次の煙草

'98.8.30

 私の喫煙量は、あまり多くない。会社勤めで最も多く吸っていた頃でも、週に1.5箱(30本)位だった。一人でバーに飲みに行くことが多いので、そういう時にはよく吸うのだが、歩いてる間にまで火を点けないと気が済まないわけではない(そもそもあれはマナー違反だが…)。

 だから、という訳でもないけど、銘柄には趣味を通す。ドイツかぶれなので、ドイツ煙草を選ぶ。と言っても実は、日本で売られているMADE IN GERMANYは驚くほど少ない。

 年輩の方に「ドイツ煙草」と言うと、「ゲルベゾルデ」の名が出てくる。この姉妹品の「ミルデゾルデ」は10年ちょっと前は普通に売られていた。しかも当時は専売公社が供給していたのだ。最後には横浜近辺でしか買えないものらしかった。事情通の友人によれば、当時の横浜市長が熱烈な"ミルデ"ファンだからとかいう話だが…。私自身は結局1箱しか吸ったことはない。

 土産物の「HB(ハーベー)」や、超高級品の「ダビドフ・マグナム」(20本850円)を経て落ち着いたのが、「ミクニ・シェイファー」「ミクニ・シェイファーライト」だった。


 これはベースがアメリカ産ヴァージニア葉なので、風味にはユーロぽさがない(らしい(笑))のだが、犬(アフガンハウンドみたいな種)をあしらったパッケージは、犬好きの私に訴える物があった。何よりこのレアな煙草は話の種として充分で、"各種の営業先"で話のきっかけに出来たのだった。

 しかしこれを扱っていた三国商事からの流通は体を成さなくなり、'96年末頃だったと思うが供給が途絶えた。その頃は当然ずっと決まった店(銀座一丁目にある)で買っていて、"直"で宅配便で納品してもらったりしたのだが、自主流通銘柄は本当に不安定だ。(ちなみに日本のほとんどの煙草は「たばこサービス」によって流通しているが、極一部の銘柄は独自ルートで流通している)

 

 

 

 そして私が吸うようになったのが、「ダビドフ・ライト」だった。

 前出の「ダビドフ・マグナム」は、あくまでシガーの銘品「ダビドフ」のブランドイメージを活かしたもので、サイズも価格も普通のシガレットとは違う物だったが、これの"完全シガレット版"がちょうどその頃発売になったのだ。

 箔押し印刷のソフトボックスに20本入り260円で、比較的高級路線だったが、シガーのダビドフのイメージも手伝ってか、年輩の方にはそこそこ売れていたようだった。

 もっともそれは、以前の私の勤務地である銀座のど真中の話であって、西武新宿線の急行で20分も下ると、煙草屋でさえ名前を知らないこともあった。

 唯一、武蔵小金井の駅近くにあるちょっと古い雑貨屋で扱っていたのだが、今日久しぶりに買いに行ったら、どうやら取り扱い会社が倒産したらしく、「もう入ってこない」という話だった。

 …やれやれ。このワンカートンで終わりか。次の銘柄を探すのが面倒になっている自分が、何よりネガティブで嫌だな。


その後この煙草はJT扱いで復活した。どこででも買えるわけではないことに変わりはないし、価格は290円になったが、とりあえず次の煙草を探すよりは手間がかからない。