キリン『ハートランド』

`98.08.12

 今日からテラスの冷蔵庫が稼働している。本当はもっと早い時期に掃除/整備して電気を通す予定だったのだが、ともあれ、これで好きなだけビールを冷やしておける。「テラス」というと聞こえは良いが、築40年超の家である。冷蔵庫もイタリー製バーセット用の洒落たものなんかではなくて、友人が一人暮しの時に使っていた、どこ製だかよくわからないのを譲り受けた物である。

 冷蔵庫の中には、キリンの『ハートランド』の中瓶が並ぶ。いつもケースで買っているが、酒屋の店頭で見掛けることは、まず無い。緑色の瓶には、樹をデザインしたモールドがあり、テーブルに置いてもうるさくない。味は、何というか、キリンだなって感じ。ハイネケンに似ていなくもない。まあ、あれもキリンのライセンス生産だけど。そういえば瓶の色も同じ緑か。

 学生の頃は、訳あってハイネケンばかり飲んでいた。そしたらゼミでキリンの工場を見学しに行くことになった(私は経済学部の学生で、労使関係を専攻していた)。工場長を囲んで談笑となったが、工場の労働者の職場環境についてのテキスト通りの質問が消化されると、後は誰も話題がない。私はそういう雰囲気に耐えられない小心者なので、大好きなハイネケンが輸入品とライセンス品で味が違うことを話題に持ち出した。後はみんなでビールを"試飲"しながらのビール談義になってしまった。

 あの工場が閉鎖だそうである。それが今日のニュースだった。

 てんで手入れの行き届いていない小さな庭を眺めつつ、私はひとり献杯をした。あ、2本も飲んじゃ「献杯」なんてもんじゃないか。