リアルとは何か? |
'08.12.15 小隊司令部発 |
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マルシン工業 |
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初のラージフレーム G21はマルシンにとっては初めてのグロックだが、先達も多くマルシンだけあってそつない出来である。 そしてG21はまた、トイガンのグロックとしては初めての.45である(厳密には韓国のモニカがシングルフィード/サブコンパクトのG36を出しているが、あくまでキッチュな玩具)。 一見どれも同じに見えるグロックだが、使用弾の違いで各部の寸法が異なるモデルもある。本モデルはフレームのグリップ前後長が長く、.45/10mm用独特の形状になっている。スライド後端が.45用にしてはスリムだと感じたのだが、寸法を測るときちんと.45/10mm用だった。.45と10mmモデルの全幅は他モデルの30mmとは異なり32.5mmである。この辺の違いを無視してバリエーションを出すのかと考えていたのだが…。それにしてもG19・G18C、本当に出るのか? |
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グロック コマーシャルモデル一覧
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![]() C…LOCK? |
仕上げと刻印 マルシンと言えば私は亜鉛ダイキャストの質が気になるが、特に問題ない様だ。もっとも目に触れる亜鉛の面積が小さいのではあるが。 プラ部分に関しても、良くない個体を手にしてしまった方の話を読んでいたので不安があったが、流通上の品質管理の問題ではないか? あるいは私の老眼が進んだとか? 刻印に関しては表記が適度にアレンジされているが…3箇所のGLOCKロゴがClOCKになっている。S/Nプレートに刻印がないが、後から削り取ったような傷になっているのが謎。 |
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セフティー 刻印と言えば暗示のように各所に「STGA」と打たれているが一瞬何のことだか分からなかった。マルシンが中心になって'07年9月に発足した業界3つめの団体だった。すっかり忘れていた。だから毎年展示会も別でやっているのか。そんな次第で「実銃になくても絶対マニュアルセフティを付ける」としているASGKのいわゆるASGKセフティーはマルシングロックには付かないという次第。 スライドの位置 ところで、ざっと見てスライド−フレーム間の隙間が目に付く。実銃写真と較べてもクリアランスがあり過ぎる。さらにスライドは閉鎖状態でも0.5mmほど下がった位置にある。おそらくは製品化最終段階での部品の寸法変更などのためだろう。閉鎖状態のずれに関してはスライドロックと当たるチャンバー下の前部を削れば良いだけかと思うがそれはまた改めて。 |
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スライドストップ 削れと言えば、スライドストップのノッチには削れ対策らしきものは施されていない。事前情報通りである。それどころかスライドストップはプレス具合の問題でノッチに当たる部分の平面が出ていない。豪快にスライドをリリースし続けると困ったことになるだろう。ここは各位要調整ということで。ホールドオープンの仕組み自体は良くできており、フォロアがストップを持ち上げる仕組みはほどよくアレンジされている。 |
![]() 手前側がノッチに当たる部分。左奥スライドのノッチ部分は、幅はあるが補強なし。 |
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ブリーチとハンマー ブリーチは分解不能。取説でもここは一体となっている。それは良いがリアサイトの交換もできないのかと思ったら填め込みだった。 ハンマーは先端が別部品で一見ローラー状だがマルイの様に回転はしない。サイズがサイズなので可動にして変なガタが出るより良い…と思っていたら、そもそも欠けていた。不良品? |
![]() 可動かどうかじゃなくてさ、コレ欠けてるよな。うん。 |
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各社グロックモデルのフレーム/スライド。左からタナカG17(モデルガン)、マルシンG21、KSC
G17(最初期ロット)、マルイG17。 スライドロック(スライドを分解する際に下げるトリガー上のあのパーツ)で位置を揃えている。 [拡大あり] |
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![]() 前はスライドロック接合部分と揃える。タナカMG(上)と較べると、チャンバーには弾頭部分が入っている程度。▲がエジェクター後端。 ![]() そのエジェクターが左に飛び出しているパーツ。装填時のカートとチャンバーの位置関係はこんな感じ。 |
チャンバーレスとエジェクターの位置 さて、G21がチャンバーレス構造であることは事前に知られていた。元々チャンバーレスはモデルガンの安全対策として採られていた方式だが、少数ではあるがエアガンにもある。勿論カート式のオートのエアガン自体数が少ないのだが。 チャンバーレスで難しいのは排莢の設計ではないかと思う。モデルガンでは、フォロアスプリングの強さで弾き出すなんて物(MGCベレポケ)もあったが、これは極端な例か(何十年前の話をしているんだ)。 閑話休題。さてオートの排莢というのは一般に、チャンバーから出ているリムに引っ掛かった爪状のエキストラクターがカートを引き出し、エジェクターにリム底面をぶつけて蹴り出すという構造になっている。エジェクターは、カートが上がってきた位置で尻に丁度当たる位が機能しやすい位置な訳だが、このG21ではエジェクターの位置が興味深い。カートの後ろにガス口のあるガスBLKなので、本来のフレーム側でなくスライド側に設置することでカートの尻に近づけている。 |
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![]() 先輩・Cz75と。[拡大あり] |
![]() ポートから見る新旧マルシンライブカート。 |
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最後に、序編で書いた様にトイガンはどこにリアルさを求めるかに差がある。本G21でそれは空薬莢が宙に舞うということであると思うが、実はもう一つ体感できるリアルさがある。それが音だ。それでなくとも射撃時には前方への注意を最大限払わなければならないのがトイガンだが、本作の場合は右斜め後ろにも注意を払う必要がある。しかしそれでもあえて是非、カートに、それもBB弾を詰めてロードして、撃ってみて欲しい。音が違うのだ。ガス作動音とは違う破裂音と、金属カートが壁や床にぶつかる音こそが、この銃の最大の楽しみ所である様に思う。 |
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訂正('08.12.16) 「ロッキングスライド」をマルシンの呼称「スライドロック」に変更。序章へのリンクがなかったので追加。 |