていない。

 何の用事もなくただ外に出た俺は、何となくそれが気になり、市境に向かうことにした。

 月に一度跨るかどうかという具合で放ったらかしにしている自転車のシートをぼろ布で拭い、タイヤを摘むとそれなりの弾力があったので、そのまま漕ぎ出す。毎日暮らしている街も、視点の高さと速度が違うだけでどこか別の街の様に感じる。しかししばらく走ると、それはもっと違う種類の違和感に感じられ、学生の頃から長く住んでいる街だが余所余所しささえ覚える。

 平凡な低層住宅が並ぶ街を抜けると、荒れた畑だか空き地だかがしばらく続く。その先には、誰が何を買いに来ているのか良く分からない様なディスカウントストアや閉まったままの並行輸入車ディーラーが並ぶ県道が見える。

 果たして、件のホテルは記憶の通り県道の向こう側にあった。

 俺は歩道の自販機で缶コーヒーを買い、それを飲みながら自転車に跨ったままホテルを眺めた。

続きは「出口らしきもの」で。