B級グルメ/b_gour
公文書

'10.12.30  bicycle  随筆 

モモチャリで行く「珍々亭」油そばの旅

 機械や道具の修理などをするのが私は好きで、本欄にも時々修理の話を書き「それは自分でやらないだろう」とコメントをいただいたりする。風呂桶の外板取付金具の補修とか、血圧測定器のパイプ継ぎ手の加工とか。業者を呼んだり買い換えたりするのが普通でも、少し手を動かせば直せる物は身の回りには結構ある。

 言うまでもなく私は倹約のためにしているのではなく、ただ自分でやりたいのである。但し、面倒臭がり屋でもあり前準備などが必要な物には手を付けない。手持ちの工具や補修材料で出来ることだけをする。

 スポーツ自転車乗りでもママチャリを弄る人は少ないそうだが、そういう次第で弄るのである。工具は揃っている。手を掛けると使いたくなるのが心情だが、しかしママチャリで走り回る気にはならない。スポーツ自転車の方が走って楽しい実感があるからか(それが3台あるからでもあるが)。

 ある休日の昼を何か買って来ることになり、4、5キロ先にある武蔵境「珍々亭」の油そばを久しぶりに食べたくなった。かくして、巨大前カゴ付き「モモチャリ」の出番。奇しくも前日に前タイヤパンク点検と前アクスルの玉当たり調整をしていた。

 特にこの1年、本欄にはナポやラーメンの話題が多かった。正直なところ食べ物にはあまり興味が無く(嘘でしょと言われるが)、800字の読み物として何かを書けるとも思っていなかったのだが、記事としてどうだったのだろう。

 今年は混ぜそば/油そばブームだったらしい。私も何軒かで食べた。しかしどれもしっくり来ない。私にとっての油そばは、「珍々亭」の油そば以外にないのだ。しかも近所の大学に通っていた私にとってのそれは部室に届けて貰う出前バージョン。加減お任せの酢ラー油入りこそ懐かしの味なのである。

 ところで油そば最大の難点は、時間が経つと麺同士がくっ付き、油まみれにしても離れなくなってしまうこと。店内でさすがにそれはないが、出前の場合は気を付けないとならない。


モモチャリの定位置。半分野晒し。

でかい前カゴ携えて珍々亭到着。

珍々亭の全景。周りは住宅地と大学で商店街すらないのは20年前と変わらず。

チャーシュー油そば特大(1050円)と並(850円)。既にブロック気味。レギュラーはチャーシュー1枚で並600円。

ほぐす意味で特大を皿に盛ると、浅い皿(但し直径22cm)のためこれ。程良い皿切りのはずが頭切れのカット。

'10.12.10  随筆 

神保町「さぼうる」表敬訪問
 この数日のもやもや感。これは、ナポリタンに対する枯渇感だ。某所でシャバシャバの変な詐称ナポリタンをうっかり口にしてしまったために、本式の、本物のナポリタンを渇望する気持ちが沸き上がっているのだ。しかし、会社に近い日本橋ベラミはもうない。これはもう少し先のジャポネ辺りでも行かねば収まりがつかない。

 そんなことを考えていると、そういえば比較的近い神保町にも結構良い感じのナポリタンを出す喫茶店があるというM嶋さんの話を思いだした。早速ダホンに跨りすっかり遅い時間になってしまったがランチに出掛ける。

 パーラー「さぼうる2」。地下鉄の出口から数歩の所にあり結構な人通りがあるが、そこだけ時間が止まった様な建て構えになっていた。

 店に入ると正面に3人の女性が立っている。1人が「いらっしゃいませ。お一人ですか」と訊くので「ええ」と言うと、他の女性が「お一人席こちらです」と案内する。右手がすぐ半フロアの上下に分かれ、上に上がる。全くの普段着だが3人は店の人だった。

 注文をして暫くするとキッチンのカウンターからナポリタンが出て来るのが視界に入り、小振りな皿の半径以上の高さに盛られているのが見える。「あんな馬鹿みたいな大盛り頼んで。体育会の学生か」と半ば呆れて見ていると、トレーに乗せられたそれは私の目の前に運ばれて来るではないか。確かに腹は減っているが、これは完食できるのか?

 麺は思っていたより細身だった。いや、古典にケチを付けてはいけない。具はハムとタマネギのみ。山を突き崩しながら食べ進み、半分程まで来ると(半分? 地球一周の半分はどこで区切れば良いんだ?)少し飽きてくるのだが、その時には味の濃い具が皿の縁に溜まりだすのでこれを摘む。更に進んだ辺りでタバスコを軽く振る。

 帰社後M嶋さんにさぼうる行きを報告すると、「あれは2人でつまみとかにすると良いんだよ。酒も安いんだよね」とか。奥が深過ぎて理解できない。

通り1本横が靖国通りだし、周りは大きなビルなのだが、この絵面はそう見えないし、店内は全くの異空間。


仕事なら、ちゃんとしたライティングでこの盛り具合のボリューム感を表現して貰うのだが、なにせ自然光で携帯で自分で撮っているのでご勘弁。飲み物の付かないこれが650円。

読書 伊藤たかみ「八月の路上に捨てる」文春文庫(再読)

'09年8月の再読。次の本が見つかったので表題作のみを読んで終える。実は本作を読んだ時点では作家自身の離婚のことは知らなかった。まあ知らなくて良いのだろうが。表題作で描かれる離婚に、そんなことで感情移入するのはとても安っぽいことにも思われるからだ。わざわざ真摯な気持ちで読むこともないけどね。


'10.12.8  随筆 

ランチタイム街グルメ・東京駅編
 混み合ったランチタイムの食堂で、束の間の幸せな時間。一人フォークでコロッケをつついていても、心はなんというか豊かな気持ちで満たされている。外食というのはそういうところがある。

 冗談冗談。誰だよ笑ってんのは。

 昨日、得意先関連のレストランについてハッシュタグ付きでツイートしたのだが、ふと気になり一覧を見たところ関係者だらけ。不安になって自分のツイートを消してしまった。大して親しくもない得意先の人に栴檀林まで晒しちまったらまずかろう。

 早速のリプライがありドキっとしたら知ってる人だった。「一瞬、原稿かと思った」とコメントされるくらい、自分で読んでも仕事風にまとめた文章風だったのだが、消してちょっと勿体なく思い、こっちに載せてみた。わざわざ検索掛けてまでは読みに来ないだろう。

グランスタダイニング「日本食堂」のメンチカツ1,600円。ボリュームがありジューシーなメンチも、自慢のデミグラスも、高級洋食店の味。食堂車風の店内も洒落ていて良い。ちょっとテーブルに較べ皿が大きいかな。日本食堂と言っても“憧れの食堂車”イメージで。安い駅弁のアレとは別物。(136W)

 書き込む段になり、画像リンクとハッシュタグの分が字数オーバーでどこか削ったのだが、概ねこんなだった。前段褒めているが本当に旨い。ま、私の舌なんて全然あてにならないが。普段使いの値段ではない様に思うが、旅先であったり、出張中であったり、特別な人と会うためであったりすれば、充分だろう。それがエキナカで良いかどうかは人による。

 ところで洋食と言えば、久しぶりに神田ワヰン酒場へ「昔懐かしナポリタン」を食べに行ったところ、何と作り手が変わったためか全く違う代物になっていた!(駄目だろそれ)炒めていない上に水切りまで悪い。「昔懐かし」なんかでは絶対ない上にこれは「ナポリタン」ですらない。看板に偽りのある店はそうそう続かない。続かれては困る。

皿大きい方が確かに気分が良いけどね。まともな洋食屋のメンチカツなら確かにこんな値段だとは思うがさて。


神田ワヰン酒場「昔懐かしナポリタン」の在りし日の姿。ちなみにソーセージはチョリソではなくなっていた。

'10.11.27  随筆 

神田、ラーメン総当たり?

 先日気付いたのだが、どうやら私はこの一月ばかりで太っている様だ。視覚的に認識できるのだから余程だろう。と言っても前回書いたクレープが原因ではなく、実はこのところ続けてラーメンを食べ回ってしまったのだった。炭水化物と油の塊なのだから、そりゃあ太るだろう。

 過日の「ラーメン神田店」以降、ラーメンが気になった。勤務先の神田はラーメン屋が集中している。そして、エリアにもよるのだが、オフィス街の真ん中に近い辺りは、人気店でもランチタイムを大きく外れると行列が途切れる。私の様な行列嫌いには丁度良い。

 そもそもラーメン屋の行列は怪訝である。大体あれは、話題を作るためにわざわざやっているとしか思えない。太麺偏重主義も問題ありだ。食い応えの演出に欠かせないだろうが、とにかく茹で上がりが遅い。ヒーローなら変身中に蹴り倒されているし、魔女っ子モノなら一輪の花が咲いている間にCMだろう。神田のある有名店(ってキャブに出ているが)に入った時には着席客数3人なのに15分も待たされた。スカしたイタリアンでアルデンテでも待たせる体(てい)なのか?

 それでもオペレーション自体は頑張っている店が多いのだが、中には自ら量の多いMDを提供しておきながら、食べるのが遅い客に「残して良いですよ」などと言う店もあるそうだ。本末転倒なこと甚だしい。しかし実際の所「大盛」と書かれていてもどの程度のことか想像が付かないし、麺の量をグラム数で表記されても、具材が多過ぎて全体の分量とギャップがあったりする。

 仕事柄商業施設のフロアガイドを作ることが多いのだが、毎度「ラーメン屋」の分類に悩む。果たして[中華]で良いのだろうか? 例えば「ラーメン二郎」を[中華]料理と言って良いのか? いや、あれは[二郎]という食べ物か。ある説ではソバが中華か否かはレンゲの有無で見分けるとされていたが、その説も眉唾である様に思う。


さいたま屋「つけ麺」500円(大盛)
2本を横に繋げた様な麺。平たいだけじゃないんだよな。

さいたま屋「油そば」500円(+味玉)
キクラゲ邪魔だな。タレのニンニク臭がいまいち。

油屋製麺「油そば」700円
具がバラバラな感じ。ていうかこれ油そば?? 珍珍亭基準なので…。

つけ麺もといし「つけ麺」780円
つけダレは色々混ざり過ぎで舌触りが悪い。麺じゃなくて俺が伸びた。

野郎ラーメン「汁なし野郎」680円
豪快過ぎだろ。白いのは脂身タップリの豚。ノリはいらないよ


北京「ジャージャン麺」700円
締めは私の歌舞伎町深夜メシの原点。中国人ママが林真理子似。

'10.11.24  随筆 

神田 ドラゴンクレープ

 ここ暫くは仕事の詰まっている時期で、私にしては遅くまで仕事をしていることが多い。そんな訳でいわゆる残業飯を食べたりもするのだが、続けて食べているのが会社の近所にあるクレープ屋「ドラゴンクレープ」のミール系クレープである。

 神田の東側というのはオフィス街で、6時以降は人通りも激減する。弁当屋も多いが夜は皆閉まっている。その中に半年くらい前にクレープ屋が出来た。学生なぞまるでいない区画である上に、入っているビルも周囲同様に事務所用雑居ビル然としている。その1階の少し奥まった位置にある僅かな間口の店が「ドラゴンクレープ」。一見ギャル風(失礼)だけど礼儀正しいナナ店長が一人でやっている。

 「風」と書くのは揶揄している訳ではなく、実際に接客も大変しっかりしている。クレープが焼き上がる数分の間は積極的にお客に話し掛けコミュニケーションを取る。それが技巧的にも独りよがりにも感じないのはキャラクターでもあるのだろう。

 そんな店長なので、鼻の下を伸ばしたおじさんが列を成して…というのが繁盛の理由ではない(と思われる)。MDが良いのである。とてもシンプルな理由だ。

 私は残業飯として買っているので、まず食べ応えとC/P。旨いし安くて量もそこそこ。最も高いメニューでも400円以下。定番以外に週替わり限定などがあり飽きない。軽めのランチや、ひと仕事残っている残業時には丁度良い。コンビニで妙に高いサンドウィッチや電子グリル物とかを買うくらいなら、こちらの方が断然良い。トークと、クレープ焼きのパフォーマンスは余禄かとも思ったが、夕方にまだこれからかと思いながら買う食べ物が、半分通じてない様なマニュアル日本語接客で渡されるより精神的にも良い。

 営業時間は遅く20時まで。「お疲れ様ですっ」と元気なナナ店長は、閉店後はダンスのレッスン。近々にクラブのステージがあるのだそうだ。

→ ドラゴンクレープ
千代田区神田紺屋町29-1 栄第2ビル 1F


看板でやや改善されたが、ちょっと分かりづらい。手前スペースでイートインも可。


限定「チーズ&ソーセージ」…350円だったかな?


レギュラー「ミーツミーツミートタコス」350円 姉妹店「ドラゴンタコス」仕込みのタコスを使用。

'10.10.18  随筆  bicycle 

実ダホンで行く「ラーメン神田店」
 度々書いているが、私は食への執着が薄い。ナポリタンの話をよく書くが、体系立てて臨んでいなければ執着しているとは言えなかろうと考える。たまたま映画で見たグロック17が好きですというだけでガンマニアと言えるか? まあ自分でマニアと言うほど偏狭ならば他人様の定義はどうでも良いのだが。

 その意味でラーメンも興味がない。大体、ケの食事の代表格であろうラーメンを1時間も並んで食べるというのが生理的に受け入れられない。生理的という意味では、昔、新横浜でよく見掛けたラブホテル前の順番待ちの車列を思い出す。

 ところが繁華街常駐の様な生活であるので、何かの拍子に入ることはある。勤務地・神田の「大勝軒」や、夜の勤務地・歌舞伎町の「ラーメン二郎」は割合良く行く。

 私にとっての「ラーメン二郎」と言えば歌舞伎町店だが通の方に言わせれば本流ではないらしい。しかし調べるとさらに分家・亜流の類が山とあることが分かる。そして神田にもあった。

 ところがネット上の広域マップには表示されるのに狭めていくと名前が変わる。「ラーメン二郎神田店」のはずが実際には「ラーメン神田店」であることを知る。なんだその店名。

 「ラーメン二郎」には、03年に商標登録されたその名前を使えるFC店の他に、「旧ラーメン二郎」と称される「富士丸/フーズ系/堀切系」などに分類され、麺や醤油が異なるという。歌舞伎町はFC。神田は「フーズ系」だそうだ。「フーズ系」は03年以前に有志で設立された(有)ジローフードシステムの店を指す。FC店以外は「ラーメン二郎」を名乗れなくなり名称を改変するが、「フーズ系」は看板から物理的に「二郎」を取っただけのため妙な表記になっている。

 さて、肝心の味の方だが、油の層が厚過ぎる事以外は自分としては問題なし。店員の応対は悪くないと思う。トッピングを訊ねるタイミングが歌舞伎町より早いので、出て来るタイミングを掴みかねたが。


ホイールは16"から20"となったが、EV内の取り回しが同じ。

ふとウインドウを見れば、ポスト短縮でそれなりの前傾姿勢。

久しぶりの日本橋で、なんとナポの隠れた名店ベラミが跡形もなく閉店していたのを知った。

ちなみに「ラーメン二郎」の屋号は、元々創業時に流行っていたインスタント商品「ラーメン太郎」をもじって付けた「ラーメン次郎」が、移転開業時の看板発注ミスからそうなった物だそうだ。場所は神田と言うよりほとんど日本橋。

神田店の「普通・アブラ」。アブラ塊が歌舞伎町より細かくて、油の層が厚い。麺は歌舞伎町店に似ているが、本流の自家製麺ではなく、醤油も本流のカネシ醤油ではなく窪田味噌醤油製だそうな。

歌舞伎町店の「普通・アブラ」。異論はあろうが、とりあえずこれが私にとっての「ラーメン二郎」。どんな違いがあろうと並んでものを食う気持ちにはなれないのだった。

'10.9.9  随筆 

〔今日のナポリタン〕神田 ワヰン酒場(神田)

 職場のすぐ近くに以前より気になっていた店がある。洋風立ち呑みの店構えは良い感じだが、何せ売りがワインなので寄らずにいた。その店が9月からランチを始め、なんとメニューにナポリタンがあったので寄ってみた。実は神田駅前では、以前にレポートを書いた「おやじキッチン」も「エリゼ」もとうに閉店してしまっており、ナポ砂漠となっていたのだ。

(以下「ナポリタン×ナポリタン」調で)

もちろん、注文するのはナポリタン!

注文終わって調理開始。オープンキッチンのため厨房の中が見られるが、覗き込むのは気が引けるので、ちらと見るだけであとは耳に神経を集中。やがて聞こえる炒め音は少し上品。待つこと4分位でナポリタンの到着です。

 

中細麺+ピーマン+たまねぎ+マッシュルーム(薄目)+ソーセージ
概ね看板に偽りのない昔懐かし系のナポリタン登場。

早速実食してみると、うん、炒めバッチリながら油タップリのナポリタンは気を抜くと確実シャツに飛ぶ系。「昔懐かし」を謳うなりのスタンダードな具材ながら、ソーセージにチョリソーを使う辺りが酒場の拘りか。それにしてもボリュームもあり、これにサラダとカップスープが付いて550円というのは、場所柄とはいえ安過ぎる気もしてしまいます。

ということで、ランチにまた来ますね〜の★★★★★

昔ながらのナポリタン 550円(ランチタイムのみ)

 ちなみにこの店、立ち呑み風だが夜はチャージ有り。たかだか200円だし、冷製ミートボールなどちゃんとした物が出て来る。しかしビール390円の店での200円だし、呑む時は基本食べない私としては、箸も付けずに放ったらかせない様な物に出てこられるとむしろ困る。あくまでも売りはアウトレットワインで、後はビールとハイボール。フィディックはないし、ウオツカは冷えていない。店自体は悪くないし店員さんも美女揃いだけど。ま、18時回っていたら私の場合はBREAKか。

その後全く味の違う物になっていた。残念。('10.12.8)


読書 加門七海・福澤徹三・東雅夫 編
「てのひら怪談 庚寅 ビーケーワン怪談大賞傑作選」ポプラ文庫

夏だし怪談でも…と何の気なしに私が手に取る訳もなく、何の気なしどころか探し回ったのだけど。なぜかというと幻影城のちさと嬢の作品「炎天」が載っているから。怪談は読み書き共に守備範囲外なのだが、800字制限というのに惹かれた。やはりウェブベースだとその位だなと思いつつ、平山氏の解説文中の「八〇〇字をきちんと書ければ、そこそこの短編はどこの賞に出したって獲れますよ」に妙に励まされたり。


'10.8.9  随筆

夏も麺類ですか
 この時期のフード関係キャンペーンでは、涼を感じるためのさっぱりとした「涼」と、食欲増進のためのスパイシーな「辛」を強調したメニューが目立つ。私は辛いのは苦手なので、どちらかというと冷たい物の方へ食指が動くな。そんなことを考えていたら、そういえば今年は夏の定番・冷やし中華をまだ食べていないということに気付く。

 という訳だが、夏の定番としてではなく夏のキャンペーンとして冷やし中華を出している店へ行った(主に政治的理由)。しかも中華の店ではなくて焼き鶏を使った丼の専門店。日頃使わない食材をそのためだけに仕入れていては割高になってしまうのでなぜと思ったが、メニューに「地鶏の煮込みラーメン」があるからそこからの食材転用だろうか。しかしこの変わった形の器は多分これだけのための物だろうしなぁ。だなんて考えながら食べるのは食への関心とはベクトルが違うか。

 その様に食自体への関心はそもそも薄い私なので、一人で食べる時は面倒くさくない簡単な物で済ませてしまい、この時期は「もりそばでいいや」みたいに終えてしまう事が多い。いや、時期にはあまり関係ないか。いつもか。もりそばと言えば、私の場合は呑んだ後の定番メニューでもある。何も格好付けて老舗の蕎麦屋で〆の蒸籠を手繰る訳ではない。大概はチェーンの立ち食い蕎麦屋のそれだったりする。呑んだ後は面倒くさくなきゃ何でも良いんだ。

 呑んだ後と言えば、〆にラーメンを持ってくる人は周りにも多いが、何せ食の細い私なので二郎へ行くことは滅多にない(それでもあるのか。しかも二郎)。しかしもりそばでは満たされない衝動を覚える時の強い味方が登場した。

 ソース焼きそばのある立ち食いそば屋の「カレー焼きそば」。焼きそばにカレーライスのカレーが掛かっているだけ。とてもシンプルなのは味よりオペレーションの方かもしれないが、これ位が酔っぱらいの腹を満たすには丁度良いのである。

新橋鶏繁どんぶり子「冷やし中華 瓢箪盛り」1,000円(1日限定20食/8月27日まで) CPメニューにしちゃ価格の割に旨かった(それが食べ物に対するコメントか?)。

「瓢箪(ひょうたん)盛り」の意味が分からなかったが、出てきたのは瓢箪状の重ね器。個人的には「ゲッター冷やし中華」とかの方がハマったね(笑)。


富士そば「もりそば」に温玉とチクワ天。チクワは大概、七味山盛り。おばちゃん辞めて久しい西武新宿店にて。


飲食で並ぶのが生来嫌いなので、深夜の歌舞伎町店にしか行ったことはない。他と較べてどうであろうと私にとってはこれが二郎。アブラ増し。

後楽そば「カレー焼きそば」460円 「スープ」を名乗る単なるそばつゆが、実はほっとしてそれなりマッチ。

読書 鴨志田穣「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」講談社文庫

アル中治療の最終段階がなぜ体験談発表なのか。アル中に至る道程の確認は、やもすればそうなったことの肯定にも繋がる。だが、だからこそ乗り越えられる段階になったからこそ行うのではないかと想像。私にはそれ程のことは何もないよ。だから“依存症”じゃないってば。


'10.6.29  随筆 

伝説の業務用極太麺で作るナポリタン

 ケチャップ好きの味覚はよく子供っぽいと言われる。ある統計によれば、世界のケチャップ生産量の半分は米国の若年層により消費されている計算になるとか。

 ちなみにこれは基本的に卓上調味料としての消費であり、米国にケチャップを加熱調味料として使用する習慣はない。加熱調味料としてのケチャップを必要とする代表的な料理。それはオムライスであり、我らがナポリタンである。

 ああ、なんかもっともらしいイントロ書いちゃったな。どうでもいいじゃん、そんなの。ともあれナポリタンを作った。しかも今回は麺が凄い。

 これはある日馴染みのバーで知人から譲り受けた物である。O君とは銀座MODで知り合い、十数年後の今、神田BREAKでしょっちゅう顔を合わす。元フレンチのシェフで、今は某大手定食チェーンで商品開発に携わっている。

 本欄を見てくれており、BREAKはそれで知ったのだとか。そして本欄で、ナポリタン馬鹿の戯れ言に触れてしまったのである。

 その彼が仕事でナポリタンを扱う提案を行うにあたり、なんとまあ本欄を参考にしてくれたのだとか。私にくれたのは、その過程で取り寄せた業務用極太スパゲッティである。

「これで是非ナポリタンを作ってください」

 しかしなかなか私がナポリタンを作る機会はなかった。週末ごとに、どこかから送られてきた何だかを食べなきゃとか、子供のリクエストとか諸々あった。

 麺を貰ってからひと月近く経ちそうな先週末に、突然「ナポリタン、作るんでしょ」と妻が言い出した。「玉葱は切っておく? ピーマンどれ位?」と具材の用意までしてくれる。「あ、今夜は集まりだっけ」。「そう。夕食よろしくね」。そんな次第である。

 ところが子供達は妻の用意したミートソースの方ばかり食べてナポリタンには手を付けない。不機嫌な私に、母が「これ味が濃くて美味しいわね」と助け船だか何だか分からないことを言う。

 誰だ子供はケチャップ好きとか言った奴は。嘘つけ。


オーマイの2.1mmとママーの2.2mm。どちらも愛想のない業務用の袋である。


しかも4kg入りの袋ってさ…(勿論、袋だけ)。


茹で時間は2.2mmで17分。

よく炒めた玉葱とピーマンに、マッシュルームがなかったので白舞茸。ベーコンの代わりにソーセージ。ああ、コーンも欲しかった。ケチャップはデルモンテ。O君によれば「極少量とんかつソース混ぜると絡みもよく酸味とスパイスが加わり奥行きがでますよ」とか。次回試すか。たけしゃんによれば、喫茶店では生クリームでコクを出すということだったが冷蔵庫になく断念。油に「リセッタ」を使いながら、消しゴム大の無塩バターを奢るのは矛盾か?
皿に盛ると麺の太さが際立つ。茹で卵は本来切っておくべきだが…。

'10.2.24  随筆 

疑似ナポリタンとナポリタンフィリング

 このところ、骨折でラッシュ時の通勤がきつく、いつもより少しだけ遅く出勤させて貰っている。いつもが定時より遅いから「少し」なのだが。ともあれそのために昼飯の時間も変にずれたりする。

 あまりずれると、腹は減るのに逆に食べる物に対する関心自体は薄れてしまう。好きな人に振り向いて貰えないとそのうち「誰でも良いや」となってしまうのに似ているかも。それは私だけですか。というか例えになっていないか。

 ともあれ、そういう時に食べるのはナポリタンという訳である。何と言われようと、そういう時はナポリタンがほっとする。面倒な名前のパスタとか、アルデンテ至上主義みたいな物は面倒くさくなる。人によってはそれがカレーライスだったり牛丼だったりするのかも知れないが、私の場合はナポリタンである。

 本式の喫茶店ナポリタンは喫茶店にお任せするとして、たまに疑似ナポリタンを求めることもある。こういう時は「ケチャップ味の焼きそばでもまあナポリタンで良いじゃないか」とか、なぜか寛容になる。

 勿論、私の寛容さが長続きしないのはよく知られたことで、自分で作っておきながら「こうじゃない」とか言うし、たかが惣菜パンに文句を垂れる。ナポ具ではロールパンサンドは比較的ポピュラーだが、食パンの縁を綴じたサンドはヤマザキの「ランチパック」の企画物だけだった。そこへフジパンが「スナックサンド」を発売した。しかしこれ、食べると…。まあこういう物だよな。

 ふと原材料を見ると「スパゲッティナポリタンフィリング」とある。何だ「フィリング」って。せめてスパゲティとケチャップと…ではないのか。調べると詰め物のことなのだが、食材メーカーからはその製品名で調理パンやらの具材として冷凍の成型品が出ていた(一例)オーマイ「お弁当ナポリタン」みたいな物か。あれは単体で旨かったが。

 この手の具材はちゃんとパンにバターを塗って、できれば軽く焼いてだな…。全然寛容ではない。


ライバルよりちょっとシックなパッケージに1/3サイズ3個入りのフジパン「スナックサンド スパゲッティナポリタン」。

「原材料」が「スパゲッティナポリタンフィリング」…だと?


ヱスビー「ホンコン やきそば」ナポリタンアレンジ。でもやっぱ油がないと駄目だな。ちなみに「ヱスビーホンコンやきそば」で今日ググったら本欄の記事が2位だった(爆)。

昨年末に発売となったサンヨー食品「サッポロ一番 スパチーノ ナポリタン」248円。…おかしいな、“バナナ屋”の親父、130円で売ってるぞ!

細麺なのには目をつぶろう。ボリューム、油っぽさ、共に言うこと無しだ(どういう基準だ?)。