GUN&MILITARY
公文書

'08.12.18  gun&military 

ゼンマイ仕掛けのMP5 TOMY H&K MP5

 先日、ヤフオクで珍しいトイガンを落札した。と言っても貴重な高級品などではなく、トイガンとも言えないレベルの子供のオモチャである。落札価格からして300円だ。

 推定20年以上前にトミー(現タカラトミー)が出していたMP5型のオモチャがそれだ。側面に付いたツマミでゼンマイを巻き上げ、その打撃力で弾を飛ばす。スコープ風の部分からBB弾が自重落下給弾されてフルオート射撃が出来る。と言っても、そこは「対象年齢3才以上」だけあって、飛距離は銀玉鉄砲以下。しかも巻き上げはあっという間に戻ってしまい、撃ち始めの発射サイクルは数発分しか続かない。子供でもこんなでは満足しないのではないかとも思うが。

 そんな物をなんでまたわざわざと思われるだろう。実は私はMP5コレクターなのだ。「実は」も何も何度も書いてるか。古くはファルコントーイのカート式MP5Kから各社の基本モデルのほぼ全てを所有している。さすがにJACは基本形のA5とA3だけだが、ないのはヨネザワのガスクルツと、最近発売されたトレーニングウエポンだけと言って良いと思う。こうなると些細な買い漏らしも気になってくるのだ。

 さてこのトミー製、存在は知っていたが入手出来ず仕舞いだった。安価な古いオモチャが市場に流れることもないかと諦めていたが、デッドストックが数個まとめて流れてきた。

 これ自体は数回撃てば飽きておしまいのブツだが、後は久しぶりに引っ張り出したMP5コレクションの幾つかを弄っていた。すると、MGCのクルツ3代やマルイ、FTCの最終型など、結構電池仕掛けが多いことに気付く。過去に液漏れでMGCのを駄目にしており、さすがにみな本体から外して箱に入れていたが、それでも液漏れをしていた。

 こうして見てみると、長期保管という観点ではゼンマイも含めてバネ式というのも良いなと。古いオモチャは、完品であっても久しぶりに手にする時に壊れていることが多いのだ。


鳥山明風キャラの描かれたパッケージ。BB弾20発付きというのが泣かせる。


明らかに形を模したと思しき中国製水鉄砲と。ゼンマイまでコピー再現するなよ。


左側面。ちなみにロープスリング用フックが反対側にも付いている(笑)。


←大きさ比較は懐かしのマルイガスBLK・A3と。亜鉛のストックの表面が劣化でうねっていた。

小隊司令部発

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'08.12.11  gun&military 

リアルとは何か?

マルシン工業
グロック21 8mmBB BLK DUAL MAXI
\20,790(税込)


雑広は相変わらずだが、パッケージは情報が整理されて若干はマシになっている。
少なくともM712と同じメーカーとは思えない(あれは酷かった)。

初のラージフレーム
 G21はマルシンにとっては初めてのグロックだが、先達も多くマルシンだけあってそつない出来である。

 そしてG21はまた、トイガンのグロックとしては初めての.45である(厳密には韓国のモニカがシングルフィード/サブコンパクトのG36を出しているが、あくまでキッチュな玩具)。

 一見どれも同じに見えるグロックだが、使用弾の違いで各部の寸法が異なるモデルもある。本モデルはフレームのグリップ前後長が長く、.45/10mm用独特の形状になっている。スライド後端が.45用にしてはスリムだと感じたのだが、寸法を測るときちんと.45/10mm用だった。.45と10mmモデルの全幅は他モデルの30mmとは異なり32.5mmである。この辺の違いを無視してバリエーションを出すのかと考えていたのだが…。それにしてもG19・G18C、本当に出るのか?

[拡大あり]
以下、本文


'08.12.11  gun&military 

なぜG21なんだ?(序編)

 グロックはいいが、なぜG21なんだ? そう思ったのは私だけだろうか。45口径位なければ8mm弾仕様で出す理由がないのだろう。そのくせ後続のGM系はわざわざ6mm弾仕様だし、同じグロックでもG21とはフレームもスライドも互換性がないはずのG19とG18も6mmで発売予定。内部が迷走しているのではないか?

 ともあれ新製品。しかもグロックで、なんとガスBLKである。そしてライブカートなのである。喜ぶ要素の順番が間違っているか。

 この数年のマルシンは、異様なスピードでマイナーメジャー混合の新製品を繰り出してくる。最大手・東京マルイですら敵わない。通常は、高額な型代を消却するため1種出してもしばらくバリエーション展開をするものだと思っていたが、何か素晴らしい裏技でもあるのだろうか。

 その一方で、独自規格の弾を普及させるためにこんなことをしているのかと穿った見方もできなくはない。しかしインクカートリッジ代で儲けるプリンタと違って、弾で儲かる訳ではないはずだが。

 トイガンメーカーには明確な方向性が必要だというのが私の持論。でなければ同じ形で同じ機能の物を各社模型化したところで何の意味もない食い合いになる。その意味でマルシンはいくつかの明確な方向性を持っている。

 トイガンという物はリアルではいけない。しかし、リアルでなくてはならない。トイガンの抱える永遠のジレンマなのだが、そもそもトイガンにとっての「リアル」とは何だろうか。タナカ・カシオペアの件があったばかりでもあり、どうしてもナーバスになる。と言っても、このマルシン製G21は何をどうやっても法律に触れる意味でのリアルさはない。この銃の「リアル」とは、アクションのリアルさである。空薬莢の舞うガスガンこそマルシン工業が求め続けているリアルの方向性の一つである。

 という訳で、ブツが予定通り届いたのでインプレッションは週明けか。相変わらず長い前振りでご免(苦笑)。


忙しい日に限って心待ちにしていた物が届く。いや、仕事してますよ。してますって。

読書 トルーマン・カポーティ著/村上春樹訳「ティファニーで朝食を」新潮文庫

 体質の問題だろうが、翻訳文というのが耐えられない。きちんとした訳者は勿論いるのだろうが、判断ができない。だから「海外文学」の棚にはまず近付かない。近年一番酷かったのは戯れに読んだ図書館蔵書の「ふたりのロッテ」。死ぬかと思った。子供を危険な目に遭わせてはならないと感じた。
 そんな私だが、敬愛する村上春樹の訳でよもやこれを読めるとは。しかし予想通り我々の親しんでいるあの映画とは、そもそも原作自体が遠い物だった。
 アメリカ文学にはある種埃臭い椅子の様なイメージを抱いていたが、本書に於いてもそれは基本的に同じだった。初めてのアメリカ文学がナボコフ「ロリータ」である私ではあるが。
 むしろ一緒に収録されている短編の方が楽しめた。評の様には、私はホリー・ゴライトリーの奔放さに好感を抱けなかった。勿論私は、そういう奔放さに目を細めるほどには年を食ってはいるのだが。


'08.11.22  gun&military 

縁起でもない話

 「見る人の居なくなった写真は取っておくことないでしょう」というのが母の言い様だった。

 亡くなった父が撮った写真なら母自身が見るのではないかと思ったが、写真好きで旅行好きの父が旅先で撮った膨大な写真を見るかといえば、それもないかと思う。建て替えの頃の話なので5年以上前の話だが、それでも処分し損ねた写真が我が家の納戸にはまだ何箱も眠っている。

 父が名の知れた写真家であったら違ったかといえば、きっと同じだろうと思う。そもそも誰の作であれ、高名な芸術家の作品などうちにはありはしない。そして思い出の品と言うにはあまりに量がありすぎる。

 写真だけでなく、多趣味であった父は数多くのがらくたを遺した。余程の物でない限りいちいち判断してもいられず、その大半は建て替えの際に処分してしまった。それに較べても例えば祖母が奉っていた怪しげな神棚の重要度は更に低く、取り壊す家に残した。解体屋の親父に、こういう物を粗末にするのは私はちょっと賛成できないんですがねと言われたが、適当な相槌を打ちつつ余計な世話だと思った事を覚えている。

 蒐集癖ということでは私はおそらく父以上で、旧いコンピューターや、玩具の銃器や、そういえば漫画本も結構な量が家のあちこちに眠っている。私が死んだら、あれらの物はどうして貰うのが適当だろうか。

 あるいは生前に整理しておいてくれというのが家人の気持ちだろうか。いくら私の愛した物達と言えど、二百数十挺のトイガンなどどうしようもなかろう。形見にして欲しいわけでは毛頭無い。うまく処分してくれることを望みたい。あれが全部不燃物では自分自身が情けないし、大袈裟に言えば日本のガンマニアにとって些細な損失である(些細な、ね)。以前なら平賀さんに全部託してしまえば良かったが(笑)、引退されて久しい。Kさんも現役引退気味だし、内藤さんぶたさんでも迷惑するだろう。

 あ、グロックは全部、Ryuさんお願いします(右欄参照)。


物置と化した我が書斎は多くの容積をこれらの物で埋められている。

読書 角田光代「さがしもの」新潮文庫

心情の表現がない藤沢作品に「〜と思った」という記述は少ないのだが、角田の「私は、ひ、と思う」とか「あああ、と私は思った」というのも記述としてはどんなもんだろうかとは思ったり。


'08.11.10  gun&military 

警察の琴線

 タナカ製カシオペアタイプのエアガンは本物の拳銃と同じ殺傷能力を持つということで、警視庁組織犯罪対策5課が銃刀法違反(拳銃所持)容疑でメーカーを家宅捜索し約800挺を押収した。

 ウェブではYOMIURI ONLINEのみがタナカ社長のコメントを載せた。「この商品の本体や薬きょうの強度では、火薬を使って発射するのは不可能。これが違法なら、世の中のエアガンはすべて違法になってしまう」。まあ、全てということもないが。

 私はこの形式のトイガンには全く関心が無かったのだが、“新方式”ということでは専門誌の記事に目を通すくらいのことはしていた。Gun誌では'08年9月号P139に内部構造の写真と解説が載っている。薬莢は勿論単なる低圧ガスタンク程度。それを保持するシリンダーは脆い亜鉛ダイキャストの骨組みに外皮は肉薄のプラスティック製で、タナカ社長の言う通りの物である。

 しかし、速燃性火薬を充填した薬莢を用意し、硬質金属から削り出したシリンダーに装填し、そのままでは薬莢を叩かない構造のハンマーの代わりに直接叩ける構造に作り替えれば、「金属弾」を火薬で打ち出すことは可能である。

 でもその作業が出来るなら、そもそも一から拳銃を作れるのではないか? 作れるんだよ。

 「強度を上げた薬きょうの中にガスの代わりに火薬を詰めると、金属弾を連続して数発発射することが可能」で「本物の銃と同様の殺傷能力があることが証明された」と検証した警視庁科学捜査研究所は、どうかどの様な高度な技術力で実銃を作成したのか教えて欲しい。何なら警視庁制式拳銃にしたらいかがか?

 あれはやり過ぎたねという見方がマニアにも多いし、私も敢えてああいう作りにすることもなかろうにとは思っていた。しかし、それは危険だからなんて意味では全然なくて、そこが官側の琴線に触れる箇所だからというだけのことだ。