'01.11.19

要塞

 週末に家が組み上がった。と言ってもユニット式なので、基礎の完成後、家自体の組み上がりは実質1日である。軽量鉄骨のユニット式(いわゆるプレハブ)にしたのは、元々は工期を短くして周囲への迷惑を抑えようと考えたためだ。しかし、静かな住宅街の真ん中で巨大なクレーンが30数台のユニット(モジュール)を吊り上げていく様はむしろ異様な感じで目立ったかもしれない。

 家の構造など、興味がなければ全く分からない人も多いと思う。自分自身がそうだった。端折って説明すると…大まかには木造と鉄骨という区分があり、それぞれに軸組とユニットの類という区分になる。軸組というのは現地で一から組み上げていく方法で、ユニットの類(沢山種類があるので"類"でまとめるが)は、ある程度工場で出来上がったものを運んで現地で組み合わせていく方法である。ユニットの類と言っても、木造は箱形に組み上げておくわけではなくて工場で作った外壁(パネル)を組み合わせていって建てる。鉄骨のユニットは名前のままで、中身もある程度組み込んだ箱形のユニットを積み上げていって建てる。面積や内装の仕様に大差がなければ鉄骨ユニットが一番短工期である。


↑基礎のための掘り込み。


↑急遽作らねばならなくなった隣地境界のRC壁は痛かった。


↑頭上を行くモジュール


↑次々に合体していく


 各社各様あるが、うちはミサワホームの「HYBRID家族物語MX」というものにした。特徴的な外壁はひたすら分厚く、それを纏うモジュールの鉄骨はとにかく太い。おかげで中身の寸法や部材の自由度が非常に狭くなっている。内部の壁も窓枠のサイズもあまり自由にならない。技術担当の営業マンにいろいろ注文すると「いや、それはできません」などと言われることが多い。たまに「どこが"注文"住宅なんだ」と思ったくらいだ。

 それでもミサワのセラミックスに決めたのは、30年くらい経って孫(がいたとして)に「お祖父ちゃんの家は変わってる」と言われるであろうくらい特徴的だったからだ。

 各社の"石目調"の域を出ない外壁とは一線を画すセラミックスの外壁。馬鹿みたいかもしれないが外壁にシリアルナンバーの刻印も入る。内装のMウッドは木粉を樹脂で固めたもので、木目化粧板とは違う質感がある。デザインポリシーはバウハウス(偉大なるドイツ工業デザイン)に傾倒しており、博物館を持っているくらいだそうだ。要するにマニアックな感じであるのだ。 

 外が組み上がっても、中はまだまだである。完成は年を越して1月となる。組み上がった家の前でしばらく眺めてみる。前の家は"邸"などと称していたが、今度は"要塞"という趣である。これからの支払いを考えると、そんな呑気ではいられないはずなのだが(笑)。