B級グルメ/b_gour
公文書

'11.12.6  随筆 

遙かなる珍々亭への想い
 生活の中で自転車に乗る事が多くなり変わったものの一つが距離感である。徒歩ともクルマとも異なる。4〜5km歩くのは結構な距離感だが、自転車では10分程度。あっという間だ。

 武蔵境にある珍々亭までが大体その位なのだが、行こうと思ってからこのひと月ばかり行けないでいる。通勤路と全く異なる方向の上に営業時間が短くて遅くても4時には閉店だから平日の帰路に寄ることも出来ない。日曜は定休なので行けるのは土曜しかないのだが、家族の揃っている土曜の昼に私だけが食べに行くわけにもいかない。連れて行こうにも皆油そばがあまり好きではない。昼を少なく摂り午後早めにと思えど、2時位ではまだまだ長蛇の列で、しかし3時には品切れで閉店してしまう。

 そんなこんなで週末が近付くと油そばのことをつい考えてしまう。勢い街中でもつい油そばを探してしまうのだった。想い人のことで頭が一杯だとつい街中でも似た女性を目で追ってしまうという、あれみたいなものである。そしてその満たされぬ想いを充たそうとする余り、自分の想うのとは違う人と付き合ってしまい、その人も、自分も傷つける結果になってしまうのだ。誰もがあの娘は素敵だねと言うのに、何か気取ってお高い感じがして厭な印象を抱いてしまう。気取りのない良い娘だと評判なのに、そこをがさつに感じてしまう。ええ、まあ、ここで私が書いているのは油そばの話なんだが。

 更に困ったことに、そうして想いを募らせていくと、気持ちの純粋さと強さが舵を狂わせてしまい、身勝手なバイアスが掛った虚像を思い描くというパターンに陥りがちだ。暫く口にしていないあの珍々亭の油そばは、いや果たして斯様に崇高な食べ物であったか? もっと朗らかで優しい存在であったのではなかろうか。

 同じ武蔵野の空の下にありながら、しかし珍々亭への距離感は日毎大きな隔たりとなって感じられていくのだった。
 
宝華(東小金井) 宝ソバ650円
Bグルな方たちの間で有名な中華屋で、コチラの方の思い出の店でもある。近くにありながら実は一度も入ったことがなかった。常に行列が出来ているからだ。それがある土曜の午後、スカッと空いていたのである。飛び込んで頼むはもちろん宝そば。この店流の油そばである。刻みネギとカイワレ山盛り(共に苦手なのだが…)のワイルドさだが、タレ自体は上品で、ちょっと少なめのスープといった趣である。
丸善(武蔵境) 油そば550円
通称ウラ油。何かアングラな印象を受けるが、単に珍々亭の裏手にあるのだ。Bグル系サイトでは珍々亭と共に武蔵野の油そば文化を育てたみたいに書いている所もあったが、多分食べたことがないのだろう。学生の頃の記憶と違う物だったが、「あれと違ってこれも駄目」だった。細麺が湯切れてなくべた付いて、タレも妙に素の醤油っぽい。効いてるという程のゴマ油感もなく。こんなだったかなぁ…。
日高屋 汁なしラーメン(油そば)540円
とうとう大手チェーンの日高屋までもが、期間限定と銘打ちながらも油そばをメニュー化した。呑み明かした朝の歌舞伎町で空腹を満たすべく活躍してくれるのかと思いきや、激しく残念な感じ。店が店だから、いつでも安く食べられるならそれで良いやと思ったが、油そばとしてはこの値段は安かないしな。麺は共用でタレも何だかなと。別添え温玉なんか付けてる場合じゃないだろうに。

'11.11.13  随筆 

油そば
 本欄は基本的に私の随筆と趣味のページである。たまにネタにはするが、私は食べ物に継続的な興味はない。ナポリタンもラーメンつけ麺の類も、たまたま続けて食べると「あ、これブログネタに適当かも」と思い付いて、数回画像を撮りながら食べてしまうというだけである。大した興味でない証拠に、4〜5店溜まらないと記事に出来ない。食べ物ブログというのは、1店で1本は書く物だろう。いつもは「男か女か判らない人を電車で見掛けた」なんて事だけで原稿用紙2枚書いている私なのに、食べ物では何も書けないに等しいのだ。

 さてそれで今回は何の話かと言うと,油そばの話なんである。今、油そばが流行っている。流行らすつもりらしい。魚粉つけ麺の次はコレなのだろう。

 持ち上げるに当たっては、実はルーツは古いなんて所も良いのだろう。そのルーツと言われる店というのが、諸説はあるが、武蔵境にある珍々亭である。油そばは'58年からあるメニューというのだから、東京タワーやスーパーカブ並である。この珍々亭、学生時代に生活圏内だったので割に好んで食べていた。実は比較的近所でもある。

 ここが暖簾分けをした訳でもないのに、近隣には油そばを売りにしている店が集中している。通り一本裏の通称ウラ油こと丸善から始まって、隣の東小金井までの間には、広い通りに広い店内の一平ソバやら駅前でいつも行列の途切れない宝華があるし、吉祥寺には誰でも知ってるぶぶかがある。

 油そばというネーミングがいかにもギトギトしてイメージが悪いからだろうか、最近はまぜそばなどと称したりもしている。醤油とラードなどから成る少量のタレの上に茹で立てを湯切りした麺を乗せ、具はチャーシューとメンマに大量のネギというのが一般的な様で、実際こうでないと私は油そばという感じがしない。

 いや、随分語っている様だが、食べ物全般には興味がないが、油そばは好きなんである。

出来上がり(出前用)の持ち帰りを久しぶりに買ってきた時の記事。↓
小隊司令部発 '10.12.30 モモチャリで行く「珍々亭」油そばの旅


珍々亭(武蔵野市)
近所だが平日は行けず、店は日曜休業のため、土曜の限られた時間にしか行けない。結局今回の記事向けには訪店できなかった。でもここがやはり基準だし実際に旨い。

油そば(並)は600円。画像は出前バージョンのチャーシュー油そば特大(1050円)と並(850円)。特大を皿で解すと…。



一平ソバ(小金井市)
本家の近所なだけにあくまで名称はオリジナルに拘るのか。あるいは法大VS亜大の拘りなのか。こっちは初めからたれが全体にまぶされているし、チャーシューも柔らかいのが○。ヘルシーは植物油使用。

ヘルシー一平ソバ(並)550円


武蔵野アブラ學会 神田店
学会を名乗るだけあり(笑)確かに本家風。しかしうどん並みの太麺は茹でも足りないのかちょっと歯ごたえ過剰である様に思う。特濃(700円)は背脂入り。何にしてもウェブサイトはふざけ過ぎで鼻白む。

油そば(普通盛)600円(大盛同額)

油そば総本店 新宿東口アルタ裏店
最近出来た店で、「とんこつラーメンだるまのめ」の系列。何が総本店なのか大いに疑問。不味くはないが塩だれというのが意味不明。油そばを名乗らなくて良いんじゃないか? 全然違う食べ物だよこれ。

油そば(並)680円(大同額)

'11.9.30  随筆 

つけ麺、大盛りで!

 先週末から「大つけ麺博」が浜松町駅前の特設会場で開催されている。1週間毎に出店店舗を変えて来月16日まで行われる予定とのことだ。

 …いや、実はそれ程興味はないんだけど。たまたま昼を食べる店を探していたらポスターがあるのを目にして、林檎屋君が「浜松町行きたいっすねぇ」と言っていたのはこれの事かと合点がいった次第。ちなみにラーメン好きのうちの社長はつけ麺があまり好きではないらしい。「つけ麺はラーメンじゃねぇ」そうだが、まあ確かに一種ではあってもラーメンではないな。博物館を名乗るからにはその筋の権威なのだと思うが、新横浜ラーメン博物館はつけ麺に関して取材・調査・データ分析を行った結果、つけ麺をラーメンの一ジャンルと結論付けている。

 つけ麺のルーツは'55年発売の東池袋大勝軒「特製もりそば」だというのが定説だとか。会社の近くに神田大勝軒があるので時々行く。近いから行くというのではなく、近いとたまたま空いている時に行き当たる事もあるので、そういう時は寄る、という意味である。並んで何かを食べに行くということはまずない。つけ汁がちょっと甘過ぎるんじゃないかと思うこともあるが、あれはあれでまあ悪くない。

 ちなみにつけ麺は単なるブームではなく、一つの食文化として確立されたと先の報告にあった。他のラーメンと同様に、作る方はあれこれと蘊蓄や精神を並べている。勿論何かを作るからにはそういうものはあって貰いたいものだが、件のイベント会場での来場者へのインタビューでは、単に熱過ぎなくて早く食べられるから好きだという声が多く見られて、主催側の唖然とした反応が印象深かった。

 かく言う私も本欄で何度となく書いてはいるが猫舌である。腹が減っている時に熱い料理が出てくると、腹を立てて氷を投げ込んでしまう手合いである。しかるに、どちらかと言うとつけ麺好きだ。つけ麺屋さんごめんなさいと形だけ申し上げておく。


油屋製麺「つけ麺」700円
つけ汁とろみ付け過ぎでは? 太麺も言うほど太いか? 何やら文句たらたら食ってる様だが、実際あまり旨いと思えない。割り下置いてあるけど、飲もうなどと思えないな。

中華そば わさび「つけそば」700円
帰路上にあり空いていれば寄る。太麺魚介豚骨醤油と定番流行物なれど、カイワレと揚げにいつも違和感を覚えながら食べる。マイルド過ぎて辛くしたくなるが、辛つけそばは食べたことない。


ラーメン神田店「つけ麺」700円
つけ麺のつけ汁の酸っぱさは二郎という食べ物に合わない気がする。それは元二郎でも同じだった。その上神田店は油(脂でなく)の層が厚いため、晒した麺で冷やされてちょっとアレなことになる。



 欄外はストライクな有名店というより、ボール、ビーンボール、果てはボークといった類のつけ麺達である。例え方までいつもと違うな。これだけ並べてから、やっぱり「つけ汁手前」にすべきだったかなぁとか。ていうか、いちいち撮っておくなよ。
博多天神「つけ麺」400円
終電後歌舞伎町の一番街店をよく利用。新メニュー。言うと初めから替え玉が付いてくる。アリバイの様に魚粉(笑)。まあこれも良いだろう。どこが博多?と思うが、つけ麺大王と同じ会社だし良いか。
富士そば「ざるラーメン(和風)」390円
何だろこれと思って注文。何だこりゃ。ざるそばにラーメンの麺を使っているだけ。たれそのまま。げーっ。メニュー名に言い訳の様に(和風)と付く理由が分かった。ちなみに中華風はない。
まるしょう「つけ麺」600円
地元の何と言うこともない店で、終電過ぎまでやっているためたまに寄る。ごま一杯の醤油味に細ちぢれ麺は流行に動じない頑固さ…とかではないんだろうな。カレーつけ麺というメニューもあり。

'11.9.12  bicycle 

墓参り+つけめんライドin所沢

 自転車趣味と言っても、実のところそれ程乗れていない。週50kmはと考えるが、元来スポーツマンでない自分には単なる数値目標というのは感覚的に難しい。一方で、走りに出る時には「どこそこへ行きたい」とかいうのもあまりないのだが。

 去る8/25は父の命日だったが墓参りに行けなかったので、では墓参りライドとしてみようかと思い立つ。場所は自転車で充分行ける距離にある。

  しかし所沢の街道から少し入る雑木林ばかりの所にあり、道はつまらないし特に風情のある環境というのでもない。近くに何かないかと検索すると、さすがにラーメン屋くらいはあったので、昼はそこで摂る事にして第2目標とした。食べ物屋に関しては酒場の様に行き当たりばったりで良い感じの店に辿り着ける嗅覚は私にはないので、それなりに調べた。

 いつもなら東村山近くまで多摩湖CRで行くのだが、今回は出端を挫かれる。このところ続いていた舗装工事、終わっているのはまだ一部で、途中は相変わらずの砂利道だったのだ。そのまま小金井街道を北上して清瀬の方から回る事にした。

 走ってみれば片道20km48分。墓地はこの辺りでは施設が簡素な方だが、墓の掃除をしてお参りするだけなので不都合はない。

 1時を回る辺りで第2目標「らーめん頑八」へ。頑固親父が云々で30年と謳う割にはメニューは日高屋並みの何でもアリ。店員も愛想良く元気あり礼儀正しく、可愛い。別にケチ付ける所じゃないけど。

 「頑八つけめん」を頼む。流行物の魚粉(これヤダナ)が海苔に乗ってつけ汁に浮かぶ。背脂と分厚い油の層。太麺は四角くやや黄色く縮れている。背脂は油の甘みが良いのだと思うのだが、つけ汁のしょっぱ味が強くて全然分からない。魚粉はどこ? まあでもこんな物か。コーヒーと、それからかき氷が無料でこの季節嬉しい。

 エネルギー補充でいざ出発と思えど調子上がらず。おまけに空模様も怪しくなってきたので早々の退散となった。


特殊装備「線香保護運搬バッグ」。単なる段ボールを養生テープで留めた物だが。

舗装完了部分。しかし名物の車止めがないので(!)工事自体は終わっていないのだろう。

墓地の入口に停める。舗装されてはいるがこの先クリートで歩くのはちょっと辛い。

らーめん頑八。広いし煩くないし良い感じ。但し自転車停める場所無し!!(爆)

「頑八つけめん」(並)750円。脂好きだがこれはちょっと。しかも魚粉。

サービスのかき氷はお代わりこそ出来ないが盛り放題。

RC20の記録 へばり気味なのは道のせいか、もたれた胃のせいか。
走行時間2h11m59s/走行距離51.87km/平均速度23.6km/h/総走行距離8604.6km

'11.6.7  随筆 

神田ナポ充地帯
 一時期ナポ砂漠と化した神田近辺であるが、この1年ばかりの間にナポリタンを前面に出した店が2店オープンした。どうも世間はナポブームの様なのだが、近い時期に出店したこの2店は、意外に対照的だった。

正当派喫茶店仕様
西洋喫茶&オールドバー RETOH(レトー)


 だだっ広い今川橋交差点の角地という、酒場として好立地か否か判断に悩む場所にある。しかも3フロア。ランチタイムにはナポリタンが店頭にフィーチャーされていたので寄った。

 ナポリタンは熱い鉄板に載ってジュージュー音をたてながら出て来る。茹で置きの太麺に、具は厚切りハム、マッシュルーム、ピーマンにタマネギ。味は濃厚で、最近流行の専用ソース(パンチョや東京スパゲッチの様な風味付きソース)ではなく、ケチャップにウスターソースやクリームをちょっと加えた古典的喫茶店ナポな感じがする。

 ナポリタンには「昔ながらの」が枕詞のように付くことが多いが、神田某店の様に偽りありな場合が多い。しかしこの店のナポには全く文句はない。本当の昔の味自体がどうかはともかくとしてこれで良しだ。もっとも鉄板は関東では珍しく、また私のような猫舌にはちょっと辛かったりして。


昔ながらのナポリタン 750円(サラダ付)

店頭ディスプレイは実物!
ジャポネ・インスパイヤ系
ロメスパバルボア 日本橋室町店


 自らロメスパと名乗る辺りがあざといが、取り敢えず覗いてみた。ロメスパの語源「路傍の麺屋のスパゲティー」は、「ジャポネ」や「リトル小岩井」の様な茹で置き太麺炒めスパを指すが、炒めが前情報通りに電磁調理器であるのが視覚的に萎え。もっとも、前評ほどには悪くはなかった。いいじゃん500円なんだし。炒め足りない感じだし酸味が強過ぎるし茹でが足りないけど…。具は豚肉・タマネギ・小松菜で、麺はママーの2.2mmだった。

 ちなみにこの店を運営するWDIは、「カプリチョーザ」や「オイスター・バー」の運営会社。なるほど厨房機器が格好良い(笑)。

ナポリタン(並) 500円

確かに路面店。

欄外オマケはいずれも久しぶりの、聖地「ジャポネ」のナポリタン(ジャンボ)650円[左]と、南林間「マルス」のナポリタン(並)600円+ソーセージ[右]。当然かもしれないが、やはりジャポネがベストバランスかな。マルスはもう少し味濃く油分多めの方が嬉しいかも。


'11.3.30  随筆  bicycle 

実は忙しいはずの月末

 さて本来は多忙極まるはずの3月だが、諸般の事情と、さすがに最終週という事もあり印刷物も工程に流れ、先週まで程の忙しさはない。納品や打ち合わせで得意先を2往復するが、天気も良いので自転車に跨る。

 先日汗ばむ陽気の日に、会社置きの自転車でもドリンクホルダーはあった方が良いなと思った。しかし手持ちのミノウラのアダプターではテーパーの掛かったダホンのハンドルポストには取り付けられない。会社近くのYでたまたまベルクロ留めの安価なアダプターを見掛けたので、見切り品らしきホルダーと一緒に購入。計861円。ところがこれが安物故に曲者で、昼休みにデスクでヤスリ掛けをする始末。本体を削らないとボルトがナットに届かないのだ。その上、基部の角度を変える機構の固定が甘くてガタガタするものだから瞬着で固定した。

 ところで、外出のついでに御徒町にあるというナポの旨い店とやらに足を伸ばすことにした。パンチョ御徒町店は駅前も駅前、駅を出てすぐ目の前にあった。自転車を停める所はない。開店までまだありそうだったので少し辺りを見て回り、10分後に戻ると8人並んでいた。開店したらすぐ入れたが、出る時には20人待ちだった。確かにナポ喰いとしては旨いとは思ったが、こうまでしてはなー。毎朝仕込みのニンニク香る特製ソースはまあ良い。それにしてもナポというと、どうして昭和レトロ+ドカ喰いという仕立てになるのか。隣席に白Yシャツの男達が並ぶ。こちらが気になって仕方がない。

 得意からの帰路に会社近くで更に買い食い。本欄でしつこく紹介していたドラゴンクレープだが、ナナ店長が今月で辞めて帰郷してしまうのだった。

 「食い物と言えばナポリタンかドラゴンクレープの話題」と書かれる当ブログだが、今回の副題は「ダホンボードウォークで行くパンチョ御徒町店でナポ大盛りc/wナナ店長卒業間際の神田ドラゴンクレープ」か。


ナポ色の店頭。

ナポリタン(600gまで)650円+目玉焼き(ホットペッパーにクーポンがあった)。柔太麺がイイ。

おやつ代わりに甘い奴。最近は生クリームもあり。

どこだかのホルダーとBikeguy「どこでもケージホルダー」。

クリック感がなくガタつく接合部。

東京→神田の途中、三越の前。

'11.3.5  随筆 

ナポリタン多量摂取

 たまに、ナポリタンを無性に食べたくなる事がある。たまじゃないだろうって? しかし家ではなかなかこのリクエストに応えては貰えない。一つには、皆元々が特にナポリタン好きでもないため。そしてもう一つには、子供達が、同じスパゲッティならナポよりミートソースの方が好きだというためである。特にこのところ土曜の夜はモエギのリクエストでほぼ決まってミートソースなので、昼にナポリタンを作るということは有り得ないのである。

 ところがある週の金曜日に「明日の昼はお好きにどうぞ。みんな出掛けてるから」と、妻に言われた。「そうだ、ナポリタン作ろう」と思い立ったのはその時である。

 ところがいざ取り掛かると、まず食材が見つからない。タマネギは? ベーコンないのかよ。そのくせ適当に調理を始めてしまうものだから、途中でバターが切れているのに気付いたり、コーン缶は用意したけど缶切りが見当たらなかったり。茹で上げた麺はむしろ少し置いておくのがナポリタンの場合良いのだが、具材を炒め始めてからもそんなことをしているものだから、タマネギは焦げるしハムはくっついたまま炒まってしまう。

 おやつも晩酌のアテもナポにしようなぞと考えたものだから、出来上がったナポは、フライパンをこんもり占拠してしまった。ところが食べてる内に訪れるナポリタン・ハイ。とうとう200gを完食してしまう。

 もうしばらくナポリタンはいらんなと言う舌の乾かぬうちに、「デカ盛ナポリタン 東京スパゲッチ」なる店を発見してふらりと入る。これが最小300g(それ以下はレディとかミニと称される)で最大900gという具合。初見は、とりあえず不味かった場合のことも考え最小サイズを頼む。これがなかなかに旨く、食べながら次はハンバーグを乗せるかとか、一つ上の450gで良かったななどと考え始める始末である。

 早く、週末は半日自転車で走るサイクルに戻さないと、まずいことになる気がする。

→「デカ盛ナポリタン 東京スパゲッチ」


鍋の中をぐるぐる巡る200g。


ぐずぐずながら旨そうじゃないか!(そうか?)コーン好きなんだよね。


王道ナポリタン(300g)580円。600gまでは同額。一見少なく見えるのは麺が太いからである。

激しく馬鹿馬鹿しく、しかし情報の整理された食べ方指南は完全に手慣れた企業掛かりモノ。後で調べたら三光マーケティングフーズだった(居酒屋「東方見聞録」とか「金の蔵」の会社)。


ちなみにこれは久しぶりの桃乳舎。大盛りで+30円のスパゲティは480円。チーズは削って掛けてたんだと初めて知る。