特別取材
手塚氏(KSC)、六人部氏(六研)に聞くグロック
於・'99夏ブラックホール会場

手塚氏

KSC

 ブラックホールのKSCブースは"お祭り価格"のたくさんの商品が並び、自由に触らせてもらえる展示品も多く、5〜6名のスタッフの皆さんが常に応対に追われる盛況ぶりだった。

 そんな中、私はG34と並んでG18Cの試作品が展示されているのを発見した。スライドのシリンダ後ろの"この"部分は、セレクタのために空けてあるのだと期待してはいたが、やはり出るらしい。G18Cについては『GUN SMITH』の平賀氏が「独り言」に書かれているのでそちらも見ていただくとして、私は接客に忙しい手塚氏に合間を見て、グロックに関して一番聞きたい一つのことだけはお話を伺うことが出来た。

 なぜグロックのフレームはてかった仕上がりなのか?

 これに対しては「型に塗った離型剤によるもので、中性洗剤で落ちる」という回答だった。その事自体は以前C/PlusBBSでもプロショップでどなたかが聞いた話として公開され、私も含め何人かが中性洗剤や溶剤や脱脂剤などで試したものの、艶は消えなかったというオチもついているのだが、それは置いておいて今回はその離型剤使用の背景について伺った。

 金型は、特に初めのうちは成型品の抜けが悪く、この抜けを良くするために離型剤はよく使用されるという。ではロットを重ねる内に使わなくなるのかというとそうではなく、グロックのフレームを成形している下請け業者自体が"そういうノウハウの会社"なのだそうだ。

 また離型剤を使い抜きやすくすれば、型も痛まず数も多く打てる。そしてそれだけコストダウンになるという。

 KSCではプラスティック成形に関しては3社の下請けを持っているが、コストダウンを目標としたグロックについては、この方法で成型するこの業者が最も適していたのだという。

 一方では、素材が似たモデルであるSOCOM ピストルの方はプラフレームが綺麗なマット仕上げの成形になっている。これは違う業者による物で、本体の設定価格からして問題のないコストだったというわけだ。

 冒頭の話に戻るが、このフレームの艶は実は落とせない。離型剤がどういう性質の物か詳しくはわからないが、これがやはり結果として型の表面の方に艶をだしてしまったであろうことは想像に難くない。しかしそれは中性洗剤の代わりにクレンザーででも磨けばいいのだろう。それよりも、このパーツの不要な艶の裏にあったこんな企業努力を知ることが出来たことの方が私個人にとっては大きな収穫だった。…とそんな話ができるのも、あくまでもKSCグロックの作動が快調で全体の出来は良いからということなのだけど。

follow up

 

離型剤について、情報があったのでご紹介。お馴染みタグチヤスタカさん。

塗装屋の知人の推測ではおそらく浸透性の高い薬品ではないだろうか?との事です。(例えて言えば「アーマオール」のようなもの?)

それではたしてあの素材に浸透するような薬品があるのかどうかはわからないのですが。

また仮にそういう薬品があったとして、経時変化に何か影響があるのではないかという心配が…。

さらに知人曰く、お湯で煮れば抜けると思うけど?という事ですが、さすがにこれはヤバいですよね。

多分、表面ないし全体が歪むでしょう。

 確かにABSは熱可塑性。実は以前、ABS製のPowerBookのパーツを樹脂用染料で染めようとお湯で煮たところ、見事反り返ってパーにしてしまった苦い経験のある私。煮るのだけは避けたい。ホントに。

 
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