廉価版で完全版

'02.7.22

 

 タナカの最近のオートは、全てWAからライセンスを受けたマグナ仕様のガスBLKだった。今回のグロックは久しぶりの非マグナ仕様オートというだけでなく、実はタナカとしては初めてのブローバックしないオートなのである。オートであるからにはブローバックすべしという設計者のスピリッツの問題だったのだろうか。私はグロックを集めているのでこういう"機構のバリエーション"は嬉しいのだが、このモデルはなぜ出されたのだろう。

 型が既にあるので安価に出せるというメリットは最も大きい。ローコストでリアルな外観が実現できる。ガスBLKが高性能を極め価格帯も定まってきている今、ノンBLK=命中精度が高い=高付加価値という単純なロジックは通らなくなっている気がする。故にまず割安感が求められるのではないか。

 しかし何より大きいのは業界自体の閉塞感が原因なのではないだろうか。識者のみなさんはご存知のガスBLK機構のパテント裁判などは端で見ていてウンザリする。知的所有権を軽視する気は更々ないが(もっとも原告の主張も正当なものとは思えないが)、全体のバランスの上で考えるべきだろうと思う。

 ともあれ、私の都合で発売直後のレポートとはいかなくなった上に、各専門誌で既に散々取り上げられたタナカ・グロックだが、実は市販品には誌上のものと若干の違いがあったのでまずその違いを。それからBLKモデルとの違いを画像とキャプションで追っていきたい。


■誌上のものとの違い

ホワイト
 前後サイトのホワイトは省略されている。ここはモールドになっているので自分で色を付けるのは簡単であるが…。雑誌記事のものはBLKモデル同様にホワイトが入っていた。

黒染め
 部品名で言うと「ロッキング・ブロック・カバー」、要するにスライドとフレームの間から見えるフレーム部分。ここが黒染めされていない。しかも丁度スライドストップの切り欠きの場所に当たり大変目立つ。


↑右がフィクスドスライド。


■BLKモデルとの外観上の違い

アンダーロッキングラグ
 最大の違いはアンダーロッキングラグ。BLKモデルでは実銃と形が違うために実銃用アクセサリーが付かず、銃の評価自体を落としていた。アクセサリーを付けないために気にしなかった私がマイノリティだった様だ。実銃のサードモデルからの採寸ではなく、セカンドフレームをベースとしたためと言われているが、やっとの改修である。
 
「GGFF」中の「新世代対決」-「特別取材」でのインタビューで、六人部氏は内蔵ハンマー形状を例に「量産の時は、一度型が出来たものにはね、私も注文は付けづらいんですよ。今後直していかないと、とは思うんだけど」とおっしゃっていたが、この部分もその課題の一つであった。しかしちょっとばかり繊細さに欠く改修で、縁に段差が出来ていたり、シボのムラなどが目立つ。

マグキャッチの仕上げ
 マグキャッチは新造品で材質はBLKモデル同様のダイキャストだが、実物に似せたプラのシボ風仕上げがなぜか省略されている。

その他
 バレルロッキングラグの山が3つになっている。モデルガンは3つでBLKモデルは4つになっていた。どちらも実在するので別に良いのだが、なぜ変えているかは不明。

 スライド、バレル周りの刻印は場所により少し異なる。


 そんな訳で例によって(?)外形上のことのみ取り上げた訳だが、単に模型としてのグロック17ということならガスBLKやモデルガンの方が楽しめるというのは当たり前か。大戦独軍装備の私がこれを腰に下げてフィールドに出ることはないが(というか、もう1年以上ゲームをしていないが…)、持ち出したとして不安に思う部分は、今のところ特に見あたらない。

 道具としてのタナカ・グロックについてはまた回を改めて。…というか、今回はお茶濁しか?(自嘲)


↑左からBLKモデル、フィクスドスライド、KSC製。

↑チャンバーカバーを押し下げてロックを解除するオリジナルの分解方法はなかなか良い。

↑ローディングノズルを内蔵したマガジンというと、これもやっぱりWA製品だけが採用していた機構だったという記憶だが…。それにしても全体との調和を全く考えていないこの上部のモールドは何とかならんのかな。下は比較用のモデルガンのもの。