スケルトンキット、破損時の補修
スケルトンパーツ、ついに破損。
('99.3.16 小隊司令部発[MAC&OTHER])

計画立ち上げ当初、私が最も懸念していたことが現実のこととなってしまった。液晶ハウジングの爪(強化されてはいるが)が折れ、同時にトップカバーに3センチ程のヒビが入ってしまったのだ。

せめてもの幸運は、これが起きたのが私の身だということ位だろうか。私はスケルトン化計画の実行委員で、立ち上げ準備期間に、純正の筐体の材質であるABSと比較して、スケルトン筐体に使用するエポキシやウレタンが強度的に落ちることは百も承知の事だったからだ(で、注書きを書いたのも私)。だから当初は外には持ち出すまいと心に決めていたのだが、愛故にうっかり"普通"に使ってしまっていた自分が悪いのだ。私の"普通"というのは、日本の主要都市の平均的"モバイル"ビジネスマンの"普通"の使い方である(多分)。片道1時間の電車通勤(満員電車)。他に1日平均1時間程度の持ち運び。デスク上では1日平均3時間の使用(但しキーボードは外付けだが)。で、やっぱりまずかったらしい。

愛機が破損して嬉しいはずもないが、ポジティブに考えれば、これは格好のネタになる。透明パーツの補修は当初困難をきわめることが予想されていた。最適な接着剤である瞬間接着剤は、固まるときの化学反応で接着対象を白く曇らせる。しかし最近は何と透明素材用の瞬間接着剤なるものが出ているのだ。これの使用が成功すれば、全てのスケルトンユーザーの福音となるのではないか? 早速明日にでも探してくることとしよう。諸君!期待して待たれよ!(う〜、スゴイ強がり??)

そして補修
('99.3.22 小隊司令部発[MAC&OTHER])

●ヒビの入った部分の補修。

粘度の低い瞬間接着剤がとりあえず最適と思われるのだが、これには厄介な「白化」の問題がある。硬化時のガスが素材に付着して白く曇らせてしまうのだ。透明パーツの場合は特に問題となる。

そこで模型用に低白化タイプというものが発売されているので試してみた。黒いゴムやクリアパーツの接着向きらしい。本当は「クリアパーツ用」とうたった製品があったはずなのだが見あたらず、大差はなかろうと考えてこれを購入した。


上が普通の瞬間接着剤。接着剤自体も濁り、ガスのために周囲が白くなっている。下の低白化タイプは透明のまま。

●折れた爪の接着・補強。

これは接着面も少なく、瞬間接着剤だけでは強度が足りないので、パテの類を併用して補強する。2液混合のエポキシ系(チューブ2本組が多い)が一般的だが、最近はアクリル系の2液混合(注射器に入っている製品が多い)も出ており、こちらの方が強度があるし、食い付きは抜群に良い。しかしいずれも透明タイプのものでも割合すぐに変色して茶色っぽくなってしまう。

そこでプラリペアの透明タイプというのを使ってみることにした。これはアクリルの粉と揮発性の高い溶剤メチルメタクリレートからなっており、ガンスミスの間ではポピュラーな造形接着剤で、他に黒と白がある。透明度で言えばレジンや、それこそ透明エポキシ樹脂の方が高いのだが、少量では混合比率通りにするのが微妙で、購入単位も大きなものになるという点で手軽に迅速な補修をするのには向かない。

実作業はキャプションの方を見ていただくとして、とにかく破損の補修であっても、改造と同じようにホビーと考えて臨み、作業自体は楽しいものになるように心がけている。傷も愛機の個性の内とまで考えられるようになれば、悟りが開けるのだが。

ところで先日、PBAの特殊造型部隊技術将校・fukap-氏にその話をしたところ、「ああ、それアクリルボンドでやればいいんですよ」とのことだった。う…そういうものか。でも「アクリルボンド」って「アクリル系の2液混合接着剤」と違うんだろうか? 私のマルイMP-5はそれにかなりお世話になったが(マック系の人にはわからんて)、割にすぐ変色したけどな。ともあれまた訊かねば。


私は内側をコーティングしていたので、まずラッカー塗料用のシンナーで落とす。

純正にはないフック。これのおかげで「カパカパ」が回避できていたのだ。

今回使った補修素材 左は、DZTといえばまずコレ「プラリペア」(1,440円:さくらや調べ/定価1,600円)の透明タイプ。「タミヤ瞬間接着剤」(450円:さくらや調べ/定価500円)は初めて使ってみた。これらが全てという訳ではなくて、何かの参考にでもなれば。


参考までに書いておくと、スケルトンキットは、初期のロットと組み付け時のひねりが必要な物はウレタン。それ以外はエポキシで作られている。ちなみに純正はアクリル混じりのABSとのことだ。

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