幻のマグナグロック
今度タナカから発売されたグロックは、タナカという常に模型としてリアルな製品を発売しているメーカーのボディに、最も洗練されたブローバックエンジンであるマグナを搭載し、多くのグロックファンの期待を集めた。 ところでマグナエンジンのグロックだが、元々WA社から発売が予定されていたという事は、グロックファンには周知のことだろう。予定だけでなく、実際に作動する試作品まで出来上がり、専門誌にも記事や広告が載っていたのだから。 しかしこれが市場に出回ることはなかった。その辺の事情についてメーカーからの事情説明が一切ない辺りは、所詮玩具業界の零細企業かということで、あくまで推測するしかないが、ライセンスに神経質なWAが、提携先であるタナカに配慮したとか(なら、なぜ発表までしたのかわからないが)、台湾で販売されているという噂もあったが(台湾製ボディのコクサイ製品と混同しているかも)、どれもあくまで噂に過ぎない。WAのグロックは、刻印のアレンジを除いてはそこそこリアルでハイレベルな物で、更にタナカとは明らかに別の物であったことからすると、それはそれで残念に思う。 WAというメーカーの動きには、他のトイガンメーカーとは違うベクトルがある様に思うし、実際各種のアクションはトイガンファンの間では様々な憶測を呼んでいる。玩具メーカーといえど、その業界でシェアの大きな企業は宣伝だけではなく広報の充実も必要だろうと広告屋の私は思うが。寡黙なのが男、なんてのは個人レベルでのお話。別に寡黙でもないけど、あそこは。 とにかくWAのグロックは、そういった霧の中に消えたモデルである。 ところでこれは余談だが、WAにはこれによく似た前例がある。それがコルトダブルイーグルだ。この銃が発売にまで漕ぎ着けられなかった理由は、トイガン関係のショーで試作機を盗難されたことに起因するのだそうだ。これは当時他メーカーに勤務して、そのショーにも参加していた友人の話なので、憶測の類ではない。災難だとは思うが、何ともお粗末な話だという気もする。 |