グロック=MGC製

 グロックを初めてモデル化してトイガンファンの間に広めたのは旧MGCだった。斬新なプラフレームにスマートなシルエット。そして驚くほどの多弾数。しかもMGCグロックはそれまでのガスブローバック機とは別次元の快調さだった。私にはその頃の少し前辺りまで、しばらくガンマニアとしてのブランクがあったため、実を言うとグロック17という拳銃自体をよく知らなかったが、私は一発でこのガンが好きになった。しかししばらくはグロックが他社でモデル化されることはなかった。グロック=MGCのブローバックというイメージが強かったせいだろうか。それでいて人気は高い銃なので「これから」コレクションを始めるには最適の銃だとも思い、2社くらいから出始めた辺りでコレクションを始めた。
←上からG18、G17、G19


アフターシュートガスブローバック

 ガスブローバックに関して言えば、MGCグロックの前には大まかに2つの方式があった。バネで後退しているスライドをガスで前進させて、発射と同時にバネのテンションでスライドが後退するもの(マルイ ブローニングハイパワー、S&W M59、ヨネザワ/KHC ガバ)と、発射用とブローバック用の別々のバルブをトリガーの2段引きで開放するもの(マルシン ガバ、CZ75、ポイント ワルサーPPK)だ。

 MGCグロックの登場で、やっと自然で迫力のあるブローバックができる様になった。機関の作動に使ったシリンダーからの排気を弾の発射に使用するという、いわば逆転の発想だった。前出の2形式はスライドの作動より先に弾を発射してはいるが、作動のスムーズさや迫力を犠牲にしていたとも言える。

 しかし本文でも触れているようにこのMGCグロックの方式にも欠点があり、グリッピングによって着弾が不安定に散る。これを解決するためにブローバック前に弾を発射する仕組みが開発される。サードパーティのパーツ「ストライクロッド」(プロジェクトK)と「プレシュートキット」(タニオコバ)から始まり、ハイキャパガバやグロックに採用された「ハイパーブローバック」(MGC)という過渡期を経て、マグナブローバック(WA)と負圧式(タニオコバ他)等のプレシュート式にガスブローバックは全面的に移行することになった。

 今回、全ての形式のガスブローバック機を改めて見比べてみた。トイガンの技術開発でガスブローバックは行き着くところまで行ったとよく言われるが、ここに至るまでには随分と放ったらかしの期間があったのがわかる。


媒体

 旧MGCはチラシを初めとした印刷媒体の使用が多かったトイガンメーカーとしても知られている。それらの印刷物は単なる販促物(=宣伝)だけではなく、銃文化の啓蒙活動(=広報)であることも多かった。同社の昔の「MGC新聞」や、一時発行していた「モデルガンチャレンジャー」誌はその最たる物と言えるだろう。

 また、そこまではっきりしたものでなくとも、新製品カタログにからめて実銃の情報をフォローする印刷物も多く、グロック〜P7〜MP5Kを発売していった時期はその最盛期であったと言える。

 グロックに関しては、発売に前後して少なくとも3種類の冊子が配布されている。初めは有料のこともあったが、後に無料配布となったりもした。初めて見たときは驚いた。ほとんど実銃のカタログの様になっていたり、自社のトイガンと実銃を同じ大きさで載せてまるで専門誌の「実銃vsトイガン」のようなことを新製品でやっていたりするのである。ろくでもない玩具に自画自賛の美辞麗句を並べ立てるメーカーも多いというのに、何とも懐の深いメーカーだと思ったものだ。ま、P7の頃になると、イチロー氏のノリで(というか乗せられて)作ってたんじゃないかなぁという気もするけど…。

'99.8.29