随筆/myhome
公文書

'10.7.14  myhome 

うちの芝生

 「隣の芝生は青い」という言葉は良く聞くが、例え話ではなく、半年ほど前に建ったばかりの近所の家の芝生は本当に綺麗だ。植えたばかりで雑草1本ない。しかし、普通は元々何かしらの種は付いてきているだろうし、それがなくとも、あちこちから種だの胞子だのあるいはそういう物を含んだ鳥の糞やらが飛んで来る。周りに何もないビル屋上の空中庭園なら幾分マシだろうが、雑木林やゴルフ場やキャンバスやらに囲まれた我が地区である。1年経ったら何もないということはない。うちの芝に至ってはそろそろ貼り替えるべき時期である様にも思うが、趣味でやるにはいささか広く、金を出すにもいささか広い。

 というわけで、今年もちょこちょこっと誤魔化してやり過ごすかなという姿勢である。思い返せば祖父や父も同じ様だった気がする。背の低い草であれば抜くのではなく一気に刈ってしまう。リタイヤしたら毎日丁寧に雑草を抜くかなぁ。そんな訳ゃないな。

 今年は梅と枝垂れ梅のアブラムシ対策が奏功した様で、顆粒状の虫除けを散布しただけなのにほぼ発生を抑えきった。しかしそういう年は他の虫が増えるものである。今年は枝垂れ梅に停まりに来る鳥がやけに多いなと思っていたら、木の下はカナブンの死骸だらけだ。木の下に入って枝を揺すると数匹が落ちてきて飛び去った。飛びながら糞を垂れるカナブンを逆光で見送りながら、形の違う鳥の糞も結局中身はあれかと呑気に考えていた。

 母お薦めの「虫除けパッチ」は使い物にならず、特に脚は十数カ所刺された。こういう時はとりあえず洗う。家の周りには空の鉢や花瓶があるし、それ以前に隣のゴルフ場には半分暗渠だが川が流れている。蚊はそこら中にいるのだ。

 45Lゴミ袋が2つ満杯になり、そろそろ飽きてくる。「刈り終えたら、とりあえず庭でビール」と自分を励まして作業を続けていると、雨が降り始めた。


読書 瀬尾まいこ「見えない誰かと」祥伝社文庫

瀬尾まいこの小説は2冊読んでいるがこれはエッセイ。しかし、現役の中学教師でもあるこの人の日常は殆ど全て教師と生徒の話ばかりである。余程の天職なのであろうが、内容としては学級日誌を読んでいる様で正直つまらなかった。何より、出て来る人間が全て善人で綺麗にまとまるところが私には駄目なんだろうな。


'10.6.5  myhome 

ヘビイチゴ

 本欄で庭木の手入れの話をよく書いているからと言って、私が庭の草木に並々ならぬ愛情を注いでいるかというとそういう訳でもない。

 特に、自分が感心のない物や、雑草の類には冷淡と言ってもいいだろう。まあ種類もよく分からないから大抵雑草扱いなんだけどさ。実際の所、手入れをしているというより薬を撒いているだけだったりするし。たまにアクセス解析で、除草剤の名前で検索掛けて本欄に辿り着いている人がいたりして、少しだけ申し訳ない気持ちになる。

 それにしたって酷いのは、うちの庭には芝の間にネギが自生したりしているところか。そんなの花壇に移しておいてくれよと母に言いつつ、なかなか捨ててしまえない。

 そこへいくと文字通り食えない花なんかはブチブチ抜いてしまう。綺麗だろうが何だろうが植えた物じゃないし雑草には違いない。ところが今年は梅の実の豊作に気を取られていたためか処置が甘かったのかも知れない。そういえば結構、芝地に花が咲いたまま放っていた。

 で、先日気が付いたのがこれ。「ヘビイチゴ」である。花は、黄色い小さな花を付けるそうだが、確かにそんな花が咲いていた記憶がある。記録はない。

 「ヘビイチゴ」は「ドクイチゴ」と呼ばれることもあり、そのため子供の時でも食べたことはなかった。しかし調べると、実は無毒なのだそうな。誰だよ「ドクイチゴ」とか呼び始めたのは。もっとも知っていたら食べたかというと、そんなことはないだろう。なぜなら、あまり口にする気になれるような場所には生えていることはなく、いかにも犬の小便が掛かっていそうだからである。

 ちなみに殆ど味はなく食感もスカスカで、食べたところで美味しくもなんともないそうな。そんな物は蛇にでも喰わせておけという事から付いた名前だとも、地を這う形の蔓から付いたとも、諸説有るそうだ。

 あれこれ調べているうちに、雑草相手に少し優しい気持ちになってみたり。