ワルサーP38、日本発売

'03.6.9



 「鳴り物入り」というのはこういう事なのだが、長い間鳴り過ぎてか慣れてしまっていた感がある。なにせ発表からは2年以上が経っていて、一体いつになれば発売されるのか、全く分からなくなっていた。やっと試作品が専門誌上に出てきたかと思えば、挙げ句の果てにタナカP38の発表の向かい風である。しかし出た。やっと出たのである。

  最大の特徴は何かと言うと、ワルサー社から図面の提供を受けているということである。だから実物に忠実かというと万事がそうだとは限らない。トイガンにはトイガンの材質と構造があり、それなりのアレンジは施されるであろうからだ。そんな訳で、私個人は図面提供は"メーカー公認の証"位に捉えており、寸法や形状の正確さの保証とは考えていない。もとより実物が手元にないのだからノギスで計り較べることが出来るわけでもないが。

 発表当初コマーシャルモデル先行予定だったのが、途中で大戦型で出ることになった。ニーズを考えれば当たり前なのだが、関係者のやりとりの苦労は大層なものだったのだろうなと勝手に想像する。お疲れさまでした。

 専門誌に少しずつ変わりながら掲載される試作品のP38を見ては「きっと100点は付けないんだろうなぁ」と思っていたのだが、製品を入手して箱を開け「いや、第一印象は100点でいいか」と思った。

■パッケージ/取説

  「第一印象100点」は、箱を開ける前から半分そう思い始めていた。良いパッケージデザインだ。お座なりでなくうるさくなく、安っぽくなく嘘ではない。そしてセンスが良い。取説も丁寧に作られている。ただ、せっかくメーカーの公認を受けているのだから、もう少し「ならでは」の情報が欲しかった。

■仕上げ

  実銃からすれば、ちょっと艶消しが過ぎるという気がするが、全体に違和感はない。

  ところで過去、私はマルゼン製品について必ず呈していた苦言がある。それは亜鉛ダイキャスト部品の仕上げの悪さだ。それはもう、パッケージを開けた瞬間に目に付くほどだった。モデルガンメーカーの部品と較べると明らかに落差がある。 ところがP38については私は及第点だと感じた。リアサイト前の目立つ部分にある長いデッキの仕上げは失敗すれば致命傷だが、スライドとの素材の差は当然分かれども、それは他作の様に落胆するような違いではない。


ちょっとスポーツ用品のパッケージみたいでもある。


デッキの仕上げは合格点。


誌面で見たよりはるかに良い感じに仕上がったグリップ。

側面を削らなくても収まったであろうブロック。しかしこの荒削りが良いアクセントになっている。


フロントサイトにセレーションがあると思いこんでいたが、本来はこの様にフラット。→「小隊司令部発」'03.7.8-2 勘違い2題
■作動

  部品が多く細かい割には快調。P99よりは良い感じ。PPK/Sより重い感じなのは演出上も良い気がするが、ちょっと回転が遅く感じる。デコックは問題なし。

■まとめ

 トータルでは「良い」。前段通りに「第一印象は100点でいいか」である。細部を見れば「なぜここを」と落胆するところもあれば「よくぞここを」と誉めたくなるところもあった。

  公認公認とこれだけ引っ張ったのだから、広告だけでなく添付物でももっとフォローして良かったという気がするが、それは欲張りなのかも知れない。

  パワーはややある。専門誌でも0.6Jとデータが出ていた通り。ストーキングに使うのは気が引けるが一応セーフか。細身のマガジン自体はPPK/Sの前例もあるが、P38のはやや横倒しに弱い気がする。ゲーム使用時は無理な姿勢で撃たないよう気を付けた方が良いかも。

 マルゼンのカラーは残ったまま、完成度はかなり高くなっている。P38が好きならいつどれだけ流通するのか全く不明なタナカ製を待つ必要はないだろう。

…あれッ!? マルゼンよ、空撃ちモードはどうしたんだ!!?