金の鳥

〜懐かしい"町の模型屋"の記憶

 ところで実はこの製品、サッと入手できたわけではない。アリイが再販しているエルエス製品の内、バヨネットとかグレネードといったアクセサリー類はそれこそどこにでも売っているが、銃本体は量販店や専門店の店頭には見あたらない。ある店では「2000円クラスはマルイだけにまとめた」という話だった。それを「売れないから絞った」とだけ聞けないのは穿ったものの見方かもしれないが、とにかく置いてないのだ。

 いわゆる"町の模型屋"にはあるのかも知れないが、平日にはそういう店には行けない。また、そういう店をいちいち回って在庫を訊ねるのも面倒に感じる(マニアの風上にも置けないな)。とりあえず以前エルエス製品を見掛けたことのある店にピンポイントで寄る方が効率的だろう。

 仕事を早めに出先で切り上げて、プラモ専門店のある下北沢に行った。ところがそこでもアリイ製品はアクセサリーしかなかった。やれやれバカなことをしたもんだと、まだ働いている同僚の顔を思い浮かべながらちょっとだけ後悔しつつ、しっかり思い出した。私は高校時代に隣の駅の池の上を使っていたが、駅前には小さな模型屋があった。「今週のデスクサイド」で取り上げた"売れ残りのWA AR-7"も、大学生の頃その店で見つけたものだった。しかし数年前に潰れたというような話を聞いていたので、「まあ、歩いても大した距離じゃないし、なかったらなかったでその金で下北で一杯呑んで帰ろう(こればっか)」ということにした。

 あった!

 ショウウインドウを通して見える店内は、棚の商品もスカスカで営業しているように見えないのだが、煌々と点いている明かりと入り口の駄菓子の棚が「まだやっているよ」と主張をしていた。なのになぜかシャッターが閉まっているので、仕方なく外からのぞき込んでいると、親父さん登場。

 店内の品揃えは相変わらず。しかし棚の空き方が異様なくらい。激安値引きされた物の中にはかなり陽に焼けたようなものもある。さすがにどうしたんですかと訊ねてみたら、貰い火事で一度焼けてしまったとのことだった。店に入ったときから気になっていた匂いはそれだったのか。

 小学校の裏手という立地ながら「こういう店も最近流行らなくて、どうしようかと考えてるんですよ」と親父さんは昔ながらの包装紙でUSPを包みながら苦笑いをした。

 この模型屋「金の鳥」は、京王井の頭線「池の上」駅前にある。お近くの方はよろしければどうぞ。掘り出し物も"ないではない"かも。新品のMGCサイドラーグロックとか、ファルコンのスマイソンとかね。

 

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