六人部氏

六研

  六研ブースにタナカ・グロックを設計された六人部氏の姿があった。取材のお願いをしたところ快諾いただきブース内での取材となった。時間にすれば多分15分程度のことだったと思う。実を言うと全く想定していなかったチャンスだったため、テープレコーダも何もなくメモ書きのみでの取材となった。誌面のことも考えて六人部さんの取材の方はインタビュー形式にしたが、言い回しや細かいニュアンスは再現できていないかもしれないことはご承知置きを。


 また、やんわりと断られるものとばかり思っていたところすんなりブースの席まで通されてしまったので、正直、拍子抜けして結構とっ散らかった取材となってしまったかもしれない。後でC/PlusBBSのオフで「実物と違うフレーム形状で、アンダーマウントに実物マウンタ類が付かない事情とかは?」と平賀さんに尋ねられ「あ、それ聞いてないや」という始末。あとスライド割れのこととか、自分があまり気にしていないことはすっとは出てこなかった。ごめん。

ハンマー

小隊長(以下、小)「初めまして。小隊長と申します。ホームページでガンのレポートなどをしています(勿論、本名を名乗って名刺を渡している)」

六人部氏(以下、六)「厳しいこと書いてるんでしょ」

「いえいえ(苦笑)。そんなでもないですよ。同時期に出た他社さんのグロックとの比較記事を書いてるんですが、総合的には模型としても道具としても私はタナカ製の方にアドバンテージを感じました。ただ、細かい点で『なぜここはこうなんだろう?』と疑問に思う点が2〜3ありまして」

「うん、あるね、それは。あると思いますよ」

「その2〜3のことについてお伺いしたいのですが、まず、ハンマーをスライド作動時に起こす構造ですが、ハンマーの上部に薄い突起がありますね。

(やはりそれかという風に〜多分〜頷かれる)

「それ程激しく使ってもいないんですが、結構削れてきて。何か違う構造とか素材とか、例えばあの部分だけスチールにするとかいうことはお考えにはなりませんでしたか?」

「あれは試射したんですよ。2万発ほど。見た目ではね、こう(突起部の)表面が削れるということはあるんだけど」

「実用上は問題はないということですね。テストして」

「あの部分をスチールにするとかはね、薄いから。ネジで固定するのもちょっと」

マガジン

「次に、マガジンについてですが、前作のP08ではできなかったハンマーダウン時のマガジン装着が可能になりましたね。しかしガス切れなどによるハンマーダウン時は、相変わらずマガジン、抜けませんよね」

「あれね、試作の時は抜けたんですよ。抜けるって言ってもね、ハンマー落ちてれば抵抗というか、一度(ハンマーノーズが)引っかかる感じにはなるんだけど」

「はい、わかります」

「ハンマーの上の部分の形状が(試作品は)もう少し緩やかで。量産の時にちょっと」

「なるほど。では構造的な問題ではなく、成形の都合での形状の問題で、個人の調整で試作品と同じ様にはできるということですか」

「量産の時は、一度型が出来たものにはね、私も注文は付けづらいんですよ。今後直していかないと、とは思うんだけど」

ホルスター

「最後に、本体のことではないんですが、付属のホルスターも六人部さんの手になる物ですか?」

「ん。でもあれはね、元をそのままコピーした物だから」

「私、実物を持っているんですが、大分違うところがあるんですよ」(なぜか持ってるタナカ製と実物の2つのホルスターを鞄から取り出す) 

「パーティングラインが実物の方がかなり多いですね

「これは型抜きの、それぞれのやり方があるから」

「成形技術の問題ですね。実物の方が悪いという」

「まぁ」(苦笑)

「この、スナップ部分の処理ですが、(タナカ製は)ここ(ハトメの部分)がフェルトでカバーされていて、丁寧だと思ったのですが、実物のように一段凹んでいる方が銃に触れませんよね。どうしてわざわざここを変更されたのかと」

「これはね、元もこうだった。隣のタニコバ君(六研とタニオ・コバのブースは隣り合っていた)が持っていてね、それを借りたんですよ」

「そうですか。ではバージョン違いか何かでこういうのもあったということですね」

「ただ僕もね、刻印はわからない。これは?(私の持参した実物の方の刻印を見て) これも、意味が分からない」

タナカの刻印
「17.0.24 GLOCK Austria」
実物の刻印
「HOLSTER 34 AUSTRIA」

「では刻印も含めて実物をそのまま再現されたということだったんですね」

「いや、でも材質は柔らかめのものに変えましたね。本物と違ってプラスティックだから、やっぱり傷付くから」

「お忙しいところ、ありがとうございました。突然のお願いお引き受けいただきまして恐縮です」

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