ベレポケはベレポケ
(a BerrePocke is just a BerrePocke)


■ありそうでなさそうな銃
 このベレッタポケット(略称ベレポケ)というモデルガンをご存知だろうか。私と同年代以上の方はともかく、最近の人は知らないだろうな。今はなきMGCの50年近く前の製品である。

 正確には実銃にはない架空の銃だが、漫画やSF映画のプロップではなく「それらしいが実在しない銃」である。当時のモデルガンにはそういう製品があった。ただ年代的には、実銃の資料が少なかったからとか、量産技術の問題と言うより、そういうアレンジだった様に思う。

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 REOPORDOという名前が刻印されているが、そういう型はないし、そもそもスペルがおかしいという気もする。モチーフになったのはベレッタM950シリーズであろうと言われている。

■ベレッタM950(実銃)について
 M950は構造がユニークで、前端のヒンジで固定されたチップアップバレルがよく知られているが、実は、エジェクターのみでエキストラクターがないとか、リコイルスプリングがコイルではなくピンだとか、他にも色々珍しい所がある。

 M950シリーズはM950と改良系のM950B、M950BSの3種があり、オリジナルのM950で2本だったリコイルスプリングを、1953年に一体化して1本にしたのがBで、それを1968年に米国基準でサムセフティ付きにしたタイプがBSである。M950シリーズには使用弾薬別には.25のJetfireと.22shortのMinxがあるが、初めからではなくB以降だったらしい。'03年に製造終了になって21Aシリーズ(DA)に代替わりしている。

 MGCのベレポケはカートの箱に6.35mm(.25口径)とあり、BS発売前の1967年発売でサムセフティもないので、M950BJetfireがモチーフなのだと推測できる。但しストライカー式風(ベレッタM418風とも)になっている。ちなみにJetfireは過去に頑住吉氏によってモデル化された事もあった(当然、現在は入手不可能)。

 ちなみにベレッタ社はMod.950か950と表記しており、M950というのは正確な表記ではないという人もいるが、海外でも一般的にはM950と表記する事が多い様だし、ここではM950と表記する。


ベレッタM950B Jetfire
出典:Wikipedia Beretta950JetfireandClip-Shut.jpg,AuburnPilot

参考サイト
ベレッタM950の変遷に関する資料(英語)
 
■BLKなしで連射可能なオート
 ベレポケは通称タニオアクションという種類のオート型モデルガン。タニオアクションは、トリガーに連動してスライドが後退して、閉鎖時にチャンバーヘカートを叩き込んで発火、というサイクルで連射できる。

ベレポケのチップアップはスライドごと。(M950はバレルのみ)

ハンマーピースの先に、長い撃芯が飛び出たチャンバーが丸見え。


なぜか7.65mmのPPK3型とカートが共有と思っていたが実はPPKが6.35mm設定だった。

 チップアップの形態こそ模してはいるが、バレルとスライドは一体になっている。つまりスライドは動かない。チャンバーカバー風のハンマーピースと称するパーツが前後動してマガジンからカートを半分長前進させて、やはり半分長程度の深さのチャンバーに叩き付けて発火させる。次の撃発時ハンマーピースが後退すると前進によりマガジンリップから外れているカートがフォロアに押されて飛び出る。つまりベレポケにはエキストラクターどころかエジェクターもない。

 要するに巻玉鉄砲(これも知らないか…)並のオモチャの構造なのだが、金属製でカートの排出もあって格好も本物っぽくて、そのくせ他のモデルガンと比べたら破格に安い。お小遣いの少ないボク達みたいな子供は取り敢えずこれを買ったものだ。

 当然、遊び倒されてボロボロになるから、状態良く現存する物は少ない。私はカートがなくなるのを恐れてマルゴーコブラでばかり遊んでいたので、だからそのまま残っているのだろう。

 2年に1回位、思い出した様に箱から取り出す。

無闇な分解対策なのか、タニコバ氏の趣味なのか、思いの外面倒な分解。ヒンジのネジは、片抜きピンで留まっているバレルとスライドをバラしてからでないと回せない。

http://youtu.be/u0cRvZ3gilo
ベレポケの排莢サイクル動画。初弾がチャンバーに装弾された状態からの連射。さすがに発火させる勇気はなかった(笑)。

[次回予告?]
スライドの曲面を複製したパーツで、ポートを塞ぐ。
さて、何をするのか?


この前のは… / さて次は…