酒呑み

'99.11.23

 先週末は家人が立て続けにボジョレーヌーボーを買ってきて、ボジョレーヌーボー三昧だった。私はというと、むむ〜…。口直しにトロッケンベーレンアウスレーゼを引っ張り出そうという感じで。あんまり好きじゃないんだよ、実は。

 そういや、昔はこの時期に行き付けの店に呑みに行くと、頼んでいないボジョレーヌーボーが、"違うグラス"(課金されないやつ)でつぅっと目の前に出てきたりしたものだった。余程、私は日頃金を落としていたのだな。しかも大抵は一人で呑みに行っていた。

 一人で呑みに行くという行為の理由は、人によってそれこそ千差万別だとは思うけれど、"他人のいる所での孤独"を求めてということを書く人は多いように思う。

 でも本当に一人の所で呑む、というのも実は結構良いものなんだが。

 昔は、深夜に車のダッシュボードに缶ビールを何本か積め込んで出掛け、当時は全然開発の進んでいなかった東京湾の埋め立て地まで行き、建設途中の堤防みたいな所で一人で呑んでいたこともあった。しかし、人の出したゴミの上で、人の作りかけの建造物を眺めながら呑むというのは、基本的に都心のバーで一人で呑むのと変わらないかという気もする。少なくとも奥多摩へ車を走らせ、渓流の音に耳を傾けながら呑んだことはないし、そういう意味では"同じ傾向"なのかもしれない。

 あれからは結構な月日が経ち、多少は呑み方も変わったわけだが、基本的には今もどちらかというと、一人で呑んでいる方が好きだ。ただし、呑む場所は変わってきている。

 今は一番のお気に入りは自宅のテラス。中古の小型冷蔵庫にビールとウオツカが詰まっている。目の前は手入れの行き届かない庭と、広大なゴルフ場の借景。一人とはいっても、たまに後ろの方から小さい娘が窓越しに呼び掛けては来るのだが、それ以外は特に邪魔もない。

 でも例年この時期になると冷蔵庫の電源を抜いて、冬眠させる。屋外でもビールが充分冷やせるからね。今年はいつから冬だったか思い出せないが、とりあえず11月も終盤である。しばらくすると、ホット・ブラック・ルシアンが旨いんだ。

*トロッケンベーレンアウスレーゼ(画像):貴腐葡萄ワイン。リキュールの様に濃く甘い白。
*ホット・ブラック・ルシアン:創作。ウオツカベースでコーヒーリキュールを使うブラックルシアンをお湯で割ったもの。甘いのがダメな人でなければ結構オススメ。