「隣の芝生は青い」という言葉は良く聞くが、例え話ではなく、半年ほど前に建ったばかりの近所の家の芝生は本当に綺麗だ。植えたばかりで雑草1本ない。しかし、普通は元々何かしらの種は付いてきているだろうし、それがなくとも、あちこちから種だの胞子だのあるいはそういう物を含んだ鳥の糞やらが飛んで来る。周りに何もないビル屋上の空中庭園なら幾分マシだろうが、雑木林やゴルフ場やキャンバスやらに囲まれた我が地区である。1年経ったら何もないということはない。うちの芝に至ってはそろそろ貼り替えるべき時期である様にも思うが、趣味でやるにはいささか広く、金を出すにもいささか広い。
というわけで、今年もちょこちょこっと誤魔化してやり過ごすかなという姿勢である。思い返せば祖父や父も同じ様だった気がする。背の低い草であれば抜くのではなく一気に刈ってしまう。リタイヤしたら毎日丁寧に雑草を抜くかなぁ。そんな訳ゃないな。
今年は梅と枝垂れ梅のアブラムシ対策が奏功した様で、顆粒状の虫除けを散布しただけなのにほぼ発生を抑えきった。しかしそういう年は他の虫が増えるものである。今年は枝垂れ梅に停まりに来る鳥がやけに多いなと思っていたら、木の下はカナブンの死骸だらけだ。木の下に入って枝を揺すると数匹が落ちてきて飛び去った。飛びながら糞を垂れるカナブンを逆光で見送りながら、形の違う鳥の糞も結局中身はあれかと呑気に考えていた。
母お薦めの「虫除けパッチ」は使い物にならず、特に脚は十数カ所刺された。こういう時はとりあえず洗う。家の周りには空の鉢や花瓶があるし、それ以前に隣のゴルフ場には半分暗渠だが川が流れている。蚊はそこら中にいるのだ。
45Lゴミ袋が2つ満杯になり、そろそろ飽きてくる。「刈り終えたら、とりあえず庭でビール」と自分を励まして作業を続けていると、雨が降り始めた。
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