page-16居眠り |
'01.3.5 |
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喫茶店のテーブルで、若い女性が居眠りをしていた。と言っても、ちょっと見には居眠りには見えない。私も「あれ?」と思ってしばらく見ていたから気付いたのだ。上品な半袖の黒いニットを着たショートカットの彼女は、テーブルに頬杖を突いたまま目をつぶっている。しかしそれはとても居眠りには見えないのだ。まるで前にいる恋人だか誰かの話にうっとり聞き入っている様にも見える。文字通り頬杖を突いているので、顔は正面を向いているし、とても整った顔立ちは目を閉じていても隙がない。口角は柔らかく上がっており、まるで微笑んでいる様だった。
会社に戻ってから確認しても残量はなかった。家に帰ったらDuoMonでuseageを調べるとしよう。だめ元で「バッテリ調整」をかけながら、件の女性のことを思い出した。 彼女はきっと、楽しそうにひとの話に相槌なんかをうちながら、微笑んだまま"スリープ"をするのである。まだ話の途中なんだが…と相手は思うだろうな。 |