トイガンP99、初登場  ('99.6.8)

 KTWのワルサーP99をやっと入手した。発売されたという情報は各所で聞いていたのだが、店頭ではなかなか現物にお目にかかることができず、店で予約しようにも「入荷時期不明」というのがお決まりの返事だった。

 SPASやL96ライフルなどマニアックな高級エアガンのメーカーとして有名なKTW社は、このガンに関しては輸入元で、製造は台湾のY&P社。購入店では、国内でのワルサーバナーの正式使用者であるマルゼンの許諾を得て輸入されているとの説明があった。でも雑誌上の情報から読めば、マルゼンはサブライセンサー[仲介者]ではなくてあくまでライセンシー[使用者]の様だから"許諾"はいらないと思うが、その辺は未確認。A誌5月号では、Y&P社のウマレックス社(現在ワルサー社の親会社)との関係が取説から読めるというような記述が書かれていたが、私の購入した物の取説やパッケージからは確認できなかった。ともあれ、よくあるセグメントのトイガンである割には話題に事欠かない登場となった。

 ところで私は各誌のレポートは読んでいたものの、モノ自体には正直あまり期待してはいなかった。「所詮、台湾製だしな」という思いは、啓平社のイントラッグ・グロック(かなりガックリくる出来)を最近買ったばかりなだけに強かった。(イントラッグシリーズは台湾KWC製)

 しかしこの誤解は、箱を開けると解けた。詳しくは各項の記事で見ていただくとして、ワルサーP99という銃自体が嫌いでなくて、何か室内プリンキング用のコッキングガンを一挺という方には絶対お勧めである。ただし(かなり大きな「ただし」だが(苦笑))、実射性能をお求めの向きには、相応のチューンスキルが不可欠、としておく。作りの甘さが原因と思われるローパワー(後述)は、外箱の"18歳以上用"という表記とは違い"10歳以上用"並みだからだ。他は問題なし。とか書いて、手直し始めたら実は根本的欠陥だったらどうしよう…。

刻印

 各所に刻印されるワルサーバナー。

重さ

  重い。しかし重心が下にあるというのは実銃とは逆だろうなと思ったら、やはり重さのほとんどはマガジンによるもの。トリガー上部のフレーム内にもウエイトが増設されている。仕上げが周りと異るLサイズのバックストラップもダイキャストの塊。しかし総体としてはバランスのリアルさ云々より掌の中の重さが心地良い。この価格帯でよくぞこの重さと思う。

仕上げ

  とにかくシボが綺麗に決まっている。軽くなく、大袈裟でなく、とても良い感じ。前出のバックストラップだけ素材が異るので感触が違って残念。ただし交換用のMサイズの方はプラ製で仕上げは本体と同じ。

分解

1.スライドストップでホールドオープン。

2.スライド後端のパーツを外す。シリンダー側に押しつけるようにして下へ引っ張る。

3.スライドを戻して空撃ちでピストンを前進。

4.少しスライドを引きつつバレルロックを下げてスライドを前方に戻すと、バレルごと外せる。

威力

 ノズル先を押さえたままピストンを押してもスカスカ前進する。アングス立川店の方の話では、バネのサイズ(やシリンダー径)が東京マルイと違うため単純な交換でのパワー向上は出来ないとのことだったが、問題なのはむしろこっちだろう。気密がとれていない。これはパワー制御を意図しているというより単に寸法が出ていないのだと思う。パワーを落とすならバネを弱くした方がメリットも多いからだ。ちなみに2社のバネを押し縮めてみても重さに大差はなかった。

競合

 モデルとしての競合はマルゼンのBLK機のみだが、まだ発売には至っていない(発売時の話)。これは購入次第比較レポートの予定。

 セグメントとしては、マルイのHGシリーズの最近作…例えばH&K USPあたりが競合となるだろうか。この場合のセグメントは「主要ボディが一体成形の固定ホップ付きの3000円未満のコッキングガン」といったところか。

 ライブのコッキングインジケータは同社H&K P7で実現されているが、あれはモナカだった。

 疑似ショートリコイルモドキは、マルイのはチャンバー部を押すとペコペコ動くが、KTWのは全く動かない。それもそのはずインナーごとショートリコイルするのだ(A誌5月号のレポートは間違い)。チャンバーとバレルはリコイルスプリングで押されるスライドによってしっかり固定される。日本のメーカーのものは命中精度の重視という理由で大抵はアウターのみの可動なのだが、プリンキング用のハンドガンだし、これでいいんじゃないかと思う。